自然と寄り添う暮らし

MENU

自然と寄り添う暮らし

あののぉ vol.11 2009 夏

あののぉ vol.11 2009 夏

.
.
〔お宅訪問〕人に環境にやさしいクリニック


高松中央ICを降りてすぐの
大通り沿いにある辻クリニックは、
病院というよりは大きな家のような佇まい。
やさしい笑顔に迎えられた室内は、
たくさんの木に囲まれ、
空気の澄んだ、
とても居心地のいい空間でした。


人に環境にやさしいこと
「病院に来るではなく、家にいるような感じにしたかった」とおっしゃる院長の言葉どおり、長居してしまいそうなほど居心地の良い建物でした。
待合室は、木を中心に、自然素材の壁紙や手作りの椅子など、落ち着いた色彩と、あたたかみのある素材に包まれています。ゆったりと過ごせるように、梁材には集成材を用い、明るく開放的な大空間をつくり出しています。
建物を支える大黒柱は、樹齢 年の桧の大木。院長自らが仲南(現まんのう町)の山へ入り、目の前で伐採したその木は、素材をそのまま活かすため八角形に。



OMソーラーを搭載したクリニックの印象を伺うと、スタッフの皆さん「空気がきれい」とおっしゃいます。消毒液や薬品などのにおいがこもることはなく、清潔な環境だそうです。空気を循環させるOMソーラーの見えない力を実感されているようでした。
「人にやさしいこと、環境にやさしいこと」が大切だという院長の考えは、患者さんへ伝わり、「また来たくなる」と言われる方も多いのだそうです。



高松市 辻クリニック 2007年10月竣工
延床面積/314.96㎡(95.28坪)
構造/木造2階建 在来工法+OMソーラー
設計・施工/菅組

.
.
〔森里海から No.11〕蘖(ひこばえ)と樹洞(うろ)にみる二次的自然



文・写真 菅 徹夫

「里山」とか「雑木林」と呼ばれる天然林(二次林)は、人の暮らしと自然とが密接に関わり合ってきた共生の空間です。そこではクヌギやコナラの木は定期的に伐採され、燃料(薪)として利用されてきました。伐採された切り株からは、新しい芽が勢いよく生えてきます。これを蘖(ひこばえ)と言います(孫生とも書く)。植物学的には萌芽再生(萌芽更新)といい、広葉樹にのみ見られる特性で杉や桧、松などの針葉樹にはみられません。この新芽は10年かけて成長し、再び薪として利用されます。こうして薪炭林では10~20年周期で伐採と萌芽更新が繰り返され循環してきました。
蘖(ひこばえ)は長年のうちに、樹洞(うろ)と呼ばれる穴を木の根元に作り出します。うろには小鳥やヒキガエル、ミツバチなど多くの生きものが住みつきます。夏になると、甘い樹液にカブトムシなど無数の昆虫が群がります。そこには豊かな生物多様性が形成されるのです。



人の手が入っていない原生林などの「原生自然」に対して、里山や農耕地など人の手が積極的に関わった自然を「二次的自然」と言います。たとえていうと映画「もののけ姫」の森は原生林(原生自然)、「トトロ」の森は二次林(二次的自然)といえると思います。この二つはどちらが優れているという類のものではなく、どちらも大切な「日本の自然」なのです。生物多様性の観点からみると二次的自然の方がむしろ原生自然よりも生物相が多様であると言われています。それは、まさに人が自然や他の生物達と共生してきた歴史といえるのではないでしょうか。人の暮らしそのものが、生物が生きていける空間(ビオトープ)をつくりだし、維持されてきたのです。里山(雑木林)にみられる蘖(ひこばえ)と樹洞(うろ)、そしてそこで育まれる生物の多様性は、人が関わり続けることではじめて維持されてきた自然(二次的自然)なのです。
今、人が自然に関わることが極端に減ってきました。結果、里山や水田や森(人工林)が荒れています。古代より自然と関わり続けてきた日本人としての共生の自然観を今、もう一度身近に取り戻す必要があるのではないでしょうか・・・。



.
.
〔工事現場紹介〕香川井下病院産婦人科棟

赤煉瓦の外観が印象的な「香川井下病院」は、瀬戸内海を望む穏やかな町に、昔からある総合病院です。産婦人科から始まった歴史ある病院が、新しい「産婦人科棟」を計画され、昨年11月より当社が施工を担当しています。



「新しい」病棟
病棟には、患者さんの立場に立って考えられた心遣いが、随所に見られます。完全個室はもちろんのこと、エステやフィットネス室が完備されています。さらに分娩室には、全国で注目を集めている「BSS(バースサポートシステム)」を導入。これは、お産の時に感じる不安や緊張を“音・光・映像”の効果によって和らげる分娩支援システムで、空間全体を演出します。経験を積み重ねた確かな技術と、新しい設備に取り組んだ、「新しい」産婦人科棟が今秋誕生します。



工事は現在、サッシや耐火間仕切壁、配線や配管などたくさんの協力業者によって内部を中心に進んでいます。建物をつくる側も、病院の目指す医療を理解し、思いを込めて作業を進めています。



医療法人社団 豊南会 香川井下病院
〒769-1613 香川県観音寺市大野原町花稲818-1
TEL0875-52-2215

現場監督:守谷昌記

.
.
〔お店紹介〕素材一筋のお寿司屋 「味楽留(みらくる)」



観音寺市の街中にあるお寿司屋「味楽留」さんは、お店を改装されて今年で23年目になります。のれんをくぐり、一歩足を踏み込んだ店内でまず目に飛び込んでくるのは、一枚板の桧のカウンター。思わず声を出してしまうくらい立派なものです。また、オリジナルで作ったというケヤキの椅子に、細部まで造りこまれた茶室を思わす店内。とても落ち着いた上質な雰囲気の中で、大将の思いのこもった料理を頂く贅沢な空間になっています。



何よりも「素材」にこだわられている大将。地元で獲れた旬な魚に、西条の寒風山へ自ら水を調達しに行くという「素材」に対する徹底ぶり。最高の「素材」を活かした店内に、最高の「素材」を使用した料理。
いつ訪れても新しい発見が見つかるお寿司屋「味楽留」さんです。


◇「味楽留(みらくる)」
住所:観音寺市観音寺町甲1087-30
営業時間:11:30~14:00   16:00~21:00
定休日:日曜日
TEL:8075-25-4684

設計・施工/菅組

.
.
〔商品紹介〕保多織(ぼたおり)



その名は「多年を保つ」とのことから、保多織(ぼたおり)と命名され江戸時代、一子相伝の秘法として受け継がれました。讃岐の伝統的織物・保多織は、今から三百年前、京都から来た織物師・北川伊兵衛が考案した織物。織糸の操作で横糸を浮き上がらせる独特の織りで、一般的な平織に比べると凸凹があり、さらっとした肌触りと吸湿性に優れています。



保多織の唯一の織元である岩部保多織本舗さんは、創業110余年。4代目岩部卓雄さんとMAYUMIYA森田真由美さんのコラボレーションによって「讃岐の舎づくり倶楽部オリジナル手拭い」は誕生しました。「地・水・木」をイメージしたデザインで、ハンカチとしてお使い頂けます。軽くて丈夫な保多織を是非お試しください!

◇岩部保多織本舗 (いわぶぼたおりほんぽ)
住所:高松市磨屋町 8-3
TEL:087-821-7743

Design:MAYUMIYA
Distribute:OMエコショップすが

.
.
〔素材特集〕土管の良さを知る



土管とは、粘土の原料を配合して成形し、乾燥して窯によって焼成したもの。
土管には2種類あり、1000℃以上の高温で焼成した品質の硬い「陶管」。600℃~800℃程度の低温で焼成された吸収率が大きい「素
焼き土管」とがあります。
「讃岐舎(さぬきのいえ)」では外回りの雨水排水管に土管(陶管)を使用しています。通常一般的に使用される塩ビ管(塩化ビニール)と異なり、土を原料にした自然素材なので環境負荷が小さく地球にも人にも優しい素材です。原料の土は、綾川町・丸亀市・三豊市山本町の三箇所のものを混ぜ合わせて使用しています。



讃岐舎に使用する土管は「セラミックストライプ管」。
セラミックストライプ管とは1000℃以上の高温で焼成された陶管で排水能力は合成樹脂管の2倍以上。耐圧は1000Kg/mで6倍以上。半永久的に使用可能。また、自然素材なので環境にやさしく、小さな孔が空気や水を通し「呼吸する」ことで土を生き返らせる。



水案内溝によって、表面面積が大幅に増加。
多孔性構造と合わせ、外表面に付着した地中水をスムーズに管内に導入。

製造は高松市牟礼町にある土管製造会社「織田陶管(おりたとうかん)」。明治36年創業の四代目窯元。現在、土管を製造している会社は中国・四国・近畿地方では織田陶管1社のみ。今では伝統産業となった土管を改良し、古くて新しいものを提供している会社です。

詳細は讃岐舎の舎づくり倶楽部へ

.
.
〔お知らせ〕100万人のキャンドルナイト



日時:6月19日(金) 20:00-22:00 (開場19:30)
イベント会場:古木里庫(三豊市仁尾町乙264)

・キャンドルつくり・・・作ったキャンドルはお土産に。世界に一つだけのキャンドルで素敵なキャンドルナイトを楽しみませんか?
・オカリナコンサート・・・オカリナのやさしい音色が心に響き渡ります。ゆったりとした癒しの空間でスローな夜をお楽しみ下さい。
お申し込みは不要です。お気軽にお越し下さい。

.
.
〔お知らせ〕菅組のコーポレート・メッセージが誕生しました。



これまでも、これからもずっと「木」にこだわり、関わっていく会社という思いを込めて。


  1. ホーム
  2. 地域のこと
  3. あののぉ
  4. あののぉ vol.11 2009 夏

関連する取り組みはこちら

TOP