自然と寄り添う暮らし

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あののぉ vol.28 2013 冬

あののぉ vol.28 2013 冬

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〔お宅訪問〕自然の恵みで満たす家


「楽しく暮らす」っていいな。
家で、花見やお月見、デッキでご飯、
薪割りに、ブランコまで・・・。
「自分たちが愛着が持てるものを
自分たちで作っていく」
“家をつくる”というのは、
そこから始まるのかもしれない。
そんな家づくりの楽しさを
教えてくれるお宅を訪れました。



緑の森に囲まれ、大きな窓に青空を映し、無垢の木の壁が銀灰色に輝く一軒の家。
自分たちらしく、楽しく暮らす家族の物語。



S邸の始まりは薪ストーブから。キャンプが好きなご主人は、自宅でも火を扱う生活にあこがれ、薪ストーブのある家を建てようと決めました。また、太陽の熱を使い家全体をあたため、室内環境を整えてくれるOMソーラーも導入。仕切りの少ない大きな間取りは、シンプルな形の家を生み、敷地にできた余白には、様々な種類の木々を地元の人々と一緒に植えました。それらの木々が成長するにつれ、庭から吹く夏の風が涼しくなるのを感じるそうです。今夏もクーラーを設置せずに過ごしたというから驚きです。
休日にはよく四人で出掛け、川や海、山の遊びを満喫しています。今では、外に出なくても自然の恵みを直に感じられるようになったと言います。生命がもつエネルギーも、月や太陽の傾きの変化も、火の特性や大切さも、あたりまえのことが、こんなにも身近にある暮らし。
それは、知れば知るほど楽しく、とても大切な事、幸せなことなんだと気づきます。
薪を割るのはお父さんの仕事。実家の風呂釜で経験があった薪割り。趣味と言えるほど楽しんで作業する姿に、子供たちも目を輝かせます。取材したこの日が、兄弟が初めて薪ストーブに火をつけた記念日となりました。お父さんが見守るなか、兄弟仲良く並び、小さな手で、でもしっかりとした手順で行いました。薪に火が燃え移ると、一仕事終えて安心のひととき。ゆらめく炎の前で、また二人仲良く寝転んだりしてくつろぎます。
乾燥させるために庭に並べた薪の塀は、道行く人の目に留まり、近くの伐採情報を教えてくれることも。おかげで薪の調達には困ったことがありません。面倒くさいはおもしろい!だからこそ続けていける、そう話すSさん夫妻は本当に楽しそう。



S邸の外観で目を惹くのは、屋根まで続く大きな窓。夏の高い日差しは優しく取り込み、冬の低い日差しは力強く受け止めます。夜には月見窓となり、照明をおとしたリビングにやわらかい光がそそぎます。リビングに繋がる東のデッキは、陰ると夏の午後でも涼しく過ごせ、外でご飯を食べる事も。目の前の川が枯れると気温や湿度の変化が分かり、改めて自然がもたらす力を感じます。また、庭に作ったコンポストや畑、ビオトープのおかげで、木・土・水に触れる生活に変わり、毎日がドラマチックになりました。次の構想もどんどんふくらみ、夢はつきません。
自然を受け入れ、与えられた恵みに感謝する。人と自然の本来の付き合い方が、Sさんご家族の暮らしにはありました。

丸亀市垂水町 S邸 2010年3月竣工
延床面積/125.49㎡(38.02坪)
構造/木造2階建 在来工法
設計/趙海光、菅組 
施工/菅組

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〔森里海から No.28〕川端(かばた)



文・写真 菅 徹夫

滋賀県高島市新旭町針江地区には、豊富に湧き出る安曇川(あどがわ)水系の伏流水を活かした「川端(かばた)」と呼ばれる人里の生活環境が今でも残っています。私は3年前、2010年の11月に訪れる機会があり川端巡りを体験してきました。川端は2000年前(弥生時代)には既に存在していたと言われており、2010年現在でも108軒の家で実際に川端が利用されているそうです。
川端は母屋の内部にある「内川端」と別棟や屋外にある「外川端」とに分けられます。井戸から湧出した地下水(その場で地上に湧いている場合もある)はまず「壺池(つぼいけ)」と呼ばれる小さな池に注ぎ、そこから溢れだして壺池の周囲にある「端池(はたいけ)」に注ぎます。端池にはコイなどの比較的大型の魚が飼育されています。端池の魚は本来、鮒寿司の材料になるニゴロブナが主だったにちがいないと私は想像しています。そして、端池は集落内の水路と繋がっており、端池から溢れた水は水路に出て集落の中央を流れる針江大川(はりえおおかわ)へと流れ込みます。針江大川は最終的には、もちろん琵琶湖へ注ぎます。



壺池の水は飲料用や料理用として使われ、端池では食べかすや野菜くずなどを魚が食べてくれます。使用済みのお皿や鍋も端池に沈めておくときれいに掃除してくれるというわけです。水路や針江大川にはオイカワ、タナゴ、ヨシノボリ、サワガニ、カワエビ、シマドジョウなど数多くの生き物が生息しており、ここでも食べ物屑は掃除されていきます。
水路や針江大川には鮎やビワマスなどの希少な魚も遡上してくるらしく、琵琶湖固有種のセタシジミ(絶滅危惧Ⅱ類[VU])も針江集落では通常的に見られるそうです。このような壺池、端池、水路、針江大川、琵琶湖という水系の上に成立する生態系は非常に巧妙なバランスを保っており、人間の食べ残しによって水が腐るというようなことはありません。



人の生活の営みと川、湧水、琵琶湖といった自然の恵みが人間の知恵によって見事に結びついているのがこの川端のシステムです。ヒトが生活に必要な水を得るために作った水路や川端が生物にとっても多様で豊かな環境を生みだし、そこに生物多様性が育まれています。まさに人が自然と共生している様がここには存在しています。人間が積極的に関わる理想的なビオトープ環境が形成されているのです。偉大な琵琶湖の水環境、水辺景観として使い続けて欲しいものです。元来ヒトも生態系構成要因の一つなのですから・・・。 
*参考:Wikipedia 針江区*

photo:左→水路に生息するシマドジョウ、カワニナ、タニシなど
    右→川端のしくみ

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〔お店紹介〕珈琲・お茶処「颯日(そらび)」



晴れやかな空に浮かぶ雲の形が、水引のように結ばれた赤いラインが目を惹く看板。観音寺市豊浜町に今年の11月にオープンした 珈琲・お茶処「颯日(そらび)」。
“今日もいい日”になりますようにと名付けられました。ここは、家族の絆で結ばれた、あたたかく、そしてほっと落ち着けるカフェです。



「和モダン」をイメージした店内には、漆和紙の壁や大谷石のカウンターなど、存在感のある素材が店内に溶け込み「和」を演出。ソファ席の背景には、「櫛引(くしびき)」と呼ばれる左官仕事が見えます。やわらかい灯りが、瀬戸の夕凪を思わせる落ち着いた空間です。 カフェメニューには、地元の人が飼育している讃岐コーチンの卵を使った「玉子かけご飯」や、世界各国から厳選したお茶や珈琲、そして娘さん手作りのケーキなど。
また、お店の品でひときわ目を惹く鮮やかな色の鉄瓶は、お茶を注文すると季節のお茶菓子とともに楽しめます。



店内には、ジャズやピアノといった曲がゆるやかに流れ、旅先で少しずつ揃えたという調度品がそっと設えられています。「はじめての事ばかりで不安もありましたが、ひとつ形ができると、次々とアイデアが湧いてきました。支えてくれる周りの人たちがいなければ、このお店も今の自分もなかった。」と話す店主である奥様。出会いを大切にし、様々な結びつきから生まれたお店。ここは「今日もいい日」と思わせてくれるとっておきの場所です。


住所:観音寺市豊浜町姫浜117-3
電話:0875-52-5642
営業時間 11:00 - 20:00
定休日:日曜

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〔イベント情報〕100万人のキャンドルナイト



2003年6月22日の夏至の日、”100万人の広がりを持ちますように”という願いが込められてはじまった「100万人のキャンドルナイト」。古木里庫・エコショップでは第1回目から賛同し、今回で17回目の開催になります。

香川県在住のピアニスト。空間を生かした即興音楽を得意とし、瀬戸内国際芸術祭2013では、高見島「海のテラス」の空間音楽を手がけました。古木里庫ギャラリーにて、ゆらめく炎と、美しい風景を想い生まれたメロディが、心地よく融合します。



キャンドル教室やウェデングディスプレイ、ワークショップなど、様々なキャンドルコーディネートを手掛ける稲崎さんと一緒に、サンタさんのオリジナルキャンドルを作ります。(1人500円)
講師 Handmade Candle i-style 稲崎小百合



天然こうぼぱん「とことこ」(高瀬町)
特製スープ「カフェド フロ」(仁尾町)
玄米のもちもち団子「モリエ米店」(善通寺市)
木の雑貨など「古木里庫」からも販売します。

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〔スタッフリレー10〕飯野山(讃岐富士)



昨今の里山ブームに加え「新日本百名山」にも選ばれたことから、登山客が急増していいる飯野山(讃岐富士)をご紹介します!
地元に長く住んでいると当たり前になってしまっていますが、香川には全国的にも珍しいお椀を伏せたような円錐形の小山(おにぎり型の山々)がそこかしこに点在しています。その美しい曲線美を持つ讃岐平野のシンボル的な存在、それが「飯野山」です。
飯野山は、標高約422m 片道約1時間で登れるという気軽さから、ハイキング感覚で登ることができます。登山途中、雑木の間から讃岐平野や瀬戸内海を見渡せる眺望ポイントがいくつもありますので、ぜひ登ってみてください。 ※写真:HPより


映画「UDON」のロケ地、宮池から見た「ダイアモンド讃岐富士」です。
4月中旬と8月下旬頃の晴れた穏やかな朝に見られる現象らしいですよ。
香川が誇れるのは、うどん、金刀比羅宮だけじゃないですよね♪



標高:421.87 m
アクセス:飯野町登山口/予讃線「丸亀駅」から丸亀コミュニティバスの飯野・中津線(右回り)で 「飯野山登山口」下車


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〔イベントレポート〕木のじかん 古木里庫のみの市



11月10日(日)古木里庫(こきりこ)で、島マガジン“せとうち暮らし”と古木里庫のコラボイベント「木のじかん 古木里庫のみの市」を開催しました!
木の香りにふれる空間で、木を知り、木に触れ、おいしいものに出会う。「自分らしい、ていねいに暮らす幸せを少しでも多くの人に届けたい!」という思いから生まれたのが「木のじかん」です。



のみの市では、古民家や蔵から収集していた家具や小物、古民具など昔の暮らしが垣間見えるものを販売。そして、ギャラリーでは、この日限りの「島カフェ」をオープン。島と地元のお店にご協力いただいた限定プレートはアッという間に完売しました!
床柱を使ったオリジナルコースター作りができるワークショップや菅組の大工による「ちょうな」の実演、シマポンさんによるポン菓子の実演販売、せとうち暮らし編集長の島トークなど、穏やかに流れる「木のじかん」を古木里庫で過ごしていただきました。
お越し下さった皆様、ご協力下さった皆様、ありがとうございました!



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〔ご案内〕古木里庫ショップ リニューアルOPEN



古材と薪ストーブのお店 古木里庫(こきりこ)に併設している「古木里庫ショップ」がリニューアルオープンしました!
土間空間だった床は、柿渋を塗った杉板張りにし、壁は土壁(スサ入り)にしました。また、商品を古材のタンスや家具などを使ってディスプレイしています。
古木里庫オリジナル商品をはじめ、木の小物や瓦商品、地元作家さんの作品、古食器など、厳選したものを取り扱っています。
木の香りが漂う落ち着いた雰囲気に生まれ変わったショップで、ゆったりとお買い物をお楽しみください。お待ちしています♪


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