自然と寄り添う暮らし

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あののぉ vol.09 2008 冬

あののぉ vol.09 2008 冬

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〔お宅訪問〕四季を感じる家



日本には四季があり、
季節を楽しむことができます。
それはごく当たり前のことですが、
とても大切なことのように思います。
色とりどりの木の中で秋を感じる庭。
そんなすてきな庭と共に暮らす
M邸を訪れました。



庭と家と自然
その人を現した家でした。
多彩な趣味をお持ちのご主人は、自然のものが一番良いとおっしゃいます。木をそのまま使う現しの真壁工法の家。杉や桧の構造材は力強く、美しく、無駄もなく、ただ簡潔で潔い。そしてやわらかで静かな空間―。
いい素材を用いて、いい設計がされていること。家は、良い物を長く愛用することと同じで、長く暮らすことが大切だとご主人。新しいものを大量消費し出す前の、日本の文化を大切に見つめておられました。
家づくりで大切にされたことは、家のどこにいても庭が見えるようにすること。飾り立てた庭ではなく、四季を感じることのできる自然のままの庭は、今まさに紅葉が美しく、実もたわわに、様々な木が思い思いに咲き誇ります。風を感じ、四季を感じ、自然を感じる、その喜びが感じられる家でした。 




別棟のアトリエ
玄関や床の間をはじめ、家の様々な所に飾られたこけ玉、木彫りの仏像、器、机や椅子はご主人の作品。その隣には奥様の書道の作品が飾られています。
庭を挟むように建つアトリエは、車庫をご自身で改修されたもの。二連の木製の窓は庭の木々を借景。まるで山荘へ来たような心持ちでした。
室内は手彫りの仏像をはじめ、
ご主人ゆかりのものが数多く飾られています。作品は作り手自身を現すように、掘り進めると、仏像の顔が不思議とご自身に似てくるのだそうです。
毎日が楽しく時間が足りないくらいだ。とおっしゃるご主人の一番の作品は、この家なのかもしれません。

三豊市 M邸 1999年10月竣工
延床面積/240.72㎡(72.95坪)既設部分含む
構造/木造2階建 在来工法
設計・施工/菅組

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〔森里海から No.9〕春の七草(七種)



文・写真 菅 徹夫

「芹 なづな 御行 はくべら 仏座 すずな すずしろ これぞ七種(ななくさ)」
1362年頃に書かれたという『河海抄(かかいしょう、四辻善成による『源氏物語』の注釈書)』という文献にうたわれたこの歌がはじまりで、春の七草が現在に定着したようです。

1.芹セリ
湿地やあぜ道、休耕田など土壌水分の多い場所に自生し、半ば水につ
かっていることもある湿地性植物である。高さは30cmほど。茎は泥の中や表面を横に這い、あちこちから葉を伸ばす。葉は二回羽状複葉、小葉は菱形様。全体的に柔らかく黄緑色であるが、冬には赤っぽく色づくこともある。花期は7~8月。やや高く茎を伸ばし、その先端に傘状花序をつける。個々の花は小さく、花弁も見えないほどであるがまとまった姿は白く、楚々として美しい。

2.薺ナズナ
アブラナ科ナズナ属の越年草。別名はペンペングサ(ぺんぺん草)。田畑や荒れ地、道端など至るところに生えている。「貴方に全てを捧げます」の花言葉を持つ。ムギ栽培の伝来と共に日本に渡来した史前帰化植物と考えられている。

3.御行ゴギョウ
ハハコグサのこと。人里の道端などに普通に見られ、冬の水田にもよく出現する。冬は根出葉がややロゼットの状態で育ち、春になると茎を伸ばして花をつける。成長した際の高さは10~30cm。葉と茎には白い綿毛を生やす。花期は4~6月で、茎の先端に頭状花序の黄色の花を多数つける。日本全国に見られるが、古い時代に朝鮮から伝わったものとも言われる。

4.繁縷ハコベ
ハコベラともいう。背の低い草で、高さはせいぜい20cm、茎の株でよく枝分かれして密集した群落を
作る。茎には節があり、節ごとに葉を互生する。葉は広卵形、ややハート形っぽく、茎の下部では長い葉柄があるが、先の方では次第になくなる。花は集散花序につき、まばらに散らばる。

5.仏の座ホトケノザ
現在のホトケノザではなく、七草ではコオニタビラコのことを指す。湿地を好み、田や周囲のあぜ道などに多く生える。初春の水田ではロゼッ
ト葉を広げて地面にはいつくばった姿で見られる。葉は羽状複葉で丸っこい。高さは10cm程度、早春には黄色の頭状花が咲く。花が終わると果実は丸く膨らみ、下を向く。種子には綿毛がない。

6.菘スズナ
蕪(カブ)のこと。アブラナ科の越年草で、野菜(根菜類)の一つ。

7.蘿蔔スズシロ
大根(ダイコン)のこと。アブラナ科の野菜。主
として肥大した根、茎、胚軸を食用とするほか、種子から油が採れ、土壌改良にも利用される。



1月7日の朝に七草粥を食べる風習があります。平安時代からこの習慣があったようです。平安時代に書かれた清少納言の「枕草子」には、”七日の若菜、六日、人の持て来……”という一文があります。正月6日から7日にかけての行事で6日の夜はヒイラギなどの刺のある木の枝や、蟹のはさみのようなとがったものを戸口にはさんで邪霊を払い、七草叩きといって、唱えごとをしながら七草を包丁でたたき、粥を炊き込みます。7日の朝、歳神に供えてから家族で食べると万病を払うとされていました。正月のごちそうで弱り気味の胃を休めるという知恵から始まったという説もあります。
2008年も残すところわずかとなりました。来年2009年は七草粥でスタートしてみるのも良いのではないでしょうか。日本に残る伝統的風習、大切にしたいものです・・・。

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〔お店紹介〕コットン&雑貨 「Nuno Hana」

詫間町にあったコットンショップ「ぬのはな」さんが仁尾町に移転オープンされました。数年前に菅組で設計施工させて頂きましたが、その後ご自身で手を加えられ、とてもオシャレな空間になっています。外壁のスレートとガーデニングの緑のバランスが、飾り過ぎず絶妙です。内装はすべて手づくりで、レンガのポーチ、塗り壁、家具など、ショップ全体にハンドメイドの楽しさが詰まった、やさしいお店です。



オーガニックコットンなど、素材にこだわった衣服や生地、小物を取り扱うほか、木製の棚や巣箱などオリジナルの雑貨も作って頂けます!お店の奥にはカフェスペースがあり、「野の花」さんの焼きたてのパンや焼菓子を食べることが出来ます。



◇コットン&雑貨 「Nuno Hana」

三豊市仁尾町仁尾1394-11
営業時間: 10:00~18:00
定休日:火曜日
駐車場:6台
TEL:0875-82-3135

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〔特集〕薪ストーブ



寒い冬には様々な暖のとり方がありますが、その中の一つ薪ストーブをご紹介します。薪ストーブの魅力はなんといっても炎と向き合うことです。千変万化する炎は見飽きることがなく、甲斐甲斐しく薪の面倒を見るのも楽しみの一つ。手づくりの薪小屋を建てたり、薪を調達したり、ストーブで料理を作ったり、+αの楽しみも人それぞれ。日常にとけ込むほどその魅力が増してくるのだと思います。
昔、日本の家庭ではいろりを囲んだ生活が一般的でした。“快適さ”では味わえない、炎と共に暮らす特別な時間がそこにあるように思います。

◇薪ストーブの特徴
薪は広葉樹が良いといわれます。薪のはぜる音や香りが楽しめます。

ナラ/薪としての性能をバランスよく備え持つ、代表的な材。
カシ/薪の王様。比重がとても重く硬い木。備長炭としても使われる。
クヌギ/燃焼時間と熱量を併せ持つ薪の高級品。乾燥時間が短い。
シラカバ/油脂分が豊富なため、着火性に優れている。火持ちが悪い。
ケヤキ/硬さと耐久力から高級家具に使用される木。おき火に最適。
スギ/マツ/ヒノキ/針葉樹は樹液が豊富なため、焚き付けに最適。



● 薪ストーブと暖炉の大きな違いは、火力調節の有無です。

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〔特集〕大黒柱伐採ツアーと日本の山と世界の森林



2002年11月 讃岐の舎づくり倶楽部主催で始まった「大黒柱伐採ツアー」。以来毎年秋に開催し、今年で7年を迎えました。● 香川県にも素晴らしい檜や杉の山があること● 数少ないながら林業が息づいていること● 建築用材になる木が長い年月をかけて育てられていること● 人工林は天然林と違い間伐や枝打ちなど人の手が入らないと荒れてしまうことそんなことを通して国産材・地域材を使うことの意義を体で感じてもらえればとの思いからスタートしました。樹齢70年ほどの木が、住まい手さんご家族や参加者の見守る目の前で伐り倒される瞬間は、何度見ても劇的で感動の一瞬です。仲南の森(現まんのう町)で育った木が、大黒柱としてご家族の歴史を刻み続けていきます。



◆近くの山の木で家を建てる~3.9GREENSTYLEをご存じですか?

京都議定書で約束した、温室効果ガスの排水量の削減量は6%。そのうち2/3の3.9%が森林で吸収することに定められました。そのためにはまず、木をたくさん使い、森林のサイクルを取り戻すことが欠かせません。2005年から国産材の利用推進を目指す国民運動「木づかい運動」が広がっています。
日本は国土の約8割が森林であるにも関わらず、管理が行き届かず山が荒廃しています。この豊富な資材を使わないのはもったいない!「近くの山の木」を使うことは日本の山の活性化へつながります。元気になった山は二酸化炭素をたくさん吸収し、温暖化に歯止めがかけられます。ネックとなっている間伐費用や輸送費用を負担する“支援金”を上乗せした紙も流通され、「木づかい運動」は私たちの生活の中にも息づいています。


◆違法伐採の問題

世界では森林面積の減少が大きな問題となっています。バイオ燃料の需要増加に伴う農地転用なども主な原因の一つですが、違法伐採によって持続可能な森林経営が阻害されていることも深刻な問題です。日本は木材・紙の世界有数の消費国です。消費する木材の約8割は輸入されています。どこで育ち、どのように運ばれてきたのか、安い輸入材を大量消費する私たちは、世界の森林に対して責任を負っています。「違法伐採された木材は使用しない!」という主旨の元、グリーン購入法やフェアウッドキャンペーンなどさまざまな活動が始まっています。食品製造表示と同じように、木材にも森林認証制度があります。
日常生活で大量に消費する紙、家具にも意識することが大切です。


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