自然と寄り添う暮らし

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あののぉ vol.26 2013 夏

あののぉ vol.26 2013 夏

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〔お宅訪問〕あえて、小さな家


小鳥たちの大合唱で目覚める。
たくさんの船が行きかう瀬戸内海を眺めながら昼食、そして夜は、電気を消して満天の星空を見上げる・・・。
人も、植物も、動物も、虫も、
みんなイキイキと暮らしている。
“小さな家”だからこそ、
気づいた素敵な暮らしに
「ありがとう」



ともに育てる庭
牟礼町にある山のふもと。新緑の美しい里山に、そっと溶け込むように佇むかわいい木の家があります。三年前に完成した家のお庭には、イキイキと育つたくさんの木々や、色鮮やかな草花が育っています。山の風や小鳥たちが運んできた花も、いつのまにか仲間入りしていました。「欲張らず、好き と思えるものだけを置いています」そう話すのは奥様。土を引いただけのまっさらな土地に、植樹をしたり、ワークショップでビオトープを作ったり…。お店の前のレンガポーチやレンガ道は、ご家族で敷き詰めました。小さな雑草もよくみると可愛く、全部抜かずに他の花たちと共存させているのだそうです。そんなB邸のお庭は、まるで小さな森を拾い集めた宝石箱のよう。遊びに来る生き物たちも、自分たちの暮らす森の続きと思い、訪れるのでしょう。



家族サイズの小さな家
迫力のある庵治石の表札、その奥にB邸はあります。外壁に使った杉板は、日に当たる面が銀灰色に変化し、木の持つ美しさを感じさせます。もともと高松市内で服と雑貨のお店を営んでいた奥様。ここでも一階を店舗にし、2階を住居スペースにしました。店内は、靴と服、すべての組み合わせを楽しんで欲しいからと、土間を選びました。けして広くはありませんが、玄関の扉を開ければ一面に広がるお庭と、山を借景にした奥行きのある空間になります。二階は、すべての部屋がみわたせるコンパクトな間取りに。「前に住んでいたマンションの広さが気に入っているので」と、各所に同じ配置を希望されたそう。小さいことでエネルギーの効率もよく、一年中快適な温度で過ごせます。家具も買い足さず、ほぼ同じものを持ち込みました。ご主人と出会えた時のことや、お子さんが生まれたあの時の思い、家具や小物に宿る思い出を、いつまでも大切にし、そばで感じていたいからだそうです。和室と居間で対になった、山を映す窓と海を映す窓は、開けばさわやかな風が流れ、家のなかに自然の息吹を運び込みます。屋根の下でも季節の便りが届く、里山と同居した小さな家です。



出会いがくれた暮らし
最初は街中の中古物件を探していたそうですが、「郊外の新築も考えてみては」とアドバイスを受け方向転換することに。縁のない日々が続くなか、ひとつの出会いがあり、あとは驚くほど順調に進みました。この土地を薦めてくれた不動産屋さんをはじめ、様々な出会いが毎日のように続いていったそう。「建ててからも家づくりは続くということを、住んでみて実感しました。五年後、十年後が楽しみです」と語る奥様。日々の暮らしの中で、ご家族の色に染まっていくB邸は、互いに寄り添うように緑の中に佇んでいました。

高松市牟礼町 B邸 2010年6月竣工
延床面積/85.24㎡(25.83坪)
構造/木造2階建 在来工法
設計・施工/菅組

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〔森里海から No.26〕ビワマス(琵琶鱒)



文・写真 菅 徹夫

琵琶湖には50種類を超える固有種の生物が生息していると言われています。固有種とは「その国あるいはその地域にしか生息していない種」のことで、琵琶湖固有種は琵琶湖にしか生息しない種のことです。その琵琶湖固有種の一つが「ビワマス」と呼ばれるサケ科の淡水魚です。
イワナ(岩魚)、ヤマメ(山女魚)、アマゴ(天魚)などの渓流魚は有名ですが、通常これらの魚は「陸封型」と呼ばれ一生涯、川(淡水域)だけで生息します。そのうち降海型とよばれ海に下るヤマメが「サクラマス」、アマゴが「サツキマス」と呼ばれます。陸封型のヤマメやアマゴは体長20~30cm程度ですが、降海型のサクラマスやサツキマスは体長50cm以上になる個体もあります。琵琶湖はその広さ故、琵琶湖を海に見たてて下るヤマメがいます。それが「ビワマス」と呼ばれる琵琶湖固有の淡水魚なのです。



私がビワマスの存在を知ったのは、戸田直弘さんという琵琶湖の漁師さんが書いた「わたし琵琶湖の漁師です」という本を読んでからです。戸田さんは湖魚料理のベスト1にこの「ビワマスの造り」を挙げています。私も以前に一度だけビワマス料理をいただく機会に恵まれましたが、破格の美味しさでした。しかし、このビワマスは漁も不安定で需要に応えるだけの漁獲がなく、一般にはなかなか食する機会が少ないようです。地元滋賀県の人でも食べたことがない人も多いようで、食べられるお店も数少ないようですし、ビワマスの存在自体知らない人もいるようです。いずれにしてもビワマスは、おそらく琵琶湖周辺でしか食することのできない貴重な料理です。機会があれば是非一度食してみて下さい。旬は7~8月頃、日本の食文化の奥深さを感じる事が出来ると思います。
photo:琵琶湖(日本最大の湖 ラムサール条約登録湿地)

ビワマスもブラックバスやブルーギルなどの外来魚にその生息域を脅かされています。生態系を守るということは地域固有の伝統的食文化を守ることでもあります。こうしたところにも「健全な経済」をとり戻すための重要な指標があるように思います。健全な生態系無くしては健全な経済は存在しえないのですから・・・・。



photo:左から ビワマスの造り・ビワマスの兜焼き・ビワマスの炊き込みご飯(アメノウオご飯)・ビワマスの白子の焼き物


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〔工事現場紹介〕せせらぎの郷(サービス付き高齢者向け住宅)



多度津駅に程近い場所で、サービス付き高齢者向け住宅「せせらぎの郷」の建設が進んでいます。サービス付き高齢者向け住宅とは、ホームヘルパー2級以上の資格を持ったスタッフが、24時間常駐するバリアフリー構造の住宅です。2、3階は、計36戸の住居スペース。各階には共同の台所や浴室も設置されています。また、1階東側は、家族的であたたかいサービスを受けられる、デイサービススペースとなっています。


◇セルフレベリング
床を平らに仕上げる作業です。まずは床にある隙間をセメントで丁寧に埋めます。その後、セルフレベリング材を流し込みます。水のようにさらさらとしたセメントで、床面を水平かつ平滑に仕上げることが出来ます。


◇アスファルト防水
「ルーフィング」と呼ばれるシート状の素材を、290℃前後で溶かしたアスファルトの上に貼り付けます。これを固めて層にすることで、高い防水性が得られます。ジョイント部分はずらして重ねることで補強します。


各部屋にはバルコニーが付いており、多度津の町を望めます。また多度津駅に面した北側の部屋からは、行き交う列車を眺めることもできます。日常の風景に動きがあることは、住まわれる方にもよい刺激になるそうです。利用者の方が安心して、そして楽しく暮らしていただけるよう、ひとつひとつ丁寧に作業を進めています。

photo:左→施設から望む多度津駅 右→現場監督:白川

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〔お店紹介〕魚七



総本山善通寺から一直線。丸い緑青色の銅板屋根が目印の、日本料理「魚七」さん。お庭を通り、一歩足を踏み入れると、ひとときの日常を忘れ、贅沢な時間を過ごすことができます。
料理長の目利きで仕入れた近海の魚介類や、「讃岐コーチン」「讃岐夢豚」「讃岐牛」の讃岐三畜を使ったお料理。「日替りランチ」980円から各種コース料理まで、メニューが豊富に揃います。名物は「五重塔弁当」。桧の木枠は、すべて重ねて蓋をすると、その名のとおり五重塔の姿に。30年前、「日本料理をもっと身近に感じて欲しい」という思いから生まれた一品です。気になる中身は、お造りや天ぷら、にぎりなどに、お味噌汁、茶碗蒸し、デザートがついて2500円。当時と変わらないお値段と予約のいらない気軽さが嬉しいメニューです。



計200席ある店内は、2階が大広間。1階は落ち着いて食事ができるようにと、個室が多く用意されています。お庭のみえる部屋や、椅子のつかえる畳部屋などがあり、飾られた品物やお部屋へのアプローチなど、空間の隅々におもてなしの心を感じます。今回お話ししてくださったのは女将の明子さん。その笑顔と優しい人あたりも、お店の雰囲気をやわらかくしているようでした。創業100年、変わらない誠実さと受け継がれる味。ぜひお気軽に足を運んでみてください。




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〔スタッフリレー8〕オリジナル表札



今回は、改めて物づくりの楽しさをご紹介します!
皆さん、表札を作ろうとした時に悩まれたことはありませんか?
私も家を建てた後、表札のことを調べてみると、形やデザインが完成されている既製品の種類の多さに驚きました。しかし「我が家だけの特別な表札にしたいなぁ」という思いが芽生え、オリジナルな表札をつくることにしました。ただ、そんな表札づくりをどこにお願いできるのか?全く分からない状況でした。



そんな中、ジョージ・ナカシマの家具で有名な高松市牟礼町の㈱桜製作所さんに表札づくりを相談したところ、快く相談に乗って頂き、オリジナル表札づくりがスタートしました。表札になる板材選びや寸法決め、文字のスタイル、文字の位置、板材のどの部分の木目を活かすのかなど、ひとつひとつ細かく決めていきました。その過程がとても楽しく、出来栄えもとても満足いくものになり、3年が経った今も自己満足の世界に浸っております♪



今回は表札造りを通じて物づくりの楽しさや、愛着が深まっていくことを改めて感じましたが、建築の世界においても通じることだと思います。これからも、この気持ちを大切にしていきたいと思います。


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〔イベント案内〕100万人のキャンドルナイト

キャンドルの灯りだけで過ごす夏至の夜。聴こえてくるのは澄みきったサヌカイトの音色。古木里庫で幻想的な夜を感じてみませんか?ご家族、ご友人を誘って、ぜひお越しください。



◇サヌカイトコンサート
女性デュオ「COLON」によるサヌカイトを使った演奏です。人間には聞き取ることのできない高周波音を発するサヌカイトは、「脳の活性化・集中力の向上」といった効果もあります。
その澄んだ音色をお楽しみ下さい。
・奏者 COLON
 2007年結成。清水真由香・山本智子によるサヌカイトデュオ。2010年デビューアルバム「眠り」をリリース。「瀬戸内国際芸術祭2013」では沙弥島でコンサートを開催。各地で演奏活動を行っている。



◇古木里庫出店

* 今川商店(コロッケ)
* チームさくら堂(パン)
* 丸岡味噌麹(甘酒、味噌)
* モリエ米店(だんご、ポン菓子)
* 古木里庫(ラムネ、木の雑貨)

問い合わせ:古木里庫
三豊市仁尾町仁尾乙264  TEL 0875-82-3837
当日連絡先090-5717-0495(碓井)   

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〔ご案内〕展示、演奏、会議に。古木里庫ギャラリーをご利用ください♪




今年で5年目を迎える古木里庫。古材のお店としてだけではなく、貸ギャラリーとしても幅広くご利用いただいています。古材に包まれたギャラリーは、天井も高く、大きな空間を最大限に活用していただけます。また、演奏会やミニライブにもお使いいただけます。
古木里庫を通じて地域と人との繋がりがより深まる、そんな場所になることを願って…。どうぞお気軽にご利用・ご来場ください。

ご利用をお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。
・時間外・休館日のご利用、駐車スペースの拡大、長期ご利用の場合はご相談ください。
・物販行為を主たる目的とするご利用はお控えください。

お申込み・お問合せ:(株)菅 組 総務部 TEL:0875-82-2442 mail:info@suga-ac.co.jp


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