自然と寄り添う暮らし

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あののぉ vol.31 2014 秋

あののぉ vol.31 2014 秋

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〔お宅訪問〕街なかの木の家


木のぬくもりに満たされたS邸。
“裸足で過ごすことが多いです”そう話す、住まい手さん。
なぜ?
それは、木のぬくもり、
感触が気持ちいいから。
味わいを増す無垢の木は、
やわらかく、そしてやさしい。

これからも、ずっと
家族を包みこんでくれます。


高松市の街なかに佇むS邸。風景に溶け込むように趣を増していく杉板と、シャープなシルバーのガルバリウム鋼板、玄関まわりの白い壁、素材を張り分けた外壁が印象的なお宅です。

家づくりについては明確なイメージがあったSさん夫妻。それは、「気取らず、自然体のままで健やかに楽しく暮らす」ということ。見学会にも足を運び、実際の木の心地よさに触れて、木の家に決めました。良い案が浮かべば設計、営業担当者に相談し、何度も打ち合わせを重ねました。建設中の現場にもまめに足を運び、時には大工さんのアドバイスをもらって、窓の大きさや素材を決めたこともあります。


リビング、和室、キッチン、デッキが一体となった空間。ここはSさん夫妻が一番悩み考えた場所です。ポイントは「それぞれの場所の床の高さを変えること」。一番低い場所にあるキッチンに立ち、ダイニングに座る奥様、一段上のリビングの床を椅子代わりに座るご主人、さらに一段高い和室に腰掛ける娘さん。そうすると、みんなの視線が同じ高さになります。どこでどんな過ごし方をしていても、互いの笑顔を見合わせることができます。また、庭をコンパクトにした分、広くとったデッキは、二面の大きな窓がリビングからの目線を広げます。夏は涼しい南風を、冬にはやわらかい日差しをたっぷりと受け入れ、自然な温度調節をしてくれています。床に使われた杉の無垢材は、一年を通して素足に心地よく、エアコンを使うことは少ないそうです。家族みんな、ほとんどの時間をここで過ごします。



家づくりの計画をしていた当時、毎日自作の図面に向かっては試行錯誤していたご主人。そうやって考え悩むことがとても楽しかったといいます。そんなSさんご家族はモノづくりが大好き。日曜大工をするご主人、お菓子づくりの好きな奥様のそばで、娘さんも自然と作ることが好きになりました。部屋に飾られた絵や習字、粘土工作は賞をとるほどの腕前。またガラスの器には、近くの小川でとってきたメダカが元気よく泳いでいます。そのひとつひとつに飾らない自然体の生活を感じます。

S邸には、ここにしかない時間の流れがあります。窓から木々の緑が美しく見えるお気に入りの場所で「年をとってもここに座っている気がします」と笑う奥様。この家が心地よいのは、考え抜かれた間取りのせいだけでなく、共に過ごす家族が寄り添っているからだと感じました。

高松市 S邸 2011年9月竣工
延床面積/126.04㎡(38.20坪)
構造/木造2階建 在来工法
設計・施工/菅組

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〔森里海から No.31〕石積


文・写真 菅 徹夫

「石積」というとお城の石垣を連想される人も多いのかもしれません。もちろんそれも石積みの一つですが、ここで取り上げるのはお城のような高度な技術を要求される石積ではなく、もっとシンプルで原始的な石積です。それは棚田や段畑で見かける野面石を規則性のない乱積み、モルタル等を使用しない空石積みで積み上げたもの。それらの石積みはほとんどが農家の人たちの手によってつまれたもので、家族や地域内で代々受け継がれてきた技術です。いわば素人が丁寧に積み上げた作品といえます。今ではこのような石積みを新しく作ることはほとんどなくなったようですが、過去の先人達によって築かれた石積を田んぼや畑の田園地帯で、今でも時々見かけます。それらは土留・擁壁としての機能だけではなく、田舎の美しい田園風景を形成する要素としても重要な役割を担っています。また空石積みで積まれた石の間には変化に富んだ様々な空隙がうまれ、多様な生物の生息空間としても多いに機能しています。田んぼの石積みはこのようにビオトープの一つのタイプとして、生態系の観点からも非常に重要なのです。

photo:左→仲多度郡まんのう町、右→三豊市財田町


今ではこの石積の技術を継承する農家の人たちも少なくなり、絶滅危惧種と言ってもいいような状態です。最近多く作られている間知ブロック(コンクリートのブロック)やコンクリートの擁壁は土留めとしての機能は優れているかもしれませんが、先に述べた景観やビオトープとしての機能はゼロむしろマイナスです。また、「再生可能」という観点からも石積は優れていますが、コンクリートは瓦礫を生み出すだけです。生物多様性や景観性能が問われる今、棚田や段畑の石積が再度見直されても良いのではないでしょうか。現代文明が置き忘れてきた小さな文化を、もう一度一つ一つ拾い上げていく・・・そんな作業がこれからは大切になってくると思います。

photo:左→三豊市財田町、右→間知ブロック

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〔イベント案内〕薪ストーブ体感会



薪ストーブに火がともると、自然に家族が集まり、ゆっくりとした時間が流れます。そんな「火のある暮らし」を味わっていただけるイベントです。
photo:K邸の薪ストーブ[エッセブライトン]


・薪ストーブユーザーさんのお話
・グランビル(薪ストーブメーカー)による、
・薪ストーブの特徴や設置、煙突のお話
・ピザ作りワークショップ(500円/枚)
・薪割り体験
・薪ストーブアクセサリーの販売


薪ストーブを見るのも、触るのも初めての方、ご興味のある方、薪ストーブのある暮らしを満喫されている方など、ぜひお越しください♪
設置やメンテナンス、薪に関する質問も随時受付中です!お気軽にご相談ください。

問い合わせ:古木里庫
      香川県三豊市仁尾町仁尾乙264 tel:0875-82-3837

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〔お店紹介〕KAKIGORI CAFE ひむろ



瀬戸内の海が広がる仁尾町の浜辺沿いに「KAKIGORI CAFÉ ひむろ」がオープンしました。フルーツ王国三豊の、旬な果物をたっぷり使ったソースが自慢のかき氷カフェです。もともと喫茶店だった場所を改装し、新たな仁尾町の注目スポットとして生まれ変わりました。地元で収穫された果物の自家製ソースは、一番おいしい時期ものを使用するため甘みが強く、季節によってメニューも衣替えします。注文を受けてからカットし、新鮮な果肉がたっぷりとトッピングされ、とってもジューシーなかき氷です。ミルクも自家製というから驚きです。今夏のメニューは、桃、ボイセンベリー、ピオーネなど。他にもチョコバナナや宇治金時があります。ふわふわの氷と、素材の味が生きたこだわりソースとのハーモニーをお楽しみください。



お店の一角に飾られた赤を基調とした絵は、オーナーの友人が描いたもので、はじめに「この絵が似合うお店を」と希望されました。シンプルにつくられた店内に、その鮮やかな赤色がアクセントとなっています。店内を彩るのはそれだけではありません。三面がガラス張りになっているため、外の光が店内を明るく照らします。西側は瀬戸内海へとつながる遠浅の父母ヶ浜。北側には木々が生い茂り、緑の影をつくります。木漏れ日の中楽しむ時間は、まるでヨーロッパの街角にあるオープンカフェのようで、何度でもふらりと立ち寄りたくなります。



「開店」は新たなスタートです。仁尾町でお店をはじめたいと思っている人への後押しとなれば。そんな思いで「ひむろ」は誕生しました。このお店をきっかけにIターンやUターンの方が増え、仁尾町を熱くするお店がもっと生まれ、活気にあふれる仁尾の町をみることが「ひむろ」の願いです。



香川県三豊市仁尾町仁尾乙202
0875-82-2101
夏期.11:00-20:00 冬期.11:00-18:00
毎週月曜日[祝日の場合は翌日]

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〔スタッフリレー13〕ビオトープワークショップ その後

B様のお宅で開催しました「ビオトープワークショップ」その後を紹介します。2011年4月開催後、約3年の月日が経過し、ビオトープにはコガマやカキツバタが生い茂り、庭との一体感が生まれ良い感じになっていました。
※ワークショップレポート→あののぉ vol.18  お宅紹介→あののぉ vol.26



「ビオトープのメンテナンスはビオトープと一緒に学んできた」と、おっしゃる奥様は、あえて手を加えず常にナチュラルな感じを大事にしているとのことです。
photo:上:2011年 下:2014年



◆B様流!ビオトープから学んだポイント
・植物はどんどん育つので、増やしすぎないように注意! 
・年1回の大掛かりなメンテナンスとして、秋頃に余分な植物や泥を撤去!
・植物が多いと影ができる。これが魚達の暑さ対策や、外敵から身を守る役目も果たしている!
・水の補充は基本的に雨水のみで、雨水タンクの水が直接ビオトープに流れるようにしている!※建物の雨樋につないで、屋根に降った雨水を貯めるタンクが「雨水タンク」です。 自治体では、設置に対して助成金を出しているところもあります。



メダカやタナゴが泳いだり、季節ごとの花が咲いたり、スズメやカエル、カメ達が遊びにきたりと、楽しい毎日だそうです。


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〔イベント情報〕大黒柱伐採ツアー



まんのう町「仲南の森」で、大黒柱伐採ツアーを開催します!林家の豊田さんによって丁寧に管理されている、健全な山の桧や杉を伐採します。樹齢100年近くの木を、住まい手さんご家族が見守る目の前で伐り倒される姿は、迫力満点です!
これから家を建てようとお考えの方、山についてご興味のある方など、見学のみでもご参加いただけます。ぜひお越しください。


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