自然と寄り添う暮らし

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あののぉ vol.33 2015 春

あののぉ vol.33 2015 春

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〔お宅訪問〕正方形の讃岐舎に暮らして


仲の良い家族の暮らしは、
住まいが味わいを増していくとともに
ますます楽しいものなっていく。

小さくつくり、大きく住む。
ひとつ屋根の下、おおらかに暮らし、
家族の笑い声や足音が心地よい家。

それが讃岐舎だった。



Hさんご家族が住まうのは、近くの山の木を使って建てた正方形の「讃岐舎」。夫婦とお子さん二人の暮らしにぴったりな、小さな木の家です。
息子さんが小学校へ上がるのをきっかけに新築を決めたご夫婦。いろいろな見学会をみてまわるなか、牟礼町の小さな木の家に暮らすご家族との出会いが、Hさんご家族の「家づくり」に対する考え方を変えるものとなりました。そのとき出会った家は、住まいを最小限の大きさにかまえ、その分庭を広くし「手をかけて暮らす楽しみ」を満喫されているご家族の住まいです。そこに住まうご家族からは、おおらかな暮らしが感じとれ、ごく自然にHさんご家族の家づくりの主軸となりました。


一階のひとつながりの空間は、リビング、ダイニング、キッチン、そして勉強部屋としても使います。家族みんながほとんどの時間を過ごすこの場所には、南向きの掃出し窓や、各所にすえられた四角い窓からやわらかな陽が差し込み、無垢の木肌や白い壁がやわらかく光を受けとめます。晴れた日には電気をつけずに十分明るく過ごせるそうです。
奥さんが台所に立つあいだ、子どもさんたちは肩をなべて勉強机にむかいます。時にはご主人が座ることもあり、三人並んだ背中を見守りながら食事を作る奥様の、幸せな笑顔が思い浮かびます。部屋の中央には、まんのう町の山でご家族一緒に伐採した大黒柱が、お子さんの成長の記録を刻みながらどっしりとかまえています。その桧の先端部分は木登り柱となり、お子さんたちがロフトへ登るはしご代わりになっています。


庭には桃やミカンの木が植えられ、実のなる日を心待ちにしています。夏には野菜を育てたり、緑のカーテンを作ったりして楽しんでいるそうです。庭に立てられた的は、息子さんがアーチェリーの練習をするためのもの。アーチェリーは、ご主人さんが学生時代に始め、今でも続けているのをきっかけに息子さんも習いはじめました。弓の構えをみせてくれるご主人さんを、嬉しそうに目を輝かせてみつめる息子さん。ご主人さんに教わりながら弓を弾く姿は誇らしげで、「いつかお父さんのようになりたい」と照れながら教えてくれました。

庭を望むリビングを中心とした陽だまりの部屋。食事、勉強、だんらんと、いろいろな場面で家族が集い、それぞれのお気に入りの場所、時間がここにあります。青空の下にたたずむH邸の姿は自然体で身構えず、四人仲良く暮らす住まい手さんのように、やわらかな表情を持っています。家づくりの際に望んだおおらかな暮らしは、あたりまえのようにここにありました。


さぬき市 H邸 2012年3月竣工
延床面積/98.00㎡(29.70坪)
構造/木造2階建 在来工法「讃岐舎」
設計・施工/菅組

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〔森里海から No.33〕ソメイヨシノ


文・写真 菅 徹夫

日本の春の象徴と言えば「桜」ですね。桜の種類は600種を越えると言われているようですが、桜といえば「ソメイヨシノ」を指すのが一般的です。「桜前線」という言葉があるように誰しもがこのソメイヨシノという桜に、なによりも象徴的に日本の春の訪れを感じているのです。
ところで、このソメイヨシノという桜、人が品種改良によってつくりだした園芸種であることをご存じでしたか。明治時代の初めころにエドヒガン系の桜とオオシマザクラの交配種としてつくられたのだそうです。時代はかなり新しく、しかも人が作り出した「園芸種」であるということは、そもそも伝統的に日本の春を象徴してきた花ではなかったと言うことになります。もともと日本の野生に生息してきた樹木ではないのですね。しかも、ソメイヨシノは果実(サクランボ)をつけません。種ができないのです。従って自然繁殖ができず人の植樹に頼るしかありません。種ができないので挿し木で種を増やしていくしか在りません。ということはソメイヨシノはすべてが同じ木から挿し木によって増殖した「クローン」で、全く同じDNAを持つのです。そこには遺伝子の多様性なる概念は存在しないのです・・・。

photo:里山を彩るヤマザクラ(香川県三豊市仁尾町) 



左上.ソメイヨシノは一斉に花だけが咲く(花の数もヤマザクラに比べて多い)
右上.ヤマザクラは新芽と同時に花が咲く
下.覚城院のソメイヨシノ(香川県三豊市仁尾町)

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〔現場訪問〕四国霊場第71番 弥谷寺(いやだにじ)
      バス待合所新築工事 (平成26年7月完成)



昨年7月、四国八十八箇所のひとつ「弥谷寺」に、山上バス待合所が完成しました。木肌のぬくもりを、風合いや手触りから感じられる、やすらぎの空間です。
 
霊場の中でも難所といわれる、本堂まで540段の石段。徒歩で登るのは難しいという方のために、ここから大師堂納経所までの山上バスを運行しています。
 
お遍路は遍路修行と呼ばれ、苦労を伴っただけご利益があるといわれます。歩ける方は、ぜひ表参道より仁王門を通り、巡拝ください。また、不安な方はバスで上がり、帰りは徒歩で降りてみてはいかがでしょうか?自然豊かな境内は、梅、桜、ツツジ、紅葉など、季節によってさまざまな表情をみせてくれます。


【行事のご案内】

◇四国霊場開創1200年記念
四国霊場開創1200年を記念し、秘仏とされた厄除け大師像を320年ぶりに御開帳しています。また、弘法大師千座之護摩行のちに納められた大師御請来の「寺宝・金銅四天王五鈷鈴(重要文化財)」もはじめての公開です。ぜひご参拝ください。
期間:~平成27年3月10日(火)午後4時まで(拝観無料)


◇お水まつり
古来より、人々は山々に仏や神が宿ると信じてきました。弥谷寺のある弥谷山では、「水場の洞窟が仏の住む世界への入口」とされ、修験者により刻まれた摩崖仏が点在します。
現在では「お水まつり」と呼ばれるお水場の洞窟に、真言の書かれた経木を山頂からの水で洗い清め願掛けを行う事で、水場の地蔵尊が霊山に住む仏や神に願いを届けるといわれています。
 photo:お水場(扉奥に洞窟が続きます) 修繕:(株)菅組
3/20(木)・21(金・祝)〈受付/午前6時~午後7時〉※21(金)は午後3時まで

■大本山弥谷寺 三豊市三野町大見乙70 TEL/0875-72-3446

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〔お店紹介〕平石堂


仁尾町はかつてのメインストリートの一角。ガラス扉からもれる電球の灯りと楽しそうな笑い声が、道行く人を誘います。懐かしいタバコ屋さんの姿を残したその店舗は、2年前に閉店されてから、しばらく空き家のままでした。ねむっていたお店に再び明かりを灯したのは、一般社団法人「誇」のみなさん。
仁尾の町を活気づけ、歴史とそこに息づく人々の営みを守り継ぎたい、そんな思いで立ち上がった、地元の若手を中心とするチームです。「誇」としてはじめての活動は、2014年の八朔人形まつり。50年近く空き家になっていた明治時代の邸宅跡「松賀屋」を、地域の方々の助けを借りながら蘇らせ、イベントを通して公開しました。予想以上の反響を受け、一度消えてしまった地域の風景を再生することの意味、そして必要性を感じたと言います。


そんな中、縁あって空き店舗になっていた「平石堂」を手掛けられる事になりました。現在「平石堂」を管理されているのは、「誇」の代表理事であり、仁尾町の海沿いにあるcafe de flots (カフェ ド フロ)の店主・浪越弘行さん。すでに貸しギャラリーとしていくつものイベントを開催しました。ワークショップや音楽会、地元の方による一日カフェやパン屋さんなど、お店に明かりが灯るたび、かつてのように人が行き交い、笑顔が集います。落ち着きのある店内は、もともとあった家具や道具を使って改装し、新しい風を取り入れつつも、古き面影をしっかりと残し、初めて訪れる人にも懐かしさを与えてくれます。

今はまだ週に一度は浪越さんが通い、カフェを開いていますが、もっと利用してくれる人が増えれば、また次に眠る風景を再生させるため動きたいと、真剣な眼差しで話してくださいました。その場所が、地元に戻って働きたい若者や、定年された方の第2の生き甲斐の場となり、観光客を呼ぶだけでなく、地元の人が気軽に集える場所として、仁尾の活気を生む場所になって欲しいと言います。生まれ育った町のために何かがしたいと思っている人の、背中を押すきっかけとなる事が、今の「平石堂」の役割なのだと感じました。小さな海の町の灯台となって、これからも「平石堂」に明かりが灯り続けます。


◇過去のイベント
「あんどさきこ音楽会 うれしいこと」の様子。カフェ兼、作家さんのギャラリー・ワークショップの場として利用しました。ビジネスマッチングすることで、表現方法は無限大に。
お客さんも楽しみが増えます。


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〔ご案内〕古木里庫(グランビル四国) 薪ストーブ体感会



■イベント内容■

・薪ストーブの い・ろ・は
 北米・ヨーロッパ老舗ストーブメーカーの輸入を手掛けるお店「グランビル」さんに、より詳しいお話をきいてみましょう♪薪ストーブの魅力 扱い方 様々な楽しみ方 など

・おしえて!薪ストーブのはてな
 薪の調達や管理方法、シーズン終了時~来シーズンに向けてのメンテナンス方法などをお伝えします。薪ストーブを楽しむために、知りたかったことを具体的にきけるチャンス!お気軽にご質問ください。薪のこと 消耗品のこと 煙突掃除のこと など

・ピザ作りワークショップ(1枚500円)
 生地をのばして自由にトッピング♪薪ストーブで焼き上げます☆〈数に限りがあります。また、時間によりお待ちいただく場合があります。〉

・薪ストーブアクセサリーショップ
・薪割り体験
・薪ストーブおやつ・ドリンクの販売

□問い合わせ:古木里庫 三豊市仁尾町仁尾乙264  TEL:0875-82-3837 

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〔イベント情報〕仁尾をまるごと楽しむ



歴史の足跡が数多く残る三豊市仁尾町。
あちこちに残る屋号を、伝統として残る張子でオブジェ(アート)にしました。松賀屋を中心に展開する楽しさいっぱい、おいしさいっぱいの4日間をお楽しみください。

・屋号張子アートまちあるきツアー(予約制)
 4日間 11時‐15時 定員:各日程20名 参加費:2,500円(昼食代・保険代込)
 集合場所:仁尾町総合文化会館 申込:0875-56-5133(マリンウェーブ)

・古民家マルシェ・温故知新
 3/7(土) 10時‐16時 松賀屋

・仁尾クイズラリー
 4日間 11時‐16時 参加費:無料 クイズ用紙設置場所:松賀屋、平石堂

・張子の虎の展示・ワークショップ
 3/7(土)・8(日) 展示≫10時‐16時 ワークショップ≫11時‐16時
 ワークショップ定員:先着20名限定(両日とも) ワークショップ参加費:2,000円 松賀屋

・旧家松賀屋でマクロビランチ(30食限定)
 3/8(日) 10時‐13時30分(予定) 費用:1,600円 松賀屋

・平石堂 レトロカフェ
 4日間 10時‐16時 平石堂

・オカリナコンサート
 3/7(土) 14時‐15時 参加費:500円(飲み物・お菓子付) 松賀屋

・伝統工芸士がつくる讃岐の手まりの展示
 2/28(土) 10時‐16時 松賀屋

■問い合わせ:0875-56-5133
 主催:仁尾まちなみ創造協議会 共催:一般社団法人  誇


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