あののぉ vol.10 2009 春
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〔お宅訪問〕ひだまりのような家
讃岐舎らしいシンプルなフォルム。
赤い木製スクリーンが印象的なK邸。
大きな吹き抜けと大きな窓、
明るく開放的なリビングダイニング。
木の心地よさに包まれた、
ひだまりのような家を訪ねました。
シンプルな家づくり
たくさんのモデルハウスを見学されたKさん。何となく目にとまった一枚の見学会チラシが、菅組との出会いでした。当初は「なんて営業気が無い会社!」とびっくりされたそうですが、その後建物や人、考え方に触れるにつれ、「おもしろそう」と思えたことが、最終的に選んだ理由になったとご主人。家づくりの条件は、「明るく、風通しのよい家」「アレルギーを考慮した木の家」、さらに健康でクリーンな生活を過ごせるのであればとOMソーラーの搭載を決意。その考えに揺るぎはなく、豊富な知識とセンスで早々にプランが完成しました。
特徴的な南面の大きな掃き出し窓からは、たっぷりの光が降り注ぎ、無垢材の床を暖めます。夏の湿度は %前後で、独特のムッとした熱気がないそう。さらにOMの貯湯システムを利用し、「ガス代も経済的で満足」と奥さん。
また、OMソーラーは随時換気を行うため、常に新鮮な空気を家中に循環させます。そのため、家を建ててからは空気清浄機が稼働しなくなったそうです。「空気は目には見えませんが、良い生活環境であることを実感している」とご夫妻。
四帖半ほどある大きな吹き抜け、オリジナルのアイランドキッチン、テレビのない開放的なリビングダイニング、客間兼用の和室。渡り廊下のある2階オープンスペースなど様々な工夫がなされたK邸。ご主人力作の広いウッドデッキでは、晴れの日にオーニングテントを出して日向ぼっこを。これからも手を加えることがたくさんある。と楽しそうに計画を語るご主人。
家が家族色に染まっていく姿に触れながら、家づくりの「おもしろさ」を感じ取れる素敵なご家族でした。
高松市 K邸 2008年4月竣工
延床面積/118.55㎡(35.92坪)
構造/木造2階建 在来工法[讃岐舎610]+OMソーラー
設計・施工/菅組
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〔森里海から No.10〕おむずび山
文・写真 菅 徹夫
香川県の地形の特徴のひとつは讃岐平野に数多く点在する「ため池」、ともう一つは「おむすび山」でしょう。香川には、全国的にも珍しい円錐状や台地状の美しい小山が、平野部から瀬戸内海にかけて浮かんでいます。これらの小さい山は通称「おむすび山」と呼ばれます。このおむすび山が讃岐平野のあちこちに林立する光景は、地元に長く住んでいるとあたり前になってしまってますが、県外の人から見るととても珍しい特異な光景のようです。それはまるで「まんが日本昔ばなし」のワンシーンに出てきそうな、まさに「マンガのような」風景なのです。
代表格はご存じ「讃岐富士(飯野山)」。飯野山は標高421.9mの独立峰、平野の真ん中に忽然と現れます。この讃岐富士を筆頭に香川には讃岐七富士と呼ばれる山があります。讃岐富士(飯野山)、三木富士(白山)、御厩富士(六ツ目山)、羽床富士(堤山)、綾上富士(高鉢山)、高瀬富士(爺神山)、有明富士(江甫草山)の七山です。これら七富士がおむすび山の典型と言えると思いますが、七富士以外にも香川の地にはかなりの数の「おむすび山」が林立しています。。
讃岐平野は、今から約1400~1100万年前の火山活動で溶岩に覆われたと考えられています。そのときできた溶岩台地はその後雨水や風で侵食されていきましたが、岩質の違いの重なり方が、オムスビ型の山をつくった主な原因であると考えられています。つまり、山頂部は浸食作用に強い「安山岩」、その下の低山部は浸食作用に弱い「花崗岩」でできていたため、花崗岩の部分が崩れ、侵食されにくい安山岩に覆われた上部だけが小高い丘として残ったと考えられています。その証拠に、これらの山の山頂には安山岩の柱状摂理を見ることができます。これは火山岩が冷却や圧縮を受けてできた柱状の割れ目です。その後河川の堆積作用によってできた沖積平野が讃岐平野で、平野が広がるにつれ島であったところが陸続きになり、山となったと考えられています。(讃岐の風土記/出来屋より)
讃岐七富士を代表とするおむすび山の群立は讃岐平野独特ののどかな風景をつくりだしています。讃岐にしかない風景を形成しているのです。「灯台元暗し」といいますが、地元の人が近くの文化や自然などの特徴や良さに案外気付いていないことがたくさんあるように思います。こうしたことに気づき、価値を見いだせることが文化を育むのだと思います。かくいう私自身も「讃岐七富士」の存在を知ったのはごく最近のこと。うどんだけではない讃岐の文化、まだまだありそうです。
讃岐のこと、たくさん自慢できる讃岐人でありたいと思いますね・・・。
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〔工事現場紹介〕善通寺永代供養塔 光明殿(こうみょうでん)八角・十三重塔の納骨施設
今般、弘法大師御誕生所総本山善通寺の創建千二百年の記念事業として、近年の少子化・核家族化によりお墓がない、お墓を守る者がいないなど、お墓の問題で悩む多くの人々に対して、死後の供養を安心して託せる永代供養塔「光明殿」を建立する事となり、当社が施工を担当する事となりました。
外観は、追善供養のご本尊「十三仏」を表す、我国唯一の八角形「十三重塔」です。仏塔の内部に、納骨・供養空間を設け、癒しの檜を基調とした、温もりを感じる空間になっています。日中は、天窓から差し込む柔らかな自然光に優しく包まれ、永遠の安らぎが得られる供養空間となります。
大五輪塔(だいごりんとう)
十三重塔の天上には「善通寺大五輪塔」が鎮座しており、五輪塔部分が5m、総高6m30㎝を誇る日本最大級の大五輪塔で、お大師様と御縁の深い中国・福州産の御影石を使用し、巨大な一枚岩から削り出しています。
五輪塔は、大宇宙を構成する五大(地大・水大・火大・風大・空大)を五つの形(四角・丸・三角・半円・宝珠)で表し胎蔵界大日如来(大宇宙の生命の根源)をシンボル化した五輪塔は、「無上の供養塔」とされています。
納骨堂建設は、自分自身一生で一度携われるかどうかの仕事だと思います。外観は全て白御影石で、八角形・十三段とかなり施工の難しい建物でした。私の中では生涯心に残る作品になると思います。
現在、納骨永代供養の受付中です。光明殿についてのお問い合わせは、総本山善通寺までお願いします。四国遍路伝統のお接待の優しさを「真心の供養理念」として納骨者様に永遠の安らぎをご提供して下さいます。
総本山善通寺
〒765-8506 香川県善通寺市善通寺町3-3-1
TEL:0877-62-0111(9時から17時まで)
フリーダイヤル:0120-889-511
現場監督:古本尋樹
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〔特集〕ビオトープをつくろう!
ビオトープは、「bios:生命」と「topos:空間」の合成語で「生物の生息に適した場所」を意味します。森林、池、湿地、河川、草地といった、その地域に住むさまざまな生き物が、地域固有の自然生態系を構築している場所のことです。
現在、ビオトープには様々な意味があり、目的も多様化しています。生物の生息空間の保全、復元、新たに作ることもビオトープとされています。大切なことは、「ビオトープ」の思想を広めること、育てることだと思います。学校ビオトープなど、教育に取り入れられるように、実際につくって、触れることが大切だと思います。庭のちょっとしたスペースを利用して、この春ビオトープを作ってはいかがでしょうか?
photo:OMエコショップすが(高松展示場)の庭にあるビオトープ。初夏には生命力に満ちた新緑で埋め尽くされます。今年で3年目を迎えます。
◇01 準備物
・ 遮水シート
・ 野石(石ころ)
・ 赤玉土(小粒)
・ 水生植物
・ 淡水魚
・ 道具類
◇02 手順
1 . 穴を掘る
仕上がりサイズより一回り大きく掘る。
2 . 遮水シートを敷く
シートのジョイントは避け、2重に敷く。
3 . 土を入れる
掘った土を10~20cm戻す。
次に赤玉土を10cm程度入れ、水で湿 らせながら転圧する。※池の水際部分には水深5~10cmぐら いの浅瀬(エコトーン)を広く作ります。微生物の繁殖域で、水質を維持する重要な部分です。
4 . 野石を並べる
水面<野石<シートの順に高さを調 節する。
5 . 仕上げ
余分なシートを切り、端を土で覆い隠す。
底にはゴロタ石などを並べ、魚などが 逃げ込めるような空間をつくる。
6 . 水張り
水は水道水でOK。
満水状態は野石に水面がかかるくらい。
7 . 水草を植える
水を張った状態で水草を植え込む。
8 . 魚等を放流する
水を張って1週間以上経ってから放流 する。*えさは一切必要ありません。
◇作品
◇メンテナンス
特別なメンテナンスは必要ありませんが、以下の事ぐらいを心がけて下さい。
・ セイダカアワダチソウなどの「外来種」が生え始めたら除草する。
・ 蒸発など水量が減ってきたら、水道水等を補給する。
・ 水の濁りが気になる場合は、「阿寒貝化石」の粉末を使用する。
・ ビオトープには以下の生き物などは放流しないこと。
(金魚、鯉、アメリカザリガニ、ウシガエル、ミドリガメ、ブラックバス、ブルーギル)
◇絶滅危惧種の評価
生物種の絶滅危険程度のアセスメント(評価)は、地球規模(IUCN)と国・地域ごとに行われます。下記は環境省の「レッドデータブック」によるカテゴリ表です。
*水生植物、淡水魚はOMエコショップすがで取り扱っているものの紹介です。
*「タイガーシート」もご購入頂けます。
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〔素材特集〕讃岐舎の瓦
「瓦」は大きさや役物の種類、産地によって表情や用途が様々です。ここでは讃岐舎(さぬきのいえ)で使用している屋根瓦をご紹介します。
◇日本瓦(土筋葺き)
・ 淡路産 切落凌桟 六四版 シノギ桟万十軒瓦
・ 淡路産 切落 五六版 一文字軒瓦
●切落瓦
水下側を切り落とした「切落瓦」。意匠性を考慮したシャープな仕上がりで、陰影も美しいです。
●六四版 シノギ桟万十軒瓦
一坪当たり64枚の瓦を使うのが六四版。一般的には56枚を使う五六版ですが、あえて小ぶりな瓦を使うことで繊細な表情を作ります。
軒先に使う軒瓦は、一般的な万十瓦ではなく「シノギ桟万十瓦」を使います。昔ながらのイメージを少し残したアンティックな雰囲気とシャープな雰囲気を併せ持つオシャレな軒瓦です。
●土筋葺き
瓦の谷の部分に葺土を筋状に葺く「土筋葺き」。「引掛葺き」に比べ重くなりますが、瓦の安定性が良く、より断熱効果が得られます。
photo:左→シノギ桟万十軒瓦淡路産 切落凌桟六四版 右→一文字軒瓦淡路産 切落五六版