自然と寄り添う暮らし

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あののぉ vol.39 2016 秋

あののぉ vol.39 2016 秋

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〔お宅訪問〕家の中に緑のある暮らし


「年を重ねるにつれ和の良さに惹かれていくのかも」
と笑うKさんご夫妻。
生活環境が変わった事を機にスタートした家づくりは
以前住まわれていた洋風のお宅からがらりと変わり
「緑」と「和」が似合う家を考えました。


特別なものはいらない
2人がのんびり暮らす平屋

「シンプルに暮らしたい」という思いから、自然素材を使った平屋を思い描き、ご主人が描いた間取り図をもとに家づくりがはじまりました。素材や間取りの希望を伝えると、設計者が専門的な立場から提案をする。そんなやりとりを何度も重ね、隅々まで納得のいくシンプルな平屋が完成しました。
玄関ドアを開けると明るい玄関ホールにはモミジの刺繍が華やかな羽織がインテリアとして飾られています。季節ごとに掛け替え、絵画を飾るように楽しんでいるそうです。


リビングは節のない檜を使った片流れの勾配天井でゆったりとした空間となり、家にいる時間の大半を過ごすというソファが置かれています。そのソファに座って右手の掃き出し窓から見える庭は、2本のモミジと石畳や砂利の配置がまるで枯山水を思わせます。左手には家の中心に位置する中庭が見えます。コンパクトな空間にある緑は冬には葉が落ち、春には黄緑色の新緑を見せ、日々の暮らしにさりげなく季節を運んでくれます。また、木や土など昔から人の生活とともにあった自然素材は、現代に於いても違和感なく人の生活に馴染みます。


寄り添い合ってつくった
理想のかたち

仲の良いお2人は、一緒に旅行を楽しんだり、時には一人旅に出掛け、お互いのお土産話に花を咲かせたりするそうです。ご主人は旅の計画をしている時が一番楽しいと言います。家づくりの計画も、ご主人が中心となって楽しく進めました。和室の障子格子や庭の石畳の配置などにご主人のデザインがみられます。でも奥様のセンスを信じて最終的には決定したとはにかむご主人。一室をアトリエにするほど絵を描くのが大好きな奥様の感性とともに、「シンプルな暮らし」はかたちとなっていきました。そうして完成した家は、2人の笑顔に彩られ、そこで過ごす時間を豊かにしてくれる存在となりました。

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〔森里海から No.39〕鮎(あゆ)


文・写真 菅 徹夫

 私は幼少の頃から海の近くに住んでいますので、鮎を食する機会は多くありませんが、個人的には鮎ほど美味しさに差がある魚は珍しいのではないかと思っています。鮎は一年魚(一年で一生を終える魚)です。秋から冬にかけて親の鮎は遡上した河川を下り、下流域の泥の堆積のない粒の小さな砂利質の河床に産卵します。卵は10日~14日で孵化し、孵化後すぐに海に下ります。海に下った仔魚は体長50mm~80mmまで成育し、春になると遡上を始めます。遡上中は群れを作りますが、中流域に達する頃には群れを離れ「縄張り」を持つようになります。5月頃から本格的に成長のスピードが増し、2~3ヶ月で20cm以上に成長します。8月下旬頃から淵に集まりはじめ、降雨による増水とともに下流の産卵場所に向かいます。産卵時期のアユは「さびアユ」と呼ばれ雌雄共に体表が黒ずみます。親鮎は産卵後絶命し、一年という短い一生を終えるのです。


 以上が天然鮎の一生ですが、鮎は一年のうちに河川の下流域から海に出て、また河川の中流域から上流域まで遡上する回遊魚ですのでダムや堰のある川では世代を繋いでいくことができないのです。しかしながら今、日本では天然鮎が健全に生きていける川は殆どなくなってしまいました。世に出回っている鮎の殆どが放流鮎と呼ばれるもので、天然の河川を泳いではいるものの、春先に下流に放流された稚魚が成長した鮎に過ぎないのです。放流される稚魚は湖産(琵琶湖産)鮎や人工養殖のものも多く、生態系の観点からすると遺伝的な問題など多くの問題を抱えています。そもそもその川で生まれ育った鮎ではないわけですから必然的にその味も天然のものとはかわってくるわけです。
 もともと日本全国の殆どの川に、その川固有のDNAを持った鮎が生息していたと思われます。そうした健全な生態系に育まれた鮎は、きっと地域を問わずそれぞれに美味しい鮎だったにちがいありません。日本全国の川が健全な生態系を取り戻し、全国各地で美味しい天然鮎を食せる環境が復活することを願ってやみません。「やっぱり土器川の鮎が香川では一番うまいな」「いや、財田川も負けてないよ」「綾川の鮎はうるかにもってこいだ」「江尻川(仁尾)の鮎は小さいけれど背ごしにすると絶品」などという声が香川のあちこちの川魚好きから聞かれるようになると素敵だと思いませんか?
生物多様性の恵み・・・取り戻したいものです。

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〔大工のはなし〕第2回『道具の準備』


上の写真は、2本の新品の鑿。そのうち奥の鑿は大工さんがひと手間加えています。玄能で叩いて使う鑿には、叩き割れを防ぐために「桂」と呼ばれる金属の輪っかがはめ込まれていて、横から見ると木の部分が少し飛び出ているのが良い状態(写真右)。また、この部分が平らなままだと(写真左)、鑿を叩いたときに刃先にうまく力が伝わりません。そこで柄の頭が丸くなるように叩いて形を整え、桂の位置も調節します。力が発揮できるように準備を整えてこそ、道具として完成した形となるのです。

写真:2本の大入鑿。鑿には「大入鑿」の他に、大入鑿より大きい部材に対して使う「叩き鑿」や仕口の仕上げに使う「突き鑿」などがあります。さらに用途に合わせて刃の大きさや形が違うものに分かれ、その数は数十種類にもなります。

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太陽の熱で料理をつくる!
ソーラークッカー


ソーラークッカーとは、太陽の熱で料理をつくる調理器具です。
太陽の動きにあわせて角度を調整し、パネルの集点に光を集めて熱に変え調理します。目玉焼きやご飯、お味噌汁、カレーなど様々な料理がつくれます。太陽で調理するソーラークッカーは、アウトドアや災害時でも大活躍します。また、環境教育の教材としても幅広く使えるアイテムです。太陽をもっと身近に感じられ「楽しい」「美味しい」「不思議」といった新しい体験をしてみませんか?
ソーラークッカーは古木里庫で販売しています。実際に体験することも可能ですので、お気軽にお問合わせください。


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〔information〕2016 仲南の森 大黒柱伐採ツアー


 今年で15年目を迎える讃岐の舎づくり倶楽部の恒例イベント「大黒柱伐採ツアー」を開催いたします。実際に新築する家の大黒柱になる木が、住まい手さんご家族の見守る目の前で林家 豊田氏の手によって伐り倒されます。樹齢100年近くの木が新しい役割を担う瞬間です。迫力満点の伐採現場の空気を一緒に体感してみませんか。

日時:2016年11月6日(日)午前9時~午後3時頃
場所:仲南の森(まんのう町)
参加費:1,000円/人 ※昼食代・保険料込み
お申込み・お問合わせ:0875-82-2988
主催:讃岐の舎づくり倶楽部
共催:(株)菅組


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