あののぉ vol.54 2020 夏
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〔特集〕「カラダがよろこぶ讃岐の朝ごはん」~讃岐緑想より~
カラダがよろこぶ 讃岐の朝ごはん
どこか懐かしい、そぼくな朝ごはん。
自然と顔をほころばせる朝ごはん。
おうち時間が長い今こそ、家族で讃岐の食材をつかった朝ごはんをいただきませんか?
讃岐の旬な食材を使った料理を、讃岐の職人さんが作った器でいただく。
讃岐緑想の朝ごはんより「暮らしの中の食の楽しみ方」をご紹介します。
地元の食材を、地元の食器で。
一日の元気の源をいただこう。
「香川県には、なんでもそろってる。」そう話してくれたのは、讃岐緑想の朝ごはんをつくってくれている小前さん。
料理の基本といわれる「さ(砂糖)し(塩)す(酢)せ(醤油)そ(味噌)」はもちろん、魚、肉、野菜、果物など、地元で多くの種類の食材が生産され、いろいろな料理が作れます。それらを使った料理を食べると、自然と顔がほころび、箸がすすみます。
また、ひとつひとつ人の手で丁寧に作られた食器たちは、それぞれの料理を引き立て、食卓をいろどります。五感で楽しむ食事は、心にゆとりと元気を与えてくれることでしょう。
【お品書き】
a 香川県産米の白ご飯(ヒノヒカリ)
b 伊吹のいりこだしのお味噌汁(丸岡味噌)
c サワラの味噌漬け
d 三豊ナスの辛子漬け
e 仁尾産タコときゅうりの酢の物(仁尾酢)
f 三豊産インゲンと葉ゴボウの白和え 酒かす風味★
g ふんわり卵焼き
h 三豊産のカブとトマトの餡かけ 仁尾レモン添え
i 小松菜のけんちゃん★
※「けんちん」がなまった高菜の煮びたし
j 地えびの味噌炊き★
k 高瀬町の高瀬茶
* 季節に合わせて料理は変更いたします
★:レシピあり
<材料> 4人分 <調理時間>15分
・絹ごし豆腐…半丁 ※キッチンペーパーで包み、重しをして30分程水切りする(時間外)
・インゲン…4本
・葉ゴボウ…1/3本 ※長さ3㎝程に削ぎ切りし、水にさらしておく
・白ねり胡麻…小さじ1
・酒かす…小さじ1/2
・梅干し…1/2粒 ※種をとり、実をすりつぶしておく
・はちみつ…小さじ1
・薄口しょうゆ…小さじ1
・塩…ひとつまみ
<つくり方>
1 インゲンと水にさらした葉ゴボウを下茹でする。茹で上がり後、インゲンを長さ3㎝に切る。
2 豆腐をすりばちでつぶし、なめらかにする。
3 2に白ねり胡麻、酒かす、梅干し、はちみつ、薄口しょうゆを加えて混ぜ合わせ、塩で味を調える。
4 インゲン、葉ゴボウを加えてあえる。
<材料> 4人分 <調理時間>15分
・小松菜…4束
・油揚げ…半切(短冊切りに)
・板天ぷら…1/3本(薄く短冊切り)
・木綿豆腐…半丁
・ゴマ油…小さじ1強
・酒…大さじ1
・イリコのだし汁…50㏄ ※頭・内臓を省いただし殻5本を別途とっておく
・薄口しょうゆ…小さじ2
<つくり方>
1 小松菜を長さ2㎝に切る。
2 鍋にゴマ油を引き、イリコのだし殻、油揚げ、板天ぷらを炒める。
3 2に1を加える。
4 豆腐をそのまま加え、へらでつぶしながら炒める。
5 酒、イリコのだし汁を加え、しょうゆで味を整える。中火で5分ほど煮る。
<材料> 4人分 <調理時間>10分
・地えび(シバエビなど小ぶりのもの)…150g
・酒…大さじ2
・合わせみそ…大さじ2→A
・みりん…大さじ1.5→A
・赤糸とうがらし…少々
A:みそとみりんを合わせておく
<つくり方>
1 えびの頭と尻尾をとり、水洗いしてざるにあげる。
2 鍋にえび、酒を入れ、水分がなくなるまで中火で炒める。
3 2にAを加え、鍋底が焦げる寸前まで絶えず混ぜながら炒める。
4 仕上げに糸とうがらしを散らす。
食事桶と飯櫃
すし桶製造所として昭和30年に創業した「谷川木工芸」。3代続く香川県に残る数少ない桶屋として、手作業にこだわり続ける会社です。今回、讃岐緑想の食事の小鉢を置く桶を特別につくっていただきました。丁寧な手仕事が評価され、ふるさと納税の商品として人気の飯櫃なども提供されています。
<会社情報> 谷川木工芸
住所:香川県木田郡三木町下高岡1089-2
TEL:087-898-0564
URL:https://www.kinoibuki.com ★ネット販売あり
お椀とお箸
讃岐漆芸のツクリテの力を集め、その未来を創造していくための団体「さぬきうるし sinra」。ツクリテを守り育てることや、さぬき漆芸の保護・伝承・研究、新しい物づくりへの挑戦など、常により良いものを私たちに提供してくれています。手にしっくり馴染み、口当たりや手触りがとてもやさしい漆食器が料理を一層おいしくしてくれます。
<会社情報> さぬきうるし sinra
mail:info@sinra-urusi.com
アトリエ:TEL/FAX 087-810-1327
URL:http://sinra-urusi.com ★ネット販売あり
ランチョンマット
江戸時代から伝わる香川県・高松市の伝統的工芸品の保多織を未来へ紡ぐため、毎日使って気持ちのいいものへと進化させ続ける「ツムギ」。縦糸と横糸を1本ずつ交差させる平織りに対して、保多織は3回平織りで打ち込み、4本目を浮かせる織り方をするのが特徴。肌ざわりが良く、通気性や吸水性にすぐれた織物になっています。
<会社情報> ツムギ
mail:tsumugi.takamatsu@gmail.com
TEL:090-3780-7607
URL:https://tsumugi-tak.com
土瓶
香川県東かがわ市在住の陶芸家・上野剛児さん。ご自身で薪窯「火の谷窯」を築窯し、南蛮手と呼ばれる焼締めの器を中心に作陶されています。お一人で、薪割や薪くべを何度となく繰り返し、長い時間をかけて作品を生み出します。力強さを感じさせる見た目と、軽くやさしい手触り、そして使うほどに艶が増していく作品です。
<職人>陶芸家 上野剛児 (うえの つよし)
<取扱店>まちのシューレ963
取扱店TEL:087-800-7888
取扱店URL:https://www.schule.jp
<料理をつくってくれる人> 小前 昭二さん・光子さんご夫婦
宿の朝ごはんは、この地でずっと食べられてきた、素朴なものを出したいと思いました。そんな僕たちの「朝ごはんへの道」は、地元の漁師さんと話したり、味噌屋さんを訪ねることから始まりました。近所のお酢屋さんの醸造蔵をのぞかせてもらうこともあれば、大量に分けてもらった野菜で漬物の特訓をすることもありました。
そして何より、讃岐緑想の朝ごはんをつくることは、米を作り畑を守りながら、家族の食事を支えてきた父母の味を、舌でしっかりと覚えて、受け継ぐことでもあります。
昔からある、みんなの、素朴な朝ごはん。讃岐の味を楽しんでいただけたら嬉しいです。
<料理を監修してくれる人> 谷上 幸さん
「讃岐緑想」と「父母ヶ浜」が一体化している姿を初めて見た時に浮かんだイメージを料理にしました。
美味しくて、懐かしくて、なんだかちょっと新しい。讃岐の山と海からの恵みを、地元の発酵調味料をふんだんに使って丁寧につくられた朝食が、讃岐伝統工芸品に美しく盛り付けられた姿も魅力のひとつ。
世界に誇れる「和食」を今一度見直してみませんか?
<谷上幸さんprofile>
kitchen studio日々主宰。
高松発酵料理教室やレシピ開発、出張教室、ケータリングなどを通じて、「まごわやさしい」+「発酵調味料」の魅力を幅広い世代に伝えるために活動されています。
kitchen studio日々
mail:kominkasarasa.140@gmail.com
讃岐緑想
住所:香川県三豊市仁尾町仁尾乙266-13
TEL:0875-82-3837(受付:古木里庫)
朝食:事前予約制2,000円(税込)/名 ※お泊りの方2名様以上からご予約を承ります。
※ 新型コロナウイルス感染状況により、営業日が通常と異なる場合があります。詳細はHPをご確認ください。
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〔森里海から No.54〕ハクセンシオマネキ
文・写真 菅 徹夫
三豊市仁尾町の江尻川の河口にハクセンシオマネキというカニが生息しています。甲羅の幅が2㎝くらいの小さなカニで、オスは左右どちらかのはさみが異常に大きくなっています(メスは左右ともに小さいはさみ)。オスはこの大きなはさみを動かして求愛行動をします。オスが白いはさみを高く振り上げてはおろす様子は、いかにも潮が満ちてくるのを招いているように見えることから、白いはさみを白い扇(ハクセン)に見立て、ハクセンシオマネキという名前がついたようです。
香川県でも数カ所の河川の河口(干潟)に生息しているようですが、その個体数は少なく生息範囲も狭いようです。全国的に生息地や個体数が減っており、環境省のレッドリストでは絶滅危惧種「絶滅危惧II類(VU)」に指定されています。ちなみに、香川県版カテゴリーでは「準絶滅危惧(NT)」です。
photo:1. オス(右)とメス(左)のハクセンシオマネキ。 2. オス同士の戦い。
生息環境は干潟ですが、一面の美しい砂浜ではなく、海水と淡水が入り混じる汽水域の比較的栄養分の多い土壌を好むようです。写真にもあるように、黒っぽい泥と砂の混じったお世辞にも美しいとはいえない場所に暮らしています。「生息域は河口域の満潮線付近、泥まじりのやや堅い砂浜か転石地帯で、日当たりが良いが干潮時にも乾燥せず、また水もかぶらない区域に限られる」(Wikipedia)。このような条件が揃った区域に限り、ハクセンシオマネキは生きていけるのです。人が美しいと思う透明度の高い水やきれいな砂浜だけではなく、少しよどんだ水や泥の混じった砂浜にも、そこに適した生物が数多く生息しています。見た目の美しさだけにとらわれるのではなく、多様な生物が生息できるよう様々な生態系を守っていくことが大切です。
photo:3.巣穴の大きさは直径2cm、深さ20cmほど。 4. 海水と淡水が入り混じる汽水域(仁尾町の江尻川の河口)。
生物多様性の3要素の一つである「生態系の多様性」。それが維持されてこそ、数多くの生物が存続していけるのですね。今、河口付近の堤防、河床工事・潮止め堰の設置、また淡水の流入量の変化や水質汚濁などにより、この生態系の多様性がますます失われています。私たちには、自分たちの生存基盤を失わないためにも生態系の多様性を維持すること、あるいは再生していくこと(元に戻していくこと)が求められています。絶滅危惧種の生物たちは、私たちにそんなメッセージを発信しているような気がしてなりません。
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〔大工のはなし〕第15回『擬宝珠(ぎぼし)』
これは、現在建て替え工事が進んでいる神社の「擬宝珠」の原寸図と実物です。擬宝珠とは、寺社や橋などの高欄(欄干・てすり)の親柱の頭部にある宝珠の形をした装飾のことです。
木製の擬宝珠は珍しく、まず棟梁が擬宝珠の原寸図を描きました。そして、なめらかで美しい形になるように、丸みの大きさや長さ、勾配などを考え、一筆一筆丁寧に描きあげました。
この原寸図を基に、地元の会社につくっていただきました。
実際に取り付けられた姿を見る日がとても待ち遠しいです。
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〔information〕古木里庫商品紹介 「クリアオイル」
古材と薪ストーブのお店「古木里庫」にて取り扱っている『国産 木部用自然塗料エシャクリアオイル』を使って、使い古した檜のテーブルをメンテナンスしました。紙やすりで表面を削り、クリアオイルを塗り込んで乾かすことで、木の味わいを取り戻しました。
詳しくはブログ「古木里庫じかん」をご覧ください。
国産 木部用自然塗料エシャ クリアオイル
木に浸透し、内部で固まり保護するスタンダードタイプ。亜麻仁油を主体に松ヤニからとったテルペン樹脂を加えた植物油性ワニスです。表面に塗膜を作らず、木材が呼吸し、自然な木肌が生かせます。
0.75L…4,000円(税別)/2.5L…10,000円(税別)
塗り面積 8.5㎡(1L・2回塗り)
古木里庫店舗にてお取扱いしています。
古材と薪ストーブのお店 古木里庫
三豊市仁尾町仁尾乙264 TEL 0875-82-3837
10:00~17:00 休/年末年始・お盆
・仁尾一齣 「田植えの様子」