自然と寄り添う暮らし

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あののぉ vol.08 2008 秋

あののぉ vol.08 2008 秋

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〔お宅訪問〕和モダンな二世帯住宅



いつも通る道から、
大屋根の印象的なO邸が見えます。
整然と並ぶ日本瓦が陽に照らされ、
通るたびに、
日本建築らしい美しさを感じます。
一年という長い工期を経て建てられた
O邸を訪れました。



悠然と佇む家
家族はいいなぁという思いに満たされながら、O邸をあとにする。振り返ると、後ろの山の緑と家が重なって、どこか夢で見たような、懐かしい風景のような不思議な心持ちがしました。夏らしい暑さも、せみの鳴き声もすべてが絵になる情景でした。
一見旅館と見間違えるほどの閑静な佇まい。その門前へ立ち、取材の緊張が一気に押し寄せる中、ゆったりと大奥様が笑顔で迎えて下さり、自然と笑みがこぼれました。
肥松の木目が美しい上框、漆黒のうるしを塗り込んだ松の廊下、地窓から見える中庭。見るものすべてが上質で品があるのに、優しげな印象を受けたのは、ここに住まわれる家族の人柄が表れていたからでしょうか。家はそのままでは建物に過ぎませんが、そこに家族が暮らすことによって家となり、月日を経て我が家になるのだろうと思います。住まう人の品位が宿った家だという印象を受けました。



八幡町の土地
八幡町はお父様が幼少時期を過ごされた、思い出深い場所だそうです。もう一度ここへ戻ってきたいとの思いから、土地探しを始められました。敷地はちょうど葛飾北斎の赤富士のような形をしており、背には有明浜を望む山があり、川が流れ、風の通る環境の良いところでした。昔は田んぼだったという風景も、今は家が並びますが風土は変わりません。自然から受けた記憶は今も胸に刻まれているように思います。

二世帯住宅
二世帯住宅の理由をお聞きすると、「一緒に住もうとずっと思っていた」とご主人。そうおっしゃられたように、二世帯住宅というのはとりたてて珍しいものではないのかもしれません。けれど核家族が増える中で、同じ家に暮らすということが、子供にとってどれほど良い環境に有るのかを考えると、とても素敵なご家族だなと思いました。
家は門をくぐると玄関を境に、左右それぞれの住宅棟に分かれています。互いに独立し、完結した生活がほどよい距離を保ちます。「孫にすぐに会えるのが嬉しい」とお父様は笑顔で話されます。家族が家に集うという当たり前の光景が、何より尊いものだと感じました。

観音寺市 O邸 2007年5月竣工
延床面積/488.78㎡(148.12坪)
構造/木造2階建 在来工法

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〔森里海から No.8〕讃岐のベーハ小屋に想う



文・写真 菅 徹夫

讃岐の特徴的な風景というと何を思い浮かべますか?讃岐は特別特徴のない風景だと思われる方もいらっしゃるかも知れません。「灯台下暗し」で、地元でずっと暮らしていると地元の特徴的なことが案外見えにくくなったりするものです。私も県外の人から言われて初めて気が付くことが過去にいくつかありました。地形的なことで言いますと「山のかたち」と「瀬戸内海」のことです。
讃岐の山は「おにぎり山」とよばれる小さな妙に整った山が多く、平野部にいきなりこつ然と出てきます。しかもかなりの数で・・・。見慣れない人は不思議な山だとか日本むかしばなしのやまのようだとか表現されます。地元で見慣れていると何でもない風景が県外の人には奇異に映るのです。瀬戸内海もいわゆる一般的な「海」のイメージとはかけ離れているようで、波のない穏やかな水面はどうみても湖としか思えないと何人かから聞きました。
もう一つ地形で特徴的なのは前回紹介した「ため池」でしょう。ため池密度日本一を誇る讃岐平野はこの「ため池」と「おにぎり山」、そして周辺の田畑が独特の風景をつくっています。この讃岐の風景を形成するひとつの要素になっているのが「ベーハ小屋」だと私は思います。ベーハ小屋とは煙草の乾燥小屋のことです。昭和20年代から30年代、香川では葉煙草の栽培が盛んだったようでこの時代に数多くの煙草の乾燥小屋が建てられています。
葉煙草の種類は大きく分けて1.黄色種(おうしょくしゅ) 2.在来種 3.オリエント種の3種類あり、在来種とオリエント種の葉の乾燥は自然乾燥(天日乾燥)で行います。黄色種だけは釜で熱を加え人工乾燥する必要がありました。



古くは薪炊きで、その後灯油などで人工的に乾燥されました。つまり乾燥小屋で乾燥していた煙草はこの黄色種というわけです。黄色種はアメリカ バージニア州原産のもので通称「米葉(米国の葉)」と呼ばれていました。というわけで地域によっては「乾燥小屋」のことを「米葉小屋」と呼んでいたようです。「ベーハ小屋」の呼び方の由来です。香川の西讃地方では「カンソバ」という呼び方が一般的だったようです。
このベーハ小屋、その気になって探してみると予想以上に讃岐平野各地に点在しています。綾川、まんのう地区、西讃では財田、大野原、高瀬地区に特に多いようです。今では乾燥場として使われているところはないようで、農機具置き場など倉庫として使われていたり、廃屋として放置されているものが多いようです。建物としては取り立てて特別なつくりをしている訳ではありませんが、その越屋根(煙抜きとして屋根の上部に付けられた小さな二重屋根)の形状や葉煙草乾燥のための機能からくる建物の高さがつくりだすプロポーション、土壁で覆われた大壁、乾燥状態や温度を確認するための小窓などの要素によって一種独特の形態をもつ個性的な小屋です。このベーハ小屋、讃岐地方特有のものということではなく、ある時期に全国的につくられたもののようですが、これほど多くが今も現存している地域はどうやら讃岐の地だけらしいのです。崩れゆく土壁や木の風情は、役割を終えて朽ちていくものの美しささえ感じさせてくれます。バラック小屋ではありますが今も数多く残るこの小屋たちは讃岐の原風景とも言える景色をとどめると共に、現代の家づくりになにかしらメッセージを発信しているように思えてなりません。木、土、竹、瓦、石で作られたこの小屋は役割を終えると全てが土に還ります。今、まさに土に還りつつある讃岐の「ベーハ小屋」は私たちに何を訴えようとしているのでしょうか・・・・

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〔お店紹介〕よしむら農園直営 「よしむらカフェ」

よしむら農園直営の「よしむらカフェ」が7月、宇多津町のさぬき浜街道近くにオープンしました。よしむら農園さんは、無農薬・無化学肥料栽培に取り組んでおられ、エコ
ショップのイベント「ブラ
ックバスを食べて地球の生態系を感じよう!」では、その瑞々しい有機野菜をご提供頂きました。



「有機野菜の良さを知って頂きたい。そのためには実際に食べて頂くことが一番」 との思いから、カフェをオープンされました。お店は元エコショップの発祥地でもあり、深いご縁を感じています。「すべてがつながっていることへ感謝したい」とおっしゃる店長の奥様の笑顔はとても素敵で、愛情をいっぱい注がれた野菜たちは幸せだなと思いました。新鮮な有機野菜を使ったランチはとてもおいしく、身体も心も洗われるようなそんな贅沢なひとときでした。
カフェでは有機野菜を中心としたランチのほか、有機農園カレー、有機コーヒー、フレッシュハーブティーや野菜入りケーキがそろいます。 農園直営ならではの直売も行っています!



よしむら農園
香川県 綾歌郡飯山町東小川725

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〔特集〕太陽エネルギー



地球環境は急激に悪化しています。地球温暖化は、石油などの化石燃料の大量消費による、二酸化炭素が主な原因とされていますが、環境悪化に加えエネルギー資源の枯渇が深刻な問題となっています。
今注目を集めている、太陽エネルギーの最大の特徴は、「クリーンで無尽蔵に降り注ぎ、枯渇の心配がないエネルギー」ということです。1時間で世界の年間消費エネルギーの1年分に匹敵する程です!
二酸化炭素を発生させることなく電気を生み出す太陽電池。自然エネルギーの普及は、確実に二酸化炭素の発生を削減させ、地球温暖化防止へ貢献できるといえます。
地球のために、未来の子供たちのために…今私たちに出来ることは、事実を知り、何が本当に良いことなのかを見極めることです。出来ることから実践し、広く伝えていくことが大切だと考えます。

◆太陽光Q&A

・太陽光発電とは?
太陽光から電気をつくる自然エネルギー。家庭で使えるよう交流電力に変換する他、つくられた電気を売ることもできます。

・太陽電池はどれも同じ?
太陽電池の原料である半導体の種類は、シリコン系とCIGS系に大きく分かれます。「CIGS太陽電池」は環境負荷の少ない次世代型太陽電池として注目されています。

・CIGS太陽電池がなぜ注目されているのか?
「発電層の薄さ」と「発電効率が良い」ことです。発電層の厚みはシリコン系の約1/50。材料コストを低く抑え、製造時の投入エネルギーも節約できます。さらに発電効率が良く、軽量で、劣化しにくいといわれます。
※CIGS太陽電池…
銅.インジウム.ガリウム.セレンを原料とした化合物半導体を発電層に使った太陽電池。

・メンテナンスは必要?
基本的に不要です。汚れは雨風で洗い流されます。

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〔特集〕太陽光発電の家「Y邸」



三豊市の山間にあるYさんのお宅に、太陽電池が設置されました。そこは山に囲まれながらも、太陽の光がたっぷりと降り注ぐ、静かで太陽光発電には最適の場所でした。
地球環境に関心のあるYさんは、月に1度テレビを見ない日や車に乗らない日を設けたりして、エコ活動に取り組んでいらっしゃいます。今回、太陽光発電を取り入れたのも、日頃は多く電気を消費しているため、少しでも二酸化炭素の排出量を削減出来ればとの思いから設置に踏み切られたそうです。
photo:左→切妻屋根と下屋部分に計27枚設置  右→モジュール(パネル)の設置中



photo:左→売る電気の電力量計・・発電中は内部の円盤が回転します。
    右→表示器・・発電量の他、CO2削減量や石油削減量が表示されます。

所在地:三豊市
構造:木造2階建
設置パネル:115W×27枚→3.1kW
つくった電気(8月):318kWh→9,152円

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〔商品紹介〕野鳥たちの楽園[ミニサンクチュアリ] バードハウス



エコショップで密かに人気を誇る、バードハウス「ミニサンクチュアリ」。サンクチュアリとは、第一に野生鳥獣の生息地の保全を目的とした場所を指します。巣箱も生きものが暮らす家です。小鳥たちにとって住みやすい環境であるようにと、随所にこだわりました。本体のポートオーフォードシダーは安定性・耐朽性に優れ、屋根の銅板は年月を経るごとに耐食性が増します。釘は和釘(平頭釘)を使用し、一つ一つ手づくりで制作しています。巣箱としてはもちろん、インテリアのオブジェとしてもお楽しみ頂けます。デザインは讃岐の舎づくり倶楽部。



・釘にもこだわっています!
伝統の建築様式を支える手打ち和釘は古くから神社仏閣に使われてきました。日本建築を支える和釘づくりの達人内山立哉さんのつくる一本一本手作りの和釘(平頭釘)を使用しています。

※バードハウスは「暮らしの手帳35」でも紹介されました。

[ミニサンクチュアリ]
◆材質:本体-ポートオーフォードシダー(米桧)無垢材 厚み15mm
屋根-銅板0.3mm葺き
釘  -平頭釘(ひらあたまくぎ)
◆サイズ:幅(約17cm) x 奥行(約15cm) x 高さ(約27cm)
* 銅板庇の出除く
◆カラー:無塗装、弁柄(ベンガラ)赤・黄、墨汁(江戸黒)
◆特記:止まり木は別途小枝などをご用意ください。取り付け用の針金などは別途ご用意ください。


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