自然と寄り添う暮らし

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あののぉ vol.13 2009 冬

あののぉ vol.13 2009 冬

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〔お宅訪問〕記憶をつむぐ家


昔の町並みが残る坂出市元町。
その路地裏にそっと佇むS邸。
漆喰の外壁が
通りを沿うように続いている様子は、
静かに規律を正す、
凛とした趣があります。
元々蔵が建っていた雰囲気をそのままに、
町に溶け込むS邸を訪ねました。


記憶をつむぐ家
坂出市元町は、昔の町並みが残る風情ある町です。その裏手側の路地にそっと佇むS邸の敷地には、もともと蔵が建っていました。築百二十年の蔵は老朽化のためやむなく解体されましたが、代々受け継いでこられた思いは察するに余りあります。その思いを留めるように、建物には蔵の記憶が取り込まれています。外壁は同じ素材の漆喰塗りとし、玄関は片引きの引込戸を使用。戸が壁に引き込まれ、その枠だけが浮かび上がる様子は、蔵の暗がりから外を見たときの、光を切り取ったような入り口の情景と重なります。解体前の写真に残る、詩的で美しい記憶がよみがえります。ご家族のご先祖に対する親しみが建物には込められています。


信頼関係の家づくり
L字の敷地に建つS邸は、大きく2つのゾーンに分かれています。東西を軸に計画された和室は、主に法事や客間として使用され、旭口が設けられています。南面の土庇に面して広がる庭は、目線の広がりを演出し、四季折々の表情を楽しませてくれます。主な居住空間は中庭を設け、コの字型の明るく風通しのよい2階建てに。インテリアが専門の娘さんがしつらえた、優しい色合いの空間は、物腰の柔らかなSさんご家族の雰囲気と重なります。「こんなにいい家に住めて嬉しい」と優しく微笑むご主人。そこに「みんなでつくった家だから」という言葉が含まれていることに、ご主人の人柄やあたたかさを感じました。菅組との出会いは、当社が工事をしていたある住宅の現場。会社を経営されているご主人の仕事柄もあり、「整理された現場」にまず目を止められたそうです。建物ではなく、人や仕事を見て決めた。という厳しくも大変嬉しいお言葉を頂きました。何より人が大切とおっしゃるご主人の人徳が、信頼関係のある「いい家づくり」に繋がったのではないかなと思いました。


風景をつくる
建物は、そこに携わったすべての人の思いが形となります。そして町の風情や土地の歴史を重ね、住まい手とともに時を刻みます。もともとこの土地に在った蔵を壊し、新しい家が建ちました。それが歴史を刻み、風景をつくることだとご主人はおっしゃいます。百年後の風景が今につながっていると思うと、その「家づくり」のお手伝いが出来たことを大変光栄に思いました。

坂出市 S邸 2008年11月竣工
延床面積/291.16㎡(88.23坪)
構造/木造2階建 在来工法
設計・施工/菅組

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〔森里海から No.13〕段畑(だんばた)



文・写真 菅 徹夫

宇和島市の遊子水荷浦(ゆすみずにがうら)にある大規模な段畑(だんばた)、いわゆる「だんだんばたけ」。同じ四国にありながら、つい最近までその存在を知りませんでした。先日、機会があってはじめて現地を訪ねたのですが、その光景は、想像をはるかに超えた絶景で圧倒されました。4ヘクタールに及ぶ面積は、日本でも他に類を見ない規模で、山の片面がすべて頂上までだんだん畑として開墾されています。その規模もさることながら、なんといっても素晴らしいのは石垣の美しさ。一面に石垣が広がる光景は、まるで古代遺跡のような迫力で目の前に迫ってきます。地元の農家の人たちが積んだと思われる石垣は、あまり加工されていない自然石をセメントやコンクリートを一切使わずに積んだ、いわば多自然型工法といえます。エコスタックとしての石垣は、石の間にできる空隙が生き物たちの生息場所を作り出すビオトープにもなっています。

※ エコスタック:積み上げられた藁くずや枝、石ころのことで小動物の隠れ家を意識して築かれるもの

人工の構築物ですが、自然石や土など天然素材だけを用いて作られているため違和感なく周辺環境に溶け込んでいます。棚田は全国に数多く、石垣の美しいものもたくさんありますが、石垣の段畑でしかもこれだけの規模のものは全国でも例を見ません。
写真は11月初旬のもので、何も植わってない状態ですが近々ジャガイモを植え付け、春には収穫されるようです。以前は麦を栽培していたようですが、一面麦畑の段畑は壮観な景色だったことでしょう。



「国の重要文化的景観」も選定され「段畑を守ろう会」も結成されているようです。全国で失われつつある貴重な日本の農村風景の一つとしてこの地に在り続けてほしい風景です。

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〔工事現場紹介〕善通寺第一高等学校体育館新築工事



現在、県立善通寺第一高等学校の改築工事が進められています。善通寺第一高校は平成19年「県立高校の再編整備基本計画」によって、善通寺西高校を吸収合併しました。また県が進めている「県立学校耐震改修事業」にも該当し、大幅な工事が進行しています。その中の一つ、体育館の新築工事を今年8月より菅組が施工させて頂いています。

◇トラス構造
体育館はその用途により、大規模な空間を要する特殊な建物です。そのため屋根にはスペースフレーム(立体トラス)を採用。鋼管パイプを鋼球に接続して組み広げるため、ダイナミックかつ繊細な空間が可能です。また素材の堅牢性に加え、引張力・圧縮力に強く、軽量で耐震性にも優れているのが特徴です。トラスはミリ単位の誤差が全体のくるいにつながる難しい工事でもあります。



◇地盤改良
着工から3ヶ月経った現在は、地盤改良の工事中です。体育館の床は分厚いコンクリートで固めるため丈夫につくられますが、地盤改良をすればさらに良質で強固な土台となります。現状の土に固化材を混ぜ、機械でかくはんし転圧します。その上を捨てコンクリートで整え、床の基礎となるコンクリートを打ちます。

*トラス…部材の節点をピン接合(自由に回転する支点)とし、三角形を基本にして組んだ構造体骨組。
*捨てコンクリート…基礎コンクリートを打つ前に、地盤の上に打設されるコンクリート。


香川県立善通寺第一高等学校
 住所:香川県善通寺市文京町1-1-5

施工:菅組
現場監督:所長/佐野(中央)、大柳(右)、佐倉(左)

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〔お店紹介〕婦人服 コトブキヤ



「観音寺市の商店街にはたくさんの店が並び、人と人とのふれ合いが街をつくって来た」と語るコトブキヤのご主人は、この「柳町」で店を構えて60年間、街やそこに行き交う人々を見守り続けて来られました。
都市計画による道路拡張工事が進む観音寺市商店街は、今まさに変革の時を迎えています。多くの店が立ち退きを余儀なくされる中、この土地に育ててもらった恩を返したいというご主人の真摯な思いから、新店舗の建て替えを決意され、去る11月7日に新装オープンされました。



「喜・人・喜」
創業の昭和22年から変わらず「喜・人・喜」をモットーとされたご夫妻。人が喜ぶことが好きとおっしゃるお二人の人柄を伺うように、オープンにはたくさんのお花が並び、常連のお客様は後を絶ちません。時代の流れとともに順応してきたからこそ今がある、と振り返るご主人は御年80歳。街や人々が移りゆく中で築き上げられた確かな信頼関係があり、またご夫妻のような温かな存在が商店街を支えて来られたのだと実感しました。

◇コトブキヤ
住所:観音寺市観音寺町甲1175(柳町)
営業時間:9:00~19:30
TEL:0875-25-2643
駐車場:2台

設計・施工/菅組

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〔お知らせ〕200年住宅を建てよう。



■長期優良住宅とは
地球温暖化が世界的な問題となっている現代、家づくりの観点からもCO2削減案として、2008年政府より「200年住宅ビジョン」が発表され、日本の住宅政策に大きな変化が生じました。これから国が求めるものは「いいものをつくってきちんと手入れして長く大切に使う」住宅です。長い寿命と耐震・省エネ・バリアフリーなどに高い性能を持った住宅は、地球環境に貢献でき、資産としての評価も高く持続されるようになります。今年の6月に施行されて以来、この「長期優良住宅」は全国各地で急速に進められています。

■長期優良住宅先導的モデル事業とは
最近耳にする「200年住宅」は、国がこれから目指す住宅の手本となる提案を募り、その中から特に優れた提案に対して「長期優良住宅先導的モデル事業」として採択したものに対する愛称です。菅組が加盟する「町の工務店ネット」では、高い技術を備えた住宅に建築家の考え方や設計手法を取り入れたクオリティの高い提案が「長期優良住宅先導的モデル事業」に採択され、1棟あたり最大200万円の補助金が国から交付されることになります。

■讃岐町家
現在、菅組では長期優良住宅先導的モデル事業に採択された家づくりの考案者である、建築家:趙 海光(ちょう うみひこ)氏と共に「讃岐町家」の工事を丸亀市にて進めています。趙海光氏が提案する「讃岐町家」はできるだけ地域の木材・材料を使い、環境に配慮した工夫がなされていること、住宅の基本性能の高いことと地域の町並みに美しい景観をつくことができる家を考えています。全国各地で「町の工務店ネット・趙海光氏・工務店」によって「現代町家」をつくる運動がスタートし、その一環である「讃岐町家」は長期優良住宅先導的モデル事業に該当します。また「博多・現代町家」は2009年のグッドデザイン賞を受賞しました。



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〔伝統の味を食べよう〕三豊市荘内半島郷土料理 「いもど(芋豆腐)」



これからも寒い季節、酒の肴に欠かせない郷土料理の一つ「いもど」。いもどとは、鮮度のいい魚が手に入る土地柄らしく、身をほぐし芋と混ぜ、熱々の豆腐の上にかけて食べる郷土料理です。その為昔は冬がくると伊予から芋売りさんがひっきりなしに「栄養芋はいらんかね」と自然薯(山芋の一種)を売りに来ていたそうです。
とてもおいしい三豊市荘内半島の郷土料理を是非一度ご賞味下さい。

材料(4人分)
かれい・・・1尾
山芋・・・・半分
豆腐・・・・1丁
だし汁・・・1ℓ
卵・・・・・1個
醤油・・・・大さじ2
塩・・・・・少々
ネギ・・・・適宜
ごま・・・・適宜



①かれいを素焼きにし、身をほぐし取る。※かれい以外の白身魚でもOK!(ちぬ・げたetc)
②山芋は皮をむき、すり鉢ですりおろす。とき卵と醤油、塩を加えて味付けし、①の魚の身を加え、よく混ぜる。
③イリコのだし汁を沸かし、その中へ短冊切りの豆腐を加える。湯豆腐の要領で、豆腐がゆらっと揺らいだところで取り出し、②とネギ、ごまをかけ完成。※熱々の豆腐を、ひんやり冷たい魚入りの山芋の中に入れて冷まし、味の付いたところで食べてもおいしい!残っただし汁は、お味噌汁などに活用。

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〔お知らせ〕1000000人のキャンドルナイト 2009 冬至 in OMソーラーハウス



夜のOM体感会♪
日時:2009年12月22日(火)
   18:00~21:00(開場17:30)
会場:菅組高松展示場(OMエコショップすが)
   
今回のキャンドルナイトは、冬のOMソーラー体感会を開催します。
キャンドルの灯りの中、OMソーラーハウスでスローな夜を過ごしませんか?

予約制:会場の都合により定員30名とさせて頂きます。詳細は下記までお問い合わせください。
問い合わせ:高松市郷東町23-7 TEL 087-882-6387  FAX 087-881-1274


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