自然と寄り添う暮らし

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あののぉ vol.29 2014 春

あののぉ vol.29 2014 春

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〔お宅訪問〕材木屋さんの家


「木」の息吹を感じとり、
「木」と真正面から向き合うからこそ
「木」の素晴らしさを伝えれる。
材木店を営む住まい手さんは
365日、木に触れて暮らします。
そんな住まい手さんのお宅は
まさしく「木に包まれた家」。
木とともに暮らすっていいな♪と
感じるお宅を訪れました。


通りから見える二棟の建物。一方の屋根は、すべての棟が一点に集まる「方形造」。もう一方は、本を伏せたような形の「切妻造」。角度のついた屋根は、白川郷を思わせる姿です。シンプルながら目を惹く、気品ある二棟の正体は、材木店を営むGさんのお宅。客間と住宅スペースに分けられた二つの建物は中で繋がり、行き来することができます。


お客様用の玄関を入ると、開放的な応接スペースが現れます。昔の町家を思わせる広い土間では、縁に腰かけて打合せをする事もあるそうです。そこから続く畳み敷きの応接室は吹き抜けになっており、木目の美しい梁がみえます。南に向いた大きな窓からは明るくやわらかな光が入り、電気をつけずに過ごすことも多いそうです。
ぐるりと見回すと、各所に木の良さが現れています。土間の式台に使われているのは、桂の分厚い一枚板。手触りの優しい日本古来の樹種です。隣の和室には、現在では手に入りにくい黒タガヤの一枚板が床の間に使われました。堅い木肌を、職人さんが時間をかけて丁寧に削りだし、吸い込まれるように濃く深い木目が、和室の荘厳な雰囲気をつくります。正方形に近い建物の真ん中に立つのは、欅の大黒柱です。一尺二寸(約  )という太さは、そうそう見ることのできない立派な柱です。四方から伸びる梁を支える姿は、まさに家を支える大黒柱。年々深くなるというその木目もまた美しく、広い大地でのびのびと育った年輪が、威風堂々と家を支えています。その他の柱や梁には、杉が多く使われました。中でも「赤身」と呼ばれる種類は、赤みがかった濃い色合いが特徴で、耐久性にも優れています。木を扱っているからこその知識を生かし、適材適所にあてがいました。



ホールで繋がった隣の建物は住居スペースです。一階にある吹き抜けのリビングが一番のお気に入り。南に面した庭には、建築当時に植えた木々の他に、奥様が気に入った植木を見つけては仲間入りさせています。季節ごとに顔を見せてくれる花々が、リビングでくつろぐご夫婦の会話を彩ります。愛犬のパク君もお気に入りの様子で、広いお庭を元気に駆けています。


客間と住居スペースに共通して感じることは、木と光に包まれた空間であるということ。大きな窓から差し込む陽光の帯が、遮るものの少ないG邸をどこまでも進み、明るく照らします。大胆に使われた木材、美しい木肌に囲まれたG邸は、大木の元にいるような心地よさと、力強い安心感に包まれていました。

観音寺市豊浜町 G邸 2005年3月竣工
延床面積/239.43㎡(72.55坪)
構造/木造2階建 在来工法
設計・施工/菅組

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〔森里海から No.29〕鯉(こい)



文・写真 菅 徹夫

日本各地にある淡水の美しい水辺空間、池、用水路、湧水・・・。そこにはなぜか必ずと言って良いほど鯉が放流されています。鯉にえさをやり戯れる風景が日本の風物詩であるがごとく、私たち日本人の意識の中に刷り込まれています。鯉のぼりしかり、日本画などの題材になることも多く、鯉はまるで日本の伝統の象徴であるかのように思われている節があります。でもはたしてそうでしょうか?
「研究者らによると、日本で放流されているコイのほとんどは、品種改良などのために、ユーラシア大陸産と在来種の遺伝子が混ざった飼育種だ。日本在来の鯉は、琵琶湖北部などの一部でしか確認されていない。」(朝日新聞記事)とあるように、現在確認されている鯉のほとんどが在来種とは言いがたい種の鯉なのです。また鯉は「世界の侵略的外来種ワースト100」にも選ばれていて、雑食性で他の魚や貝、水草も食べます。大きな口が下方についていて、泥の中の生物をも残らず食い尽くします。体が大きく天敵が少ないうえ、汚れた水にも強いため、鯉の放流されたため池は最後には生物は鯉しかいなくなると言われています。当然生物多様性が貧困になり微生物さえもいなくなった水辺は生物浄化能力が失われ、結果として水が汚れます。鯉のいる水辺の水はきれいな水が保たれるのではなく、どんどん汚れていくのです。私たちは鯉がきれいな水の象徴であるかのごとく思いがちですが、まったくの逆なのですね。(もちろん透明度の高い流水の場合は、新しい水がどんどん流れてきますから鯉がいても水が汚れることはありませんが・・)

photo:左→鯉の群れ、右→鯉の口



日本には昔から日本の水辺に生息しているたくさんの生物がいます。メダカやどじょう、タモロコ、モツゴ、フナ、タナゴ等の魚類はもちろんのこと、泥の中にはヤゴやミミズ、またタガメやゲンゴロウなどの水生昆虫、そしてたくさんの水辺の植物、無数の微生物、プランクトン・・・・。そうした生物の多様性が美しい水辺の環境やきれいな水を支えているのです。鯉が放たれることで、生態系のバランスが一気に崩壊し生物相は貧困に陥ります。そう、鯉はブラックバスやブルーギルにも引けをとらない「侵略的外来種」といっても過言ではありません。
日本の美しい水辺空間が、鯉ではなく元来の日本の在来種による多様な生物の生息空間(ビオトープ)として再生されることを願ってやみません。

photo:右→用水路に泳ぐ鯉

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〔工事現場紹介〕観音寺市総合運動公園サブ体育館建設工事



観音寺総合運動公園内で、サブ体育館の建設が進んでいます。室内は、ミニバスケットボールやバレーボールのできるアリーナと、各種マシンが充実したトレーニングルームに分かれています。




◇屋根取り付け作業
屋根の素材はガルバリウム鋼板。加工しやすく耐久性があり、外装材として幅広く使われています。本来、工場で加工されたものを使いますが、今回の屋根のように長さ20mにもなると、トラックでは運べません。そこで、現場に成型機を持込み、加工を施します。こうすることで、繋ぎ目の無い、長い状態の材を使うことができます。


◇丸型キャップ式瓦棒葺き
地上高く上げられたガルバリウム鋼板は、「瓦棒葺き」と呼ばれる方法で設置します。等間隔に並べられた吊子に合わせて、加工したガルバリウム鋼板を敷き詰めます。その繋ぎ目に、丸型のキャップを被せた後、堅く締めて固定します。69枚の板が繋がり、緩やかな孤を描いた屋根が完成します。

来ていただいた方に、長く安全に使っていただけるよう、細心の注意を払って工事を進めています。完成の際には、ぜひご利用ください。


photo:現場監督:(左から)武内、堀川
    右側:屋根(内側)のトラス構造

設計:斎賀建築設計事務所
施工:菅組

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〔お店紹介〕仁加屋


潮の香りが心地いい。えんじ色の暖簾に白抜きの文字がゆれる。
観音寺市の琴弾八幡にほど近いお店「仁加屋」さんは、創業120年を越える蒲鉾屋さんです。10年前、店舗と工場を新築しました。その際に、元あった建物の素材を新店舗にも多く採用し、新たな役割を担っています。



正面の戸棚は、土間にあった下駄箱を塗り直しました。外回りに敷かれた石は、家を支える柱の土台に使われていたものです。新たな命をやどった古材たち。暖簾をくぐると、どこか懐かしい雰囲気に包まれるのは、そのためかもしれません。
蒲鉾の原料は、主にグチとよばれる白身魚です。朝早く港に出掛け、瀬戸内の新鮮な魚を仕入れます。生の魚を使った蒲鉾は、県内でも少なくなったといいます。
混ざり気のない素朴な魚の旨味は、新鮮だからこそ出せる本物の味。ストローに巻かれた「白紀久」や、伝統工芸士が作る木型を使った天ぷらなど定番商品の他に、するめ感覚で食べられる「ちっかのわ」も人気です。
100年以上変わらない手づくりの味と、古くからその営みを見守ってきたお店。自信があるからこそ、変わらずに代々受け継がれてきた味と想いを感じてみてください。



仁加屋
住所:観音寺市西本町1丁目1番16号
電話:0875-25-3879
営業時間 9:00 - 19:00
定休日:火曜

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〔スタッフリレー11〕朝日山森林公園



朝日山は通称「あせび山」と呼ばれ、三豊市高瀬町の東方・麻盆地の中心に位置する標高238.2m の山です。朝日(旭光)を一番最初に受ける山であることから、この名前で呼ばれています。
「朝日山森林公園」はその山頂部にある公園で、各方面からの樹木等の提供と1500名に余る市民の労働奉仕による“手づくり公園”として昭和63年に開園しました。樹種は47種、22,000本を数え、四季を通じて楽しむことができます。春にはソメイヨシノをはじめ、約2000 本の桜の名所として賑わいを見せます。麓から登山もできますが、車での移動も可能。展望台には城の天守閣を模した建物(資料館)があり、三豊市と、阿讃の山並み、遠くには瀬戸大橋まで見渡すことができます。
園内のキャンプ場、芝スキー、ウォーキングコースでは自然と触れ合うことができ、また長いすべり台などいくつかの遊具も設置されているので、幼児からお年寄りまで家族連れで楽しむことができる公園です。


最近は行く機会がないですが、子供が小さい頃はよく遊びに連れていきました。
山頂のお城風建物の最上部に一度登ってみたいという衝動に駆られます。



住所:・三豊市高瀬町下麻3829-14
標高:238.2m
入場料金:無料
アクセス:JR高瀬駅から車で約15分 ・さぬき豊中ICから約20分・三豊鳥坂ICから約20分


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〔古材リボーン〕古材×家具職人



古木里庫には長い歴史を刻み、そしてその役割を終えた柱や梁・建具たちが眠っています。たまにお呼びがかかり、次の旅に出るものもありますが、それはほんの少し。多くの古材と呼ばれるものはその時が来るまで静かに待っているのです。
「この古材たちをなんとか甦らせたい!」そんな想いで今回依頼したのはさぬき市在住の家具職人 「lib」の白井裕喜さん。
白井さんの手により新たに生まれ変わった古材たちです。



女性でも簡単に持ち運べるように・・・と、くり抜かれた脚部分。それはまるでよちよちと歩き出しそうなフォルムに仕上がり、こんなかわいらしい名前が付きました。



真ん中のくり抜かれた部分と上部に鉢が置けます。真ん中には灯りを埋め込んで照明やお店の看板としても使えます。



丸太を半分に割ってくり抜かれたこちらはサイドの年輪がアクセントになっています。水抜き穴もあるので、植物をそのまま植えても素敵です。


白井 裕喜 ~「lib」さぬき市在住~
木・金属・FRPを使った家具やクラフト・アート作品の制作など幅広く活動。昨年11月開催の「木のじかん」でもワークショップの講師として大活躍!

魅力的に甦った古材の数々。
今後も古木里庫では「古材reborn」を広げていく予定です♪
*商品の販売は古木里庫までお問い合わせください。 tel:0875-82-3837



仁尾町にある「八紘山」をご存知ですか?覚城院から軍人墓地横の道を上ったところにあり、仁尾城跡としても知られています。毎年春には、たくさんの桜がきれいな花を咲かせます。眼下に広がる仁尾の町と、満開の桜が織りなす雄大な風景。ぜひ訪れてみてください。



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