自然と寄り添う暮らし

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あののぉ vol.25 2013 春

あののぉ vol.25 2013 春

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〔お宅訪問〕彫刻家 速水史朗邸


世界をまたに駆けて活躍する彫刻家 速水史朗氏のお宅。
数々の賞を受賞し、著名人として
名を連ねる速水氏のお宅とは?
そして、どのような暮らしを
されているのか?
地元を愛し、人を愛し、
そして作品を愛する速水氏の
気になる素顔とは・・・。


これまでも これからも
「大きな子供が二人いるようなものですよ」そう笑顔で話される奥さまは、愛嬌のある言葉で終始場の雰囲気を和ませてくださいます。お宅のあちらこちらにさりげなく置かれているのは、速水先生の作品や、ご夫婦が旅先で購入しためずらしいお土産など。先生がひょいと手に取って話すのは、お二人の思い出。ここにあるすべてのものにストーリーがあり、今も物語は続いています。先生の作品を始め、二人の思い出と一緒に増えていくモノたちに囲まれて暮らすこと、それが仲良く生き生きと過ごす秘訣なのかもしれません。今も尚、精力的に活動されている先生と、その先生を優しく支えておられる奥さまの家は、まるで大きなおもちゃ箱のようでした。


住まいがくれる時間
お宅はアトリエに近い住宅街の一角にあります。外壁は真っ白な漆喰、塀には明るい赤褐色の庵治石を使いました。太陽エネルギーを使うOMソーラーを導入し、「夏は涼しく、冬はあったかい。一年中快適ですよ」と先生。間仕切りが少なく繋がりのある空間は、空気を家全体に広げるだけでなく、目線も広くいき届き、いつもお互いの気配を感じていられるような心地よい開放感があります。日々長い時間を過ごすというお気に入りのリビングには、お庭の景色を切りとる大きな窓があります。南に面したその窓からは、明るくやさしい光りが差し込み、ついうとうとすることも。穏やかな雰囲気がお庭にも伝わるのか、遊びにくる小鳥たちは森の中でいるかのような楽しい表情を見せてくれるそうです。キッチンからもその庭を眺めることができ、「庭もみえるし、庭をみている主人もみえるのよ」と嬉しそうに話してくださる奥様。サザンカやツバキ、モミジにサルスベリなど、表情豊かな木々が暮らしに色をそえてくれます。また、庭石や木々と共に並んでいるのは先生の作品の数々。この自然の中にあっても調和が保たれているのは、先生の作品に、大地から生まれたようなやさしい曲線と、岩肌からあふれる力強い息吹を感じるからでしょうか。



二人だから楽しい
「家の良さは、長く使ってみてわかること。毎日楽しくこの人と過ごせて幸せよ」奥さまの言葉は先生への愛でいっぱいです。また、先生もそんな奥さまを信頼し、お互いに支え合いよりそって暮らしておられることが伝わってきました。住まいの快適さはもちろん、大切な人と一緒に過ごすことが、お二人の暮らしを豊かなものにしているのだと感じました。
当たり前のようにいつもの椅子に座る先生と、お気に入りの湯のみでお茶を出す奥さま。お家もそんな二人を見守り、つつみこんでいるようでした。



仲多度郡 速水史朗邸 2003年5月竣工
延床面積/188.95㎡(57.26坪)
構造/木造2階建 在来工法
設計・施工/菅組

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〔森里海から No.25〕素掘の用水路 礼讃(らいさん)



文・写真 菅 徹夫

「春の小川はサラサラゆくよ~」文部省唱歌にも歌われる小川の多くは農業用水路ですね。用水路は川やため池などの水源から、離れた場所に水を引くために人工的に造られた水路です。近年ではコンクリート護岸で整備された無機質な用水路が増えましたが、そもそも用水路はほとんどが素堀の用水路でした。文部省唱歌「春の小川」に歌われる小川もこの素堀の用水路の光景を歌ったものです。「岸のすみれやれんげの花に・・・」と続く描写は土のままの護岸に所狭しと咲き乱れる野草群の様子が浮かびます。素堀の用水路はその後、水際の保護のため石垣をついたりしながらしばらくの間は農業生産と共に維持されてきました。そこには人の手が入ることによってはじめて生息できるたくさんの生き物が繁殖し、ビオトープとして生物多様性を育むと共に豊かな田園風景を形成してきたのです。それはまさに人と自然が共生してきた日本の姿でした。健全な農業が素堀の用水路と生物多様性、日本の原風景を支えてきたのです。

photo:左→仲多度郡まんのう町  右→三豊市詫間町



しかしながら農業が徐々に衰退すると共に、用水路の管理、手入れをする人が減り草刈りや浚渫(しゅんせつ)の労働を回避しようとしてコンクリート護岸が登場してきます。
コンクリートは土や石垣と違い、単調な表面であるため生物が生息するための条件が極端に減少します。メダカ、ドジョウ、ヤゴ、コブナ、カニ、カワニナ、タニシ、ミミズ、タガメ、ホタル、ゲンゴロウ、ミズスマシ、アメンボ・・・あるいは様々な水草や植物など、素堀の用水路を生息環境にしていた多くの生物が生きていけなくなります。生物多様性が失われることによって、結果として生物浄化の作用が激減し、水も汚れるのです。そしてなによりも、美しい農村風景を著しく損ないます。
※浚渫:水路や泊地などの水底、又は河川の川底の土砂を掘りとること。利便性などの「文明」を追いかけてきた時代から、「文化」や「自然」を見直すべき時代にシフトしてきています。今、コンクリートで固められた用水路の護岸を石積みなどの自然護岸に再構築し、生物多様性を取り戻すと共に地域コミュニティを強化させることで健全な水路を維持していく仕組みを作ること。新政権が公共工事増を打ち出していますが、今はその中身が問われる時代です。コンクリートに頼らない公共工事がこれからは注目されなければなりません。美しい農村風景をもう一度現代に再生させたいものです。

photo:左→綾歌郡綾川町の素掘の用水路  右→今ではほとんどがこのようなコンクリート護岸の用水路になってしましました。 



photo:左(ビフォー)→仲多度郡まんのう町の石垣の美しい用水路が・・・  右(アフター)→こんなコンクリート護岸に変身しました。

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〔お店紹介〕宇賀鮮魚店 うか屋


三豊市山本町に一年前移転オープンした、地元密着のお魚屋さん「宇賀鮮魚店 うか屋」。目印は表に掲げられた奥さまの書。「うか屋」の文字は木彫りにして看板に、「さかなや」の文字は入り口横に堂々と飾られています。看板に使ったケヤキの板は、木材屋さんにて数ある中から選びました。一文字のような豪快な反りに、台形のこぶは富士山、なめらかな年輪は波模様に見立てた粋な看板です。



お店には、毎朝旦那さんが仕入れてくる旬の魚が並びます。お刺身はもちろん、焼もの、から揚げ、三杯酢などお惣菜メニューもあり、仕事帰りに買っていく方も多いそう。メール会員になれば、お惣菜情報を受け取れます。「三人分の切り身に」など、その場でリクエストに答えてくれるのは、お客さんとの距離が近いからこそ!晩御飯のメニューに困ったら一言聞いてみましょう。その魚ごとのおいしい楽しみかたを教えていただけます。つい話しに花が咲くこともしばしば。ご夫婦のお人柄があるからこそ、お客さんも気軽に話ができるのだと感じました。もしご主人と話がはずめば、二十歳過ぎから趣味で収集しているというオーディオ機器で60’~70’年代のジャズを堪能できるかも♪


調理場では、旦那さんが手際よくさばき、奥さまがすかさず下味をつけます。連携のとれた所作は、長年連れ添ってきたあかし。新鮮なお魚と二人の笑顔に会いに、ぜひお越しください。


宇賀鮮魚店 うか屋

住所:三豊市山本町財田西389-3
営業時間 9:00~19:00
TEL:0875-63-2001
定休日:日、祝

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〔建物紹介〕速水史朗アトリエ


お宅訪問でも紹介した彫刻家 速水史朗先生のアトリエをご紹介します。このアトリエは、昭和60年に菅組で施工させていただきました。27年経った現在も、その堂々たる姿は変わりありません。
多度津山を望む浜街道沿いに佇むアトリエの敷地には、先生の代表作が展示されており、見る人を魅了させます。
一際目を惹くアトリエの石積みは庵治石。一つ一つ大きさの異なる石が積み重なり、これも大きなアートの一つとなっています。




アールを描いたコンクリートの打ち放しの建物内は、アトリエをはじめ、地下の作業場や寝室、キッチン、石張りの階段、卵型のトイレなど、素材・形の大切さを知る先生の思いが形となったつくりがされています。これからも、この場所から世界を代表する素晴しい作品の数々が生まれ、私たちを感動させてくれることと思います。



速水史朗アトリエ

設計:建築家 伊丹 潤
施工:株式会社 菅組
竣工:1985年5月
場所:仲多度郡多度津町

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〔スタッフリレー7〕三本木鎮守 その後

今回は、「三本木鎮守のその後」についてご紹介します!
2009年9月に「鎮守の森project」と銘打って、菅組創業100周年記念事業の植樹祭を開催しました。その後の取り組みの一つとして「三本木鎮守」が継続して進行しています。



家の庭に最小限の森をつくることを菅組では「三本木鎮守」と呼んでいます。主に建物のお引渡しの際に「シイ・タブ・カシ」をプレゼントさせて頂き、お客様と一緒に植樹をしています。三本木鎮守は、2010年6月から始まり、現在30棟のお宅の庭に小さな鎮守の森をつくることができました。

photo:左→2010年10月(植樹直後) 右→2013年2月



上の写真は2年4ヶ月が経過した三本木鎮守です。こちらは順調過ぎる!?ぐらい大きく成長していてビックリです!小さな森が香川県から四国、そして全国へと広がることを願っています。



左:落ち葉や枯れ草などを混ぜた土を盛って山(マウンド)を作ります。根が張るよう地盤はほぐしておきます。
真ん中:バケツに水を入れ、植える直前に(ポットごと)根を浸します。ポットの深さ分を掘った穴に垂直に植えます。
右:土の上に枯れ草や藁を被せ苗を保護します。(マルチング)

※藁マルチングの効果によって原則水やりは不要ですが、3週間 くらい雨が降らない場合は、様子を見て水やりを行います。

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〔イベントレポート〕夜の薪ストーブと音楽

去る2013年2月2日(土)に、仁尾町の古材と薪ストーブのお店 古木里庫で、夜には初の薪ストーブ体感会を開催しました!
その名も「夜の薪ストーブと音楽」です♪
薪ストーブのゆらめく炎の中、極上のジャズとともに至福のひとときを味わいました。
演奏は香川県内外でご活躍の3人。「古木里庫ジャズトリオ」を結成し、ジャズのスタンダードナンバーをのびやかに歌い上げていただきました。




◇薪ストーブ料理試食会
今回のメニューは生地から手作りした「ピザ」とじっくり炒めた「玉ねぎのスープ」、りんごをスライスし、薪ストーブの上で焼くだけでしっかり甘い「りんごチップス」など。
心も体もあたたかくて美味しいお料理を堪能していただきました。ご来場いただいた皆様、本当にありがとうございました!



毎回好評の薪ストーブ料理試食会は、シーズン中(3月末まで)の第2・4土曜日14時-16時に開催中です!
薪ストーブ設置やメンテナンス・薪のご相談、薪割り体験はオールシーズン受付いたしております。古木里庫へ是非お越し下さい。

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