F邸 改修工事
[古民家改修]
[古民家改修]
三豊市仁尾町は江戸時代に港町、城下町として栄えた古い街並みが残っています。
商家だった古民家「多喜屋(たきや)」(屋号)は、手前にお店、奥に住居という構成の建物配置で、
日本瓦本葺き、漆喰壁、海鼠(なまこ)壁(かべ)、漆喰塗回しの垂木など特徴的なデザイン要素を持ち、
この地区の中でも個性的な外観を持った建築としてその存在感を放っていました。
25年の空き家期間もあり相当老朽化していましたが、再生可能な住居棟を宿泊施設として再生することに。
構造的な補強や耐震性をある程度確保することに配慮し、屋根瓦は全て葺き替えました。
丸伏瓦と軒先瓦などの役物亙はすべて生け捕りして再利用し、外壁に使用されていた海鼠壁(なまこかべ)の亙を玄関の敷瓦として再利用。
玄関脇の書院障子、1階床の間の床板、居間の杉竿縁天井など残せるものはできるだけ以前のまま残し、
居間や寝室の床板には香川県産檜の無垢材を採用しました。
玄関戸のデザインは、昔仁尾町にあった映画館「松栄座」の入口ドアの写しとしました。
小屋裏空間を洋と和の寝室にリノベーションし、丸太梁の露出で迫力ある空間になっています。
日本のウユニ湖と呼ばれ多くの観光客がここ仁尾町の父毋ヶ浜に訪れる中、このエリアには宿泊施設が少なく、通過地点にとどまっています。
一組でも仁尾の町中に宿泊してもらい、早朝の父毋ヶ浜を散歩したり、古い街並みを散策したり、新たな観光の仕方、もう一つの仁尾の楽しみ方を提案したい。
趣ある古い住宅を「暮らすように泊まる」宿泊施設として有効利用するとともに、小江戸の街並み残る風景を守ることが、この町で生きる私たちの使命だと考えています。