自然と寄り添う暮らし

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あののぉ vol.30 2014 夏

あののぉ vol.30 2014 夏

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〔お宅訪問〕小さな平屋の木の家


木の家に暮らすからこそ、
おおらかな気持ちになれる。
時間のある今だからこそ、
色んなことに挑戦できる。
幼い頃に過ごした
あの家、あの暮らしに戻りたいと
願ったご家族の新たな物語です。


緑の多い住宅地の一角に佇むFさんのお家。半年前、現在住んでいる家の向かいに、庭と石のアプローチで繋がる小さな平屋を建てました。ご夫婦が定年後にゆっくりと過ごすため、余分なものをなくした、つつましい木の家です。


ご主人が思い描く理想の住まい。それは幼いころ過ごした農家の家でした。庭には牛、鶏小屋、ベーハ小屋(タバコの葉の乾燥小屋)があり、朝、生みたての卵をその日食べる分だけ頂きます。おやつには畑のスイカを食べ、皮は牛の餌に。味噌、梅干し、つけ物など、自分たちが食べるものは自分たちで作ります。便利な機械はなく、何をするにも手間がかかりました。その手間を楽しみ、身近な自然に季節を感じる。かつてあたりまえだった暮らしの中に、豊かさがありました。
今でも、味噌などは手作りしているというFさんご家族。普段から自然の恵みを感じているため、住まいにも、大地から生まれ土に還る天然の素材を求めました。床には柔らかくしっとりと足に馴染む杉を。壁には土佐の和紙。大黒柱の桧は、仲南の森で伐採の瞬間に立ち会いました。根元に近い二本は柱に。枝のついた先端は、太さに応じてベンチやコートかけに活用しています。屋根に設けた越屋根は、香川県に多く姿を残すベーハ小屋を手本にしています。先人の知恵を生かした形は、採光や、空気の流れをつくるだけでなく、今もご主人の中に在り続ける思い出の一端でもあります。



平屋の中心を占めるのは、キッチン、リビング、デッキを含むひとつながりの空間。娘さんの仕事場としても活躍しており、さまざまなワークショップは、自分らしく生きるための手助けをしてくれます。掃き出し窓とデッキの段差は、外へ向けて腰を下ろすのにちょうど良い高さ。庭の中心には、冬に植えたエゴノキがつぼみを膨らませていました。花の姿を調べ、何度も植木屋さんへ通って決めたそうです。そうして木を選ぶひとときは、この家がくれた時間。まだ土色の余白部分には、これからどんなストーリーをもった植物が仲間入りするのでしょうか。
定年後の現在も決まった曜日にお仕事をされており、少しずつ住まいを移しているところ。「一年くらいを目標に気ままにやっています。そんな時間の決め方ができるのも新鮮。それを叶えてくれる小さな箱、といった存在です」そう話すご主人。建築時の廃材で机や棚をつくる。野菜を収穫したら、土は天日に干して次の準備を。剪定したオリーブの枝は、デッキで乾かしリースの材料やオリーブ茶に使う。無垢材の床を棕櫚箒で丁寧に掃除する姿は、愛おしい時間を与えてくれる家へお礼を述べているように感じます。小さな木の家はたくさんの未来を持ち、住む人と紡ぐ家物語が、すでにはじまっていました。

丸亀市中府町 F邸 2013年9月竣工
延床面積/69.35㎡(21.02坪)
構造/木造1階建 在来工法
設計・施工/菅組 

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〔森里海から No.30〕ニゴロブナ


文・写真 菅 徹夫

珍味好きの私にとって、琵琶湖の鮒寿司は外せません。鮒寿司は「なれ鮨(主に魚を塩と米飯で乳酸発酵させた食品)」の一種で、ニゴロブナを原料に作られる滋賀県の郷土料理です。ニゴロブナは琵琶湖の固有種(すなわち世界中で琵琶湖水系にしか生息していない鮒)で、鮒寿司には本来このニゴロブナが使われます。鮒寿司が琵琶湖周辺だけの郷土料理、伝統食である理由がここにあります。

photo:左・真ん中→鮒寿司、右→鮒寿司のお吸い物



しかしながらニゴロブナの個体数は生息環境の悪化やブラックバスなど外来魚の侵略によって激減しており、絶滅危惧種(絶滅危惧IB類[環境省レッドリスト])に指定されています。そのため価格が高騰し、ヘラブナや銀ブナを代用した鮒寿司も作られています。しかしそれらは同じ鮒でも味が全く違うのです。
鮒寿司は独特の強い発酵臭があるため苦手な人も多いと思いますが、ヘラブナや銀ブナの鮒寿司を食べて美味しくないと敬遠している人も多いのではないかと想像します。鮒寿司はニゴロブナに限るのです。なかでも3月~4月の卵を持ったメスが最も美味しいのです。
本来は郷土料理、家庭料理として日常的に食べられる身近な「食」だったはずの鮒寿司が、今ではニゴロブナの個体数の激減による価格の高騰で、高級な手の届きにくい料理になりつつあります。生態系の衰弱が私たちの食文化にも徐々に悪影響をもたらしつつあるのです。生物多様性はそのまま日本の食文化の多様性に繋がります。日本食が世界遺産に登録された今、日本の伝統的な食文化を失ってはならないと改めて思う今日この頃です。
ニゴロブナを絶滅から救うために捕獲量を減らすことが重要なのではなく、以前のように需要に十分応えられるだけの漁獲量を確保しても個体数が減らないような生息環境を取り戻すことこそが最も重要なことなのではないでしょうか?
photo:二ゴロブナ

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〔工事現場紹介〕カナエテクノス新工場新築工事



◆クリーンルーム
生産能力を1.5倍に増強した新工場を、観音寺市の本社近くに建設中です。約20の製造ラインを備え、化粧品や美容関連商品を製造します。清潔な製品管理のため、工場内は「クリーンルーム」といって、小さなホコリや細菌の繁殖を防ぐように設計されています。
クリーンルームのレベルは、約30㎝四方の箱の空気中に含まれる、微粒子の数で決まります。各部屋にもよりますが、製薬会社並みの衛生基準を確保し、調合室はレベル10万に保たれます。




2階床にはフラットデッキが敷かれ、1階の天井吊ボルト・天井内配管等のためにデッキにあらかじめインサートを打ちこみます。インサートは使用用途により色分けして仕込みます。屋根工事が完了するまでは安全のため、水平ネットを張っての作業になります。



鉄骨部分に置かれた「スタッド」に「フェルール」とよばれる耐熱陶器製の溶接補助剤を被せ、専用のガンで溶接し、固定します。コンクリートと鉄骨の剛性を高めるために使われます。


現場監督:(左から)古本、服部、高橋、藤井

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〔イベント情報〕100万人のキャンドルナイト



・キャンドルナイトはじまりのお話
「私にできること 地球の冷やし方」
燃えている森をみて逃げ出した生きものたちと小さなハチドリのおはなし

・ワークショップたまご型ディッピングキャンドルづくり
講師 稲崎小百合 Handmade Candle i-style ¥500

・キャンドルナイトミュージック
ピアノ 鶴岡雅子 ウッドベース 浜野光男

・キャンドルカフェ プシプシーナ珈琲
香り豊かな自家焙煎コーヒー&ドリンク、Foodsもあります

・絵本の朗読
「アンサングヒーロー かんがえるきのこ」

・生物多様性のお話
ビオトープ管理士 菅 徹夫

・お絵かきコーナー、キャンドルホルダーづくり(無料)

お問い合わせ:古木里庫 三豊市仁尾町仁尾乙264
       tel:0875-82-3837

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〔スタッフリレー12〕高山航空公園

高山航空公園は、高松空港の西南西へ約3.6km、綾川町南部の高山(標高280m)に位置し、総面積は約4ha。旧綾上町により整備され、1990年に高松空港開港1周年を記念して開園されました。



360度パノラマ展望台からは讃岐平野、丸亀城、遠くは志度湾を望めます。その眼下には一直線に伸びた高松空港の滑走路も一望でき、離着陸後の飛行機が頭の真上を通過する姿は実に爽快な気分が味わえます。園内にはジェット機やヘリコプターが展示され、近くには航空神社が祭られています。日曜日には高山パークセンターにて地元物産品の販売も行われ、多くの家族連れで賑わっています。ぜひ行ってみてはいかがでしょうか?




高山航空神社では、お守りが販売されています。飛行機の神社だけあり、「落ちない」ということで、受験生におすすめのお守りですね♪

住所:香川県綾歌郡綾上町東分390-17
利用時間:9時-22時(季節により閉園時間が変更)
入場料金:無料
アクセス:高松空港から西へ農免道路を車で約10分


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〔古木里庫商品紹介〕漆喰かまど



左官の技術を広めるため、おいしいごはんを炊き上げるため開発された漆喰かまど。日本中の羽釜を試し選びぬかれた1合羽釜と、南部鉄器を用いた3合羽釜。かまどの仕上げには、厳選した海藻を炊いた糊と最高級の塩焼き石灰、麻スサを練り合わせて、1ヶ月以上寝かせた本漆喰や土佐漆喰を使用。左官職人の手で丁寧に5時間かけて鏝仕上げをしています。火加減にもこだわり、簡単な固形燃料を用いながらも焚口を小さくしたり空気穴を取ったり等、ごはんがふっくら炊けるように調整されています。



販売・お問合せ 古木里庫 tel 0875-82-3837


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