自然と寄り添う暮らし

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あののぉ vol.36 2015 冬

あののぉ vol.36 2015 冬

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〔お宅訪問〕土壁とOMソーラーの家


漆喰と鎧張りが印象的な外観。
壁は昔ながらの技法を取り入れた土壁。
そこに、太陽の熱で家全体をあたためるOMソーラーを取り入れました。
おかげで寒い冬は
どの部屋もあたたかく、とても心地よい。
玄関、居間、台所も一体となり、
空間がのびやかにつながっています。
のびのびと健やかに暮らすO邸を
訪れました。


Oさん夫妻と2人の息子さんが暮らすOMソーラーの木の家は、仏生山の町中からほど近く、里山や田畑の集まるのどかな風景に佇みます。外観は白い漆喰と鎧張りの杉板の優しいコントラストが印象的です。土地探しから弊社スタッフがお手伝いさせていただき、前面道路へのアプローチの取り方など建物の形や暮らしも視野に入れて土地の提案をさせていただきました。ご主人が望んだのは「日本の家」。建物の造りや素材はもちろん、まわりの環境も意識したといいます。同じ世代ばかりが集まって暮らすのではなく、様々な年代の人が関わり合い助け合って暮らす、そんな故郷の風景も含めて古き良き日本の自然と隣り合った家を望みました。

自然な暮らしを求めた時、目にとまったのがOMソーラーでした。新鮮な空気を太陽熱であたためながら取り込み、家全体に循環させるシステムは、過度な暖房とは違い、季節本来の気候をやさしく感じながら過ごすことができます。寒い朝も芯から冷え込まず暖房をつけるのは本当に寒い日に数回だけだそうです。
玄関の引き戸をガラリと開けると、掃き出し窓のある広い土間が迎えてくれます。目の前にある和室は3面の障子を収納することができ、土間の陽だまりや庭の風景を遮ることなく楽しめます。O邸には開き戸がありません。全て障子や襖にみられるような引き戸を使っています。高温多湿の日本では、昔から風の通り道を邪魔しない引き戸が使われてきました。広く使いたい時は引き戸を開けてひとつながりに。また閉じることで、人と人との間をゆるやかに仕切ります。


「木材の木割れや色の変化は生きている素材だからあたり前の事。その変化を愉しみたい。」とご主人。県産の桧を使ったリビングの床は 7年の時を経て深い飴色に変化しています。壁は古民家などで馴染みの深い土壁で、竹を交差に編んだ「竹小舞」と呼ばれる伝統技法を下地に施しています。その上に土を丁寧に塗り重ね、内装は珪藻土で仕上げました。材となってからも呼吸する木や土は、素材そのものに調温調湿効果があります。自然素材を使う事は、職人の手により伝えられてきた日本人の知恵なのです。
生きた素材に包まれ、OMソーラーに支えられたO邸は、家が深呼吸をしているような心地よさがあります。これから春になると、朝の鳥の声がいっそうにぎやかになるそうです。なにげない季節の移ろいを暮らしの中に感じながら、家とOさんご家族の時間がともに育まれ、かけがえのないものになっていくのだと感じました。

高松市 O邸 2009年6月竣工
延床面積/134.70㎡(40.82坪)
構造/木造2階建 OMソーラー
設計・施工/菅組

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〔森里海から No.36〕仲南の杜と大黒柱伐採のこと


文・写真 菅 徹夫

もう15年前のことになります。2001年の元日、朝日新聞の紙上に意見広告として「近くの山の木で家をつくる運動 千人宣言」が掲載されました。それは日本の人工林の破壊的とも言える荒廃を憂い、山の荒廃をストップさせ、木の文化を蘇らせようという宣言文でした。私たちはその運動に賛同し、少しずつですが国産材、地域材を積極的に利用することで山の荒廃を抑制しようという活動を行ってきました。日本の森林は国土面積の約2/3(67%)です。先進国では世界第二位の森林率を誇っていると言われています。その森林のうち40%が人工林です。杉や桧を中心とする人工林は、間伐や枝打ち、下草刈りなど人の手が入ってはじめて生き生きとした森として維持されます。放置された森は日光が入らない真っ暗な森となり、生長も悪く貧弱な木ばかりになります。生物多様性の乏しい死んだ森と化してしまいます。花粉症もこの放置された森が原因です。つまり、人工林は適度に木を伐って(間伐)使うことで健全に循環していくのです。


この「近くの山の木で家をつくる運動」を受け、2002年に「讃岐の舎づくり倶楽部」という小さな地域グループを立ち上げました。そのグループを中心に行ってきたのが「大黒柱伐採ツアー」です。舞台は旧仲南町(現まんのう町)の森、県下では数少ない専業林業家の豊田さん(倶楽部メンバー)の山です。豊田さんの山は徳島県にほど近い讃岐山脈の中腹にあります。桧を中心にした50町歩(約50ha)ほどの人工林は管理が行き届き、生き生きとした美しい杜です。家を新築するご家族にこの山に入ってもらい香川の森林や林業に触れてもらうと共に、自宅の大黒柱になる木を目の前で伐採してもらおうというものです。伐採見学には10数人から50人くらいの一般見学者も参加し、その瞬間を共有します。樹齢80年程度の桧の伐採は大迫力で大きな歓声が上がります。実際にその木が大黒柱となって新しい家を支え続けます。住まい手さんには一生の思い出として心に刻まれることだと思います。
2002年に始めたこのイベント、それ以降毎年開催しており、昨年の秋で14回目を迎えました。大黒柱を伐採したご家族は50組を越えました。小さなことですが今後も継続していくことで「山の荒廃をストップさせ、木の文化を蘇らせる」という当初のミッションに少しでも近づけたらと思っています。「日本の木を使う」ということ、これからも進めていきたいと思います・・・。

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〔竣工案内〕雲辺寺ロープウェイ山麓駅トイレ棟 新築工事


昨年12月、雲辺寺ロープウェイの山麓駅トイレ棟を新築いたしました。ここは四国霊場第66番札所「雲辺寺」やスキー場の入口などとして、県内外問わず多くの人が利用する場所です。
瓦屋根や深い軒、ひと息つける腰掛け。そしてあらわしの小屋組。豊かな山にとけ込むようにして佇みます。

木がふんだんに使われ、梁の切り口の白色は、お寺などでよく見る胡粉(ごふん)です。木の保護の役目を果たしてくれます。
時を経るごとに味わいを増し、ほんのひと時でもゆっくりできるトイレとして、皆さまにご利用して頂けると幸いです。


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〔大工の仕事〕


加工場に運ばれたのは幅80cmの大樹の杉板。樹齢は100~150年になります。ここから大工の手により、座卓とテーブルに加工されます。まずはねじれや反りを見極め、電気カンナをかけます。次にタテ・ヨコ・ナナメの3方向に手カンナをかけ、さらにサンドペーパーを3回、だんだん目の細かいものに変えていきます。最後に柿渋などの塗装を繰り返し塗っては磨き、丁寧に仕上げます。


千切り(ちぎり)
無垢の木の家具などに見られる手法で、主に蝶々の形をした板をはめ込み、木の割れを止めます。わざと濃い色の木を使い、材としては欠点の「割れ」や「ふし」も趣きある姿に生まれ変わります。


完成した家具が並ぶのは、2015年11月末に新装開店した「手打ちうどん つるや」さん。壁の板張りや座敷の床には桧を使い、天井は茶室にもよく使われる伝統技法「網代張り」を施しました。改修し自然素材がふんだんに使われた店内に、一枚板のテーブルがどっしりと構えます。おいしいうどんを味わいながら、様々な「千切り」や磨かれたテーブルの繊細な大工の手仕事をご覧ください。

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〔OMinformation〕


木を基調とした看板に、それぞれ「太陽と、地球と、OMソーラーの家。」「足元からポカポカ 太陽がくれた暖かさ」と書かれています。近くをお通りの際はぜひご覧ください。


取り込んだ新鮮な外気を太陽の熱であたため、家全体に循環させるシステムです。日が沈んだ後は蓄えた熱を床下から放出し、昼と夜の室内温度差をやわらげます。OMソーラーHP


チルチンびと別冊48号(2016年1月号)に、菅組で設計施工した「OMソーラーの平屋」が掲載されました。自然によりそう暮らしを支えるOMソーラー。無垢な素材につつまれた平屋は庭と家族をつなげ、五感を育みます。


菅組の高松展示場では、実際にOMソーラーの心地よさを体感していただけます。家づくりの資料も各種取り揃えていますので、ご家族・ご夫婦でお気軽にお越しください。
見学の際はご予約を承っております。ご希望の方は下記連絡先までお問い合わせください。
菅組 高松展示場
高松市郷東町23-7 TEL 087-882-6387

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〔イベントレポート〕100万人のキャンドルナイト

第21回 1000000人のキャンドルナイト2015 冬至 in古木里庫


今回のテーマは『木』。会場内には仲南の森で伐採した杉と桧の生木を設置し、森さながらの雰囲気でお楽しみいただきました。


キャンドルカフェでは仁尾産のレモンを使用したホットはちみつレモンを販売。薪ストーブとあわせて暖まっていただきました。
ご来場いただきました皆様、誠にありがとうございました!
古木里庫 0875-82-3837 


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