自然と寄り添う暮らし

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あののぉ vol.49 2019 春

あののぉ vol.49 2019 春

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〔お宅訪問〕太陽のあたたかさ 木々のぬくもり


丸亀市の住宅街の一角で、太陽の恵みと木々のやすらぎの中で心地よく過ごす、Yさんご家族を訪ねました。街中でありながら、緑を身近に感じ、木のぬくもりに触れる、心やすらぐ時間が流れていました。


あたたかい家
冬のY邸のあたたかさは、太陽の熱と空気の流れを利用して室内環境を整えるOMソーラーのおかげです。寒い冬も底冷えせず、家全体がほんのりとあたたかく、夏は外出先から帰ってきてもムワっとした熱気がこもりません。
ご主人のご実家もOMソーラーを導入しており、実際に心地よさを感じながら過ごしたご主人と、お父様のすすめもあって、ご自身の家族が過ごす新しいお家にもOMソーラーを選びました。
一体となったリビングダイニングキッチンや、小上がりで緩やかに分けた和室など、間仕切りの少ない間取りは、あたたかい空気が家全体に広がりやすく、2階の寝室へ上がっても、温度差をほとんど感じないそうです。2人のお子さんは冬でも裸足で過ごし、檜の無垢床が肌に触れる心地よさを感じています。


ご実家で木の良さを実感していたことから、家づくりの際にはまず「木の家」を希望しました。内装は木を使いつつもさほど全面に出さず、壁や天井を白色で仕上げています。白い壁や天井には陽光がやわらかく反射し、やさしい印象を与えてくれます。
広い作業台のあるキッチンは、奥様の希望です。家族みんなが自然に集まるリビングが見渡せ、子どもたちが宿題をしたり、和室でくつろぐ姿を見守りながら食事の準備をすることが出来ます。また、その奥にはデッキから繋がる庭が広がります。外からの目線をうまく遮り、街中にありながら、窓を開放し緑や風を感じる暮らしを実現します。


丸亀市Y邸
2016年8月竣工
延床面積
105.53㎡(31.98坪) 
構造:木造2階建て
設計・施工:(株)菅組

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〔つくる つづく つむぐ お庭いじり〕第4話


広いウッドデッキもご主人の楽しいご実家の思い出のひとつ。家づくりの際、子どもたちにもぜひ楽しんでほしいと、庭のあるウッドデッキを設けました。隣家の窓が少ない方角に面し、通りからは駐車場を挟んでいるため、街中でも人の視線を気にせず、緑の中でのびのびと遊べます。家族みんなで植えた木々や草花は、その時々の姿や、訪れる小さな生き物たちが、季節の移ろいを伝えてくれます。その中を子通りに面した小さな緑は、道行く人にも癒しを与えてくれます。木々に水をあげていると、お散歩中の方が声をかけてくれることもあるそうです。緑を通して、街と家、人と人が繋がります。


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〔森里海から No.49〕讃岐の鏝絵(こてえ)


文・写真 菅 徹夫

日本の田舎町を旅すると、そこにしかない風景に出会うことがたまにあります。他の地域では見られない独特の地形や建築、あるいは構築物など。旅の途中でそんな風景に出会うと気分は高揚し、嬉しくなります。旅の醍醐味ですね。ところで香川県にもそうした風景はあるのでしょうか?あるとしたらそれは何でしょうか。
県外からのお客さんと車に同乗して讃岐平野を走っていると、よく言われるのは「おむすびのような山が多いですね」と「立派な入母屋のお家が多いですね」ということ。そして「その立派な家の矢切の部分等にある青い線状の模様は何ですか?」と言う質問です。

photo:よく見られる青と白の線状模様


このよく質問される白や青の線状の模様は、「讃岐の鏝絵」と呼ばれるものです。左官職が漆喰に色粉を混ぜて鏝を使って模様を描いているのです。私たち香川県人はあちこちでこうした家を見る事が多いので、殆どの人は特別疑問を持つこともないのではないかと思います。しかし、これがどう言う謂われがあるのかを知っている人は意外に少ないのが現状なのではないでしょうか。かくいう私もこれまで特別興味を持つことがなかったので、数年前までどういう意味があるのかを知りませんでした。県外からの客人に何度かこの鏝絵の意味を質問され、調べてみたところ、どうやら「火事避け」の意味があると言うことがわかってきました。青と白の漆喰で描かれた模様は波の模様などの水を表現したもので、火が発生しないようにとの願いを込めているのだそうです。
この青い線状の鏝絵は最もオーソドックスなものですが、他に鯉のぼりや打出の小槌などを外壁の出隅の部分に立体的に描いている場合も見かけます。きっと子供達の成長やお金持ちになれるようにという願いを込めて描かれているのでしょう。讃岐平野にちりばめられた左官芸術「鏝絵」。点在するいろいろな鏝絵を探して廻るのも乙な「讃岐路の旅」かも知れません・・・。
日本の地域がどこも同じような表情の無個性な街に変わりつつある今、その地域独特の「そこにしかない風景」を守ること、あるいはつくりだすことは地域再生の観点からもとても大切な事のように思います。

photo:右上.青以外の色が使われることも。 左上.黄土色の鏝絵。 下.立体的な波と魚?の模様。


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〔大工のはなし〕第10回『尺杖しるし』


尺杖とは一般的に一尺(303㎜)おきに印をつけた木の定規のことです。
今回ご紹介する尺杖は、今年着工したお宅で使う尺杖です。その尺杖には棟梁がこのお宅専用に作ったという「ひし形のハンコ」が一尺ごとの印として押されています。
先日、住まい手さんが遠方から加工場へ見学にお越しいただいた際に、記念としてこのハンコをプレゼントさせていただきました。使う道具にも、住まい手さんへの思いが込められています。そういった思いを伝えることのできた瞬間でもありました。

上photo:尺杖(しゃくづえ)
下photo:棟梁お手製の「ひし形のハンコ」


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〔information〕

■第5回 瀬戸内DAYOUT 2019 開催

大人も子供も全身で瀬戸内の自然を遊びつくすアウトドアイベントが、無人島つたじまを舞台に開催されます。皆様ぜひ仁尾町へお越しください。



瀬戸内DAYOUT

日時:2019年6月1日(土)~2日(日)
   10:00~16:00 小雨決行 荒天中止
料金:入場無料(ワークショップ等は有料)
会場:香川県三豊市仁尾町大蔦島(仁尾港から渡船で5分)
主催:瀬戸内DAYOUT実行委員会
問合:setouchidayout@gmail.com

内容:シーカヤック・SUP、ツリークライミング、トレイルランニング、ヨガ、ヨットクルー体験、アートワークショップ、野外料理、瀬戸内の食や雑貨のマーケットなど

■仁尾一齣 「暮れゆく仁尾の夕景」



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