自然と寄り添う暮らし

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あののぉ vol.15 2010 秋

あののぉ vol.15 2010 秋

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〔お宅訪問〕暮らしの音が繋がる家


造園愛好家のご主人。
ピアノの先生の奥様。
ウクレレ奏者の息子さん。
そして愛犬の吾郎くん。
それぞれの個性が、
暮らしの「音」になり、
音楽のように重なるN邸。
削ぎ落とした美しさを持ち、
古いものと新しいのもが出会う
N邸を訪ねました。


ものを愛でる家
坂出市の市街から少し中の通りへ入ると、旧家の面影が残る住宅街があります。その路地の角地に佇む平屋建てのN邸。敷地の門は以前のままに、白い花が咲くという様々な木が、コの字型の家をやさしく包んでいました。ピアノの先生でもある奥様ならではの希望で、天井は良く響くように高く、引き戸を開けると開放的な空間がピアノを中心に広がります。そこに灯されたアンティークな照明は、ご実家の旧家から譲り受けたものだそうです。他にも、欄間やガラス、手すりの飾りや家具など、思い出のあるアイテムを各所に取り入れておられ、室内の柔らかな土と木の風合いに、独特のモダンな雰囲気が溶け込む、洗練された空間でした。そして中央の壁には仲良く掛けられた2枚の絵。これは二人のお子様が幼い頃に描かれた作品を額装したものだそうです。棚に仕舞われている一つ一つの作品を愛おしそうに話される奥様の深い愛情に引き込まれるようでした。


家づくりで大切なこと
ご夫婦の望みでもあった「木の家」が完成したのは約2年前。木の使い方や見せ方、バランスなど、「思い描いたことが設計者に通じる安心感は、家づくりになくてはならない」「だからこそ満足している」とおっしゃいます。「家づくりの思いを受け止め、専門の立場からアドバイスしてくれたこと、より想像を膨らますことができた打合せは本当に楽しかった」と奥様。そう話される奥様の目の輝きからは、言葉以上の思いを頂いたようで、とてもあたたかな気持ちになりました。
自然素材の家であること、OMソーラーの家であること。この2点を決めていたとご主人。リビングの主役「大黒柱」は、実際に森へ出向き目の前で伐採した地元の桧です。また、造園愛好家として、庭の木々のせん定や飛び石、竹細工などにも腕をふるわれています。大切に残された「五葉松」と共に庭づくりを楽しまれていました。



ウクレレ演奏!
家のあちらこちらに飾られているウクレレ。実は息子さんがウクレレ演奏者なのだそうです。小さくてかわいいウクレレからは南国のゆったりしたメロディーが流れてくるのかと思っていたら、躍動感のある力強い旋律にびっくり!鳥肌が立ちました。やさしい音もあれば、複雑な音も奏でる魅力的なウクレレ。演奏だけでなく講師もされているそうです。
ご家族のそれぞれの個性が集まった家。ここから流れる暮らしの「音」は、ご家族の形そのものでした。

坂出市 N邸 2008年8月竣工
延床面積/152.90㎡(46.33坪)
構造/木造平屋建 在来工法+OMソーラー
設計・施工/菅組

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〔森里海から No.15〕生物多様性と香川の風土( 瀬戸内海とため池と・・)



文・写真 菅 徹夫

生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が、今年2010年10月11日(月・祝)~29日(金)の間、名古屋で開催されます。COP10とは、多様な生き物や生息環境を守り、その恵みを将来にわたって利用するための国際会議です。「生物多様性」ということば、最近は少し耳にするようになりましたが、まだまだなじみの薄い言葉かも知れません。「生物多様性」とは、あらゆる生物種の多さと、それらによって成り立っている生態系の豊かさやバランスが保たれている状態を言い、さらに、生物が過去から未来へと伝える遺伝子の多様さまでを含めた幅広い概念のことです。我々人間も生態系の一部である以上、生物多様性を守り、維持していくことは我々自身の生命の問題として、とても重要なことなのです。健全な生態系がベースとしてあってはじめて、健全な経済や健全な暮らしが成り立つのですから・・・。
エコロジー雑誌「ソトコト」に昨年「生物多様性入門」の特集記事で、「瀬戸海の里海と、こんぴらため池コスモロジー。」と題して香川のことが10ページにわたってとりあげられました。記事には「人が関わることで形づくられ、維持されてきた生態系がここにある!四国香川の里海・ため池に、人と自然の共存のありかたを求めて訪ねました。」とあります。あまり語られることはありませんが、瀬戸内海と讃岐平野に無数に散在するため池と用水路による水辺ネットワークは生物多様性の宝庫なのです。
海やため池の水際、川と海のぶつかる干潟など、異なる生態系が互いに緩衝する空間は、「エコトーン」と呼ばれ豊かな生物多様性を生み出します。マクロな視点で見ると水深の浅い瀬戸内海は全体が海と陸との緩衝空間(エコトーン)として位置づけられるし、ため池や用水路の張り巡らされた讃岐平野もまた、海と陸とのエコトーンとして捉えることができるのではないかと思います。無数の島々が浮かぶ瀬戸内海、無数のため池が散在し、それらを繋ぐ用水路が縦横無尽に張り巡らされた讃岐平野・・・これらは自然の状態にしろ、人工的なものであっても、その地形そのものが生物多様性を育むのに有利な環境であると言えるのではないでしょうか。香川県民のどれくらいの人が気付いているのかわかりませんが、「ソトコト」が取り上げるほど、香川県には生物多様性の豊かな地域として全国に誇れる資源があるのです。




今、瀬戸内国際芸術祭2010が開催中です
が、アートも素晴らしい作品が数多くありますが、主役はむしろ瀬戸内の島々の自然や、自然と共生する昔ながらの暮らし、そしてそれらが育む生物多様性かも知れません。そんな視点で瀬戸内海やため池を再評価してみてはいかがでしょうか・・・。

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〔工事現場紹介〕神島化学工業 株式会社 詫間工場新倉庫 新築工事



神島化学工業は全国でもトップクラスの建材・工業薬品メーカーとして有名ですが、その製造を一手に担う工場が三豊市詫間町にあります。154,500㎡という膨大な敷地の全長は約1km!航空隊跡地なのだそうです。50棟以上の専門施設や倉庫が並ぶ中、正門から最も離れた敷地に、今回の「建材用新倉庫」が建設されています。建築面積は7900㎡!そのスケールの大きさにびっくりですが、ここから全国各地へ出荷する在庫の管理を考えると、とても重要な建物だと実感します。
この工事のポイントの一つは、「空き地をどう確保するか」です。敷地いっぱいに建つ倉庫は、工事中の建材置き場、クレーンなどの機械の据え位置が問題になります。それを解消するために、工事区間を2工区に分け、工区ごとに作業を進めています。1工区の地盤は現存のまま利用し、柱を建て、壁、屋根を葺きます。そして土間(床)などの内装を進めながら、2工区の工事がスタートします。2工区では、クラッシャーマシーンを用いて既存の土間を砕き、70cmほどの地盤改良を行います。地盤改良を施すことで、重要な「倉庫の耐荷重」を上げています。
※クラッシャーマシーン・・・既存のコンクリートを細かく砕き、資材として再利用します。特に大規模な現場では、有効に用いられています。



取材をした日は、約30名の方が真夏の暑い中作業をされていました。色々な業種の方が担う、一つ一つの作業が建物になっていく、その過程を見ることができました。現場のすぐ裏手の道路からは、瀬戸内海を見下ろすことができます。紫雲出山のドライブの際は、美しい海と共に多くの人たちがつくり上げる新しい倉庫もご覧下さい。

神島化学工業 株式会社
詫間工場
 住所:香川県三豊市詫間町香田80

設計・施工:菅組

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〔仁尾マップ〕古い歴史と伝統・文化にふれて



古い歴史が現代に残る仁尾町。昔ながらの黒瓦やなまこ壁の建物が軒を並べています。また、仁尾にはたくさん寺院があることから、昔仁尾が栄えていたこと、高い建築技術があったことを今に伝えています。仁尾町を歩いて、温かい人たちとの出会いや、守り続ける伝統と文化にふれてみませんか?




◇お徒歩でいく(おかちでいく)
「仁尾なつかし味めぐり」土曜日限定完全予約制
三豊市観光協会が主催する、仁尾の歴史や懐かしい食べ物を、ガイドと一緒に巡るミニツアーです。
*お徒歩とは・・・乗り物を使わず、歩くこと。

三豊市観光協会(三豊市仁尾町仁尾辛34-2)
TEL:0875-56-9121
FAX:0875-56-9122

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〔ご案内〕大黒柱伐採ツアー



まんのう町「仲南の森」で、恒例の大黒柱伐採ツアーを、今年も開催します!住まい手さんご家族が見守る目の前で、樹齢50年以上の桧や杉が切り倒される姿は、迫力満点!これから家を建てようとお考えの方も、建てられた方も、是非ご参加ください。

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〔お知らせ〕瀬戸内国際芸術祭2010



Setouchi International Art Festival 2010
瀬戸内海の島を舞台にした現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」。菅組では、女木島で作品を手がけたレアンドロ・エルリッヒ「不在の存在」と、行武治美「均衡」を施工しました。
会期:2010年10月31日(日)まで *高松港から女木島まで約20分


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