自然と寄り添う暮らし

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あののぉ vol.55 2020 秋

あののぉ vol.55 2020 秋

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〔特集〕「仁尾の街並み再生プロジェクト」~仁尾縁~



新しい地域のあり方を模索する試み
仁尾の街並み再生プロジェクト

時代の流れとともに仁尾の町も高齢化や人口減少が進み、空き家や廃屋が増えています。その一方で、この土地で変わることなく生活を守り、伝統や文化を次世代に繋ぐ人々・・・。

そんな仁尾の持つ空気感と、風光明媚な父母ヶ浜や紫雲出山に心惹かれて、最近は国内外からの旅行者や移住者が少しずつ増えています。
国内外から訪れる人たちと、地元の人たちとのさりげない交流。そこから育まれるのは、新しい価値や暮らし方、地域の在り方です。

私たち菅組は、仁尾で古くから営む建築会社として、価値ある建物を残すために、仁尾の街並み再生プロジェクト「仁尾縁(におよすが)」をスタートいたします。

二度と取り戻せない歴史ある街並みや日本の伝統文化、自然を守りつつ、新しい時代への橋渡しを仁尾で暮らす人たちと、仁尾に訪れる人たちと共につくり上げていきたいと思っています。



潮風香る商家に泊まる
一棟貸し宿  多喜屋(たきや)

小さな町ならではの楽しみ方

仁尾縁の第一弾が、江戸時代の古民家を再生した一棟貸しの宿「多喜屋(※)」と、フロント機能をもつ「表店(おもてだな)」です。

多喜屋をはじめとする古民家に宿泊し、町の住人になった気持ちで、歴史を感じる街並みを散歩する。買い物や食事を楽しみながら、気さくな店員さんと笑顔でお話しする。点在する寺院や文化財をのんびり巡る。住民や猫とあいさつを交わす。あえて特別なことをするのではなく、仁尾町のありのままの姿を肌で体感してほしい・・・。私たちの願いです。

「縁(よすが)」には「よりどころ」という意味があります。仁尾でしか感じられない感覚を味わっていただき、訪れる人のもうひとつの「故郷(よりどころ)」と思っていただけるように・・・。

※多喜屋とは、この再生した古民家のもともとの屋号です。






【多喜屋の宿泊案内】

■宿泊人数:基本4名まで、最大で6名まで宿泊可能。※未就学児は人数に加算いたしません。

■宿泊料金:1~4名まで41,800円(税込)~51,700円(税込)
      *5名様以上でご利用の場合: →1名様追加毎に5,500円(税込)~6,600円(税込)追加
      ※基本料金はご宿泊日によって変動いたします。

■多喜屋住所:香川県三豊市仁尾町仁尾丁312 ※仁尾町総合文化会館・図書館の裏手

■お問合せ先:メール≫nio-yosuga@suga-ac.co.jp  電話≫0875-82-3837(受付:古木里庫)

※新型コロナウイルスの影響をみて、オープン日を決定いたします。決まり次第、菅組ホームページ等でお知らせいたします。

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〔森里海から No.55〕アッケシソウ



文・写真 菅 徹夫

アッケシソウ(厚岸草)という珍しい草があります。アッケシソウは波が直接当たることの少ない海岸の入り江などにできる塩湿地と呼ばれる特殊な環境に生育する塩性植物で、10月下旬~11月初旬には深紅に美しく紅葉します。環境省レッドデータブックでは絶滅危惧Ⅱ類(VU)[香川県レッドデータブックでは絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)]に分類されている希少な植物です。

日本では1891年に北海道の厚岸(アツケシ)町で初めて発見され、その地名にちなみアツケシソウと命名されたそうです。その後1912年に牧野富太郎によって愛媛県で発見され、第二の産地として発表されました。最近まで北海道と香川県、愛媛県、岡山県の一部で自生が確認されていましたが、2014年版レッドデータブックによると岡山県と愛媛県も「野生絶滅」の範疇となっており、現在の野生生息地は北海道と香川県のみとなっています。

香川県内でもかつては屋島塩田跡地、坂出大越塩田跡地、坂出木沢塩田跡地、宇多津臨海公園の復元塩田など数カ所に自生していたらしいのですが、今では三豊市詫間町の丸一鋼管(株)詫間工場の敷地内にある砂湿地だけに自生しているのです。



丸一鋼管さんでは、社員の皆さんがアッケシソウの保護に取り組まれています。ISO14001の取り組みの中で、詫間工場業務課の活動目標として「アッケシソウ生育エリアの維持」を掲げられています。

先日、保護エリアを見学させていただく機会がありました。敷地の中に唐島(カラシマ)という小さな島があり、その島を囲むように池状に海水エリアが残されています。その池は外部の海と繋がっており、潮の満ち引きも海と同調して起こります。それを利用して特殊な塩湿地を維持し、アッケシソウの生育環境を守っています。生物多様性の取り組みとして注目すべき活動であり、これからの企業のあり方について大きな示唆をいただいたような気がしました。

工場用地の埋め立てを考え始めた頃、唐島の周囲は敷地内なので当然すべて埋め立てる予定だったようです。ところが当時の経営陣が唐島の美しさと希少性に気づいて急遽、島の回りを埋め立てずに現状のように海水の池にすることを思い立ち、県知事に掛け合って現在の土地形状が実現したそうです。なんと1983年のことだといいますから、その先見の明には驚くばかりです。

CSRやSDGsが叫ばれる中、生物多様性とどう向き合うかは、これからの企業のあり方を考えるうえでとても重要なテーマです。正面から向き合い、行動を起こしていくことが企業価値を高めることに繋がっていくのだと思います。丸一鋼管さんの取り組みから、改めてそんなことを感じた一日でした。

* 丸一鋼管(株)詫間工場のアッケシソウの見学をご希望の方は、「大工のはなし」の後に記載している概要をご覧ください。

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〔大工のはなし〕第16回『原寸絵様(げんすんえよう)と清書』


大工の腕の見せどころでもある彫り物。その彫り物をつくるのに欠かせないのが「原寸図」です。
まず、左側のように実際に彫る木材に原寸大の絵様(※)を描きます。この際、建物に取り付けた際にどう見えるかなどを想像します。その後、右側のようにベニヤ板に清書します。大きさや円の丸み、波打つ感じなど、線がなめらかなになっていることが分かります。その清書されたベニヤ板を絵のとおりにカットし、それを木材に写して、ようやく彫り作業にはいります。多くの工程を経て、素晴らしい彫り物がつくりあげられているのです。

※ 絵様とは、見本として描かれた絵や模様のこと。

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〔information〕・アッケシソウご見学希望の概要 ・仁尾一齣


「森里海から」でご紹介した【アッケシソウ】を実際に見てみたい方へ

丸一鋼管(株)詫間工場では、敷地内に自生しているアッケシソウを実際に見たいという方を受け入れています(予約制)。

丸一鋼管(株)詫間工場に電話やメールで予約すると、担当者の方が、当日案内してくれます。ご興味のある方は、左記の連絡先からご予約をお願いいたします。

【丸一鋼管 株式会社 詫間工場】
住所:香川県三豊市詫間町詫間6883
電話:0875-83-3301(受付:8時~17時)
メール: itou.keiji@maruichikokan.co.jp(担当者:業務課 伊藤さん)
必要事項:お名前。ご連絡先、ご住所、見学希望日時、見学人数
見学料:無料
駐車場:あり

※新型コロナウイルス対策を万全に整えております。お客様はマスクの着用や手の消毒等をよろしくお願いいたします。また、体調のすぐれない方は、ご見学をお控えいただきますようお願い申し上げます。



・仁尾一齣 「仁尾町曽保の集落」


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