自然と寄り添う暮らし

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高松営業所の床を彩る、環境先進企業インターフェイス社製のカーペット

あののぉ vol.76 2026 夏秋合併号

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【特集】菅組高松営業所が、新しく生まれ変わりました


【特集】菅組高松営業所が、新しく生まれ変わりました

ここに、また新しい風景を。

長年、地域の皆様をお迎えしてきた菅組高松営業所。
その場所に、この度、新しい社屋が完成しました。
これまで幾度となく、多くのお客様や地域の方々を迎え入れてきたこの場所も
時代とともに建物としての役目を終える時を迎えました。
壊して終わりにするのではなく、同じ場所でもう一度
菅組自身の手で、ものづくりの原点を形にする――。
そんな想いから、今回の建て替えは始まりました。
派手な装飾ではなく、素材や架構の一つひとつに込められた技術と工夫は
菅組が建築において大切にしてきた姿勢そのものです。
同じ場所に、新しい姿で。
これから地域の皆様とともに
時間を重ねていく菅組高松営業所の姿を、ご紹介します。


【特集】菅組高松営業所が、新しく生まれ変わりました

高松のオアシスとして街に寄り添う、草屋根と木の誠実な佇まい


外観に宿る、手仕事の温度
 通りから見上げると、端正な切妻屋根がまず目を引きます。ガルバリウムの黒き稜線には、太陽の恵みを集めるOMクワトロソーラーを搭載しました。軒が深く低く広がる1階の草屋根は、夏には瑞々しい青葉を茂らせ、冬には黄金色の温もりへと移ろい、季節の呼吸を伝えます。
 外壁を包むのは、香川県産桧の羽目板です。そこに自然塗料を施しました。時が経つほどに深みを増していく色艶は、晴れの日も、雨の日も、街の風景へと静かに溶け込んでいきます。桧の柔らかな質感と、草屋根の鮮やかな緑。華美な看板や装飾に頼らずとも、ただそこに佇むだけで、見る人の背筋を心地よく伸ばしてくれるような品格があります。
 開口部を彩る職人仕立ての木製サッシ、そして気品ある県産桧の玄関扉。木の手触りや温もりを残す建具は、触れる方の指先にどこかやわらかく馴染みます。扉を押し開けば、確かな重みとともに豊かな木の香りがふわりと漂います。お客様を温かくお迎えするポーチには飫肥杉(おびすぎ)のデッキを渡し、歩むたびに心地よい木の音が響きます。
 庭を彩るのは、瀬戸内の風土が育んだ在来種の苗木と国産の野芝です。四季折々の花や緑が表情を変え、足元には雨水を優しく大地へ還す浸透性舗装を施しました。
 決して飾り立てるのではなく、素材の質と時間の重なりが語る外観。年月を経て深まる桧と、季節を彩る屋根の緑。この菅組高松営業所の佇まいには、私たちが大切に紡いできた、ものづくりの確かな足跡が息づいています。


【特集】菅組高松営業所が、新しく生まれ変わりました

対話と深い集中を両立させ、一本の柱もない桧の開放的な執務空間


柱のない大空間を支える、木の技術
 2階の執務スペースは、梁間8m×桁行12mという広さがありながら、一本の柱もない圧倒的な開放感にあふれています。オフィスの中心を遮る柱がないことで、視線は心地よく奥まで抜け、社員同士の軽やかなコミュニケーションを育みます。
 この大空間を支えるのは、桁行方向に架け渡した2本の平行弦トラスです。切妻屋根の懐はOMソーラーなどの設備スペースに活かし、下弦材には引張力を受け持つ120角の木材を2mピッチで配置しました。力を2方向へ分散させ下弦材をすっきりと小径化し、見えない架構の隅々にまで木造建築の技術が息づいています。
 1階は、2階の床梁を5.5mスパンで飛ばしました。化粧梁として見せるため、120角の桧材を4段に重ねた梁を採用しています。天井を見上げれば、桧の梁が重なり合う力強い骨組みをそのまま楽しめます。柱のない大空間は支える壁の数が少なくなりますが、屋根や骨組みに構造用合板を一体化させ、建物全体の強さをしっかりと高めました。この見えない部分の工夫によって、1階南側ホールの開放的な全面ガラス張りが実現しています。使用した木材のほぼすべてが、香川県産の桧材です。
 地域の木を、地域の技術で組み上げる――。
 そうした菅組のものづくりの誠実な姿勢が、この健やかな構造の中にも静かに宿っています。


【特集】菅組高松営業所が、新しく生まれ変わりました

左:健やかに呼吸する屋根
 屋根はガルバリウム鋼板の横葺きに、暖房・発電をスマートにこなす次世代型ソーラーシステムを搭載しています。
 1階を覆う草屋根は鳥取産の野芝で、その高い遮熱効果は、天気の良い日に思わず寝転びたくなるような心地よさをもたらします。

真ん中:香川県産桧と自然の恵み
 外壁や軒天には香川県産桧の羽目板を張り、その木目を美しく守る国産自然塗料で丁寧に仕上げました。
 雨樋にも塩ビは一切使わず、環境に配慮したガルバリウム鋼板を選び、建物の隅々のディテールにいたるまで、できるだけの環境配慮を心掛けています。

右:職人仕立ての心地よさ
 玄関の扉や窓の木製サッシは、地元香川の職人の手仕事によるオリジナル製作です。ベンガラや柿渋を独自に調合したこだわりの自然塗料で仕上げています。
 アプローチには庵治石の砕石を美しく洗い出した仕上げを使い、足もとから豊かな表情を語りかけてくれます。


【特集】菅組高松営業所が、新しく生まれ変わりました

右:薪の炎が満ちるホール
 1階ホールの床は寒水石を混ぜた人造石の研ぎ出し、壁は寒水石入り漆喰で上品に仕上げました。
 薪ストーブを囲むこの開放的なホールが、訪れる人を温かく迎え入れます。冬には美しい薪の炎が静かに揺れ、ホール全体をやわらかく照らし出します。

真ん中:桧の香り溢れる執務室
 執務スペースや会議室の床には、香川県産桧の無垢フローリングを敷き詰めました。天井にも同じく県産桧の羽目板を使用しており、部屋全体が木の香りに包まれます。
 真壁部分の塗装も、桧の豊かな質感を引き立てるよう丁寧に仕上げました。

左:吹き抜けでつながる場
 吹き抜けが上下階をゆるやかにつなぎ、オフィス全体に心地よい一体感を生み出します。
 柱の間隔を5.5mと広く取り、120角の桧材を4段に重ねたダイナミックな梁をあえて見せることで、開放感の中に木造ならではの力強さと温かみを表現しました。


【特集】菅組高松営業所が、新しく生まれ変わりました

右:柱一本ない大きな部屋
 2階の執務スペースは、8m×12m、テニスコート半分弱ほどの広さながら室内に柱が一本もありません。
 三角形を組み合わせた平行弦トラスを2本架け渡し、屋根裏の設備スペースをしっかり確保しながら、このダイナミックな木造の大空間を力強く支えています。

真ん中:景色を愉しむ憩いの場
 2階のミーティングルームは、桧の天井に優しく包まれた空間です。大きな木製サッシの窓からは走る電車の姿が望め、テーブルの天板には国産のくるみ材を使用しました。
 厳選した木々の自然な風合いが、空間に温かみと豊かな表情を与えています。

左:手仕事が描く石の表情
 勝手口の床は、天然石を塗り込み、乾く前に表面をブラシ等で洗い出す伝統技法「着色モルタル掻き落とし」で仕上げました。
 左官職人の極めて丁寧な手仕事によって、石の持つ本来の自然な風合いと、温かみのある豊かな表情を足もとから最大限に引き出しています。


【特集】菅組高松営業所が、新しく生まれ変わりました

ここから、始まる時間。
 切妻の屋根と、季節ごとに色を変える草屋根を見上げながら、敷地に足を踏み入れます。
 1階では、人造石研ぎ出しのホールにある薪ストーブの灯りが、訪れる人を迎えます。寒水石を混ぜ込んだ漆喰の壁など、ひとつひとつの素材が空間に静かに語りかけてきます。
 桧の香りに包まれながら階段を上ると、桧の踏板が足裏にやさしく応えます。
 柱のない大きな部屋に光が満ち、窓の向こうを電車が走り抜けていきます。
 ここでご紹介したのは、そんな高松営業所の、ほんの一部の表情です。
 実際にこの場所に立ち、素材の手触りや空気の匂いを感じてもらえたら、うれしく思います。

【建築概要 】
工事名:株式会社 菅組 高松営業所建替工事
場所:香川県高松市郷東町23-7
構造:木造(在来軸組工法)
規模:地上2階建て
敷地面積:693.29㎡(210.08坪)
建築面積:245.37㎡(74.35坪)
延床面積:337.32㎡(102.22坪)
設計・施工:株式会社菅組

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現場紹介 「四国計測工業 株式会社善通寺工場C棟建設工事」


現場紹介 「四国計測工業 株式会社善通寺工場C棟建設工事」

 香川県善通寺市の田園風景のなかで、菅組が手がけた建物が今、その姿を現しつつあります。長くお付き合いをいただいている四国計測工業株式会社さんから、今回も新しい工場の建築のお仕事を任せていただきました。
 C棟は地上3階建ての鉄骨造。試験室、軽作業室、作業場、会議室と、フロアごとに異なる役割を担う工場建築です。建物を支えるのは、約580ピースにおよぶ鉄骨。柱1本あたりの重さは約2トンにもなります。高所で巨大な鉄骨を誘導し、確実に接合していくには、職人同士の息の合った連携と、現場監督の緻密な段取りが欠かせません。
 屋根にはハゼ式断熱二重折板葺きを採用。上下2枚の鋼板の間に断熱材を挟み込んだ構造で、断熱性と耐火性を高い水準で実現しています。
 工事の途中では、梅雨の長雨や、中東情勢の影響によるナフサをはじめとする資材調達の難しさなど、思わぬ壁にも直面しました。それでも各業者さんの踏ん張りと連携によって一つひとつ乗り越え、竣工に向けて残りの工程を丁寧に詰めています。
 竣工の日まで安全第一で、現場一同気を引き締めて取り組んでいます。


現場紹介 「四国計測工業 株式会社善通寺工場C棟建設工事」

上:既存棟の右隣でいよいよ始動。未来を支える、強固な土台づくり 下:完成間近。既存の建物に並んだ新施設が、ついにその姿を現す


現場紹介 「四国計測工業 株式会社善通寺工場C棟建設工事」

上:基礎工事は、強固な土台づくり 真ん中:建物の骨組みが一気にその全貌を現す 下:高い断熱性と強度を誇る、二重折板屋根の施工が着々と進行中


現場紹介 「四国計測工業 株式会社善通寺工場C棟建設工事」

現場監督(左から) 大池 孝宏(所長)・大西 健人

【建築概要 】
工事名:四国計測工業 株式会社善通寺工場C棟建設工事
場所:香川県善通寺市
構造;鉄骨造3階建て
延床面積:2469.00㎡(748.18坪)
設計・施工:株式会社 菅組




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〔森里海から No.76〕芋蔓の塔


〔森里海から No.76〕芋蔓の塔

 小豆島に伝わる冬の風物詩「芋蔓(いもづる)の塔」。
 小豆島の伊喜末(いぎすえ)地区に伝わる芋蔓の塔は、もともと農耕用の牛にサツマイモの蔓を乾燥させたものを餌として与えるために芋蔓を塔状にして保存していたものだと言われています。今では農耕牛はいなくなりましたが、昔の風習を伝える目的で地区の子ども会や地元住民が毎年晩秋の頃(11月頃)につくっているそうです。使用する芋蔓の量は軽トラ15台分。それを、高さ4.7メートルと3.7メートルの2塔に積み上げます。夜はイルミネーションでライトアップし、地域の風景を彩っています。
 もともと農耕用の牛の餌の保存という、暮らしと産業を支えるために必要な知恵が生み出した制作物。意図されない造形物が地域独特の風景をつくりだしました。ただ芋蔓を重ねただけのものですが、芋蔓の独特の材質感、植物特有の朽ちていく風合いが農村風景に馴染みながら、その風景を引き立てます。かつて一つの産業を支えてきた小さな習慣が文化として根づいています。当時はおそらくこのような芋蔓の塔が各所に点在していたのでしょう。想像するだけで心躍ります。 今ではこの2塔だけのようですが、かつての産業遺構として、また住民の皆さんの大切な記憶として継承されていくことでしょう。


〔森里海から No.76〕芋蔓の塔

上:朽ちていく芋蔓のテクスチュア。土地に馴染みます 下:地域の風景をつくります


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〔大工のはなし〕第37回『甦る、無人島の守り神』


〔大工のはなし〕第37回『甦る、無人島の守り神』

 三豊市仁尾町に浮かぶ無人島、蔦島。その頂にある巨岩の上で、天狗神社のお宮はただひたすらに海を見つめてきた。
 移ろう季節と永年の潮風の中で、いつしかその身を、土へと還しかけていた。しかし、この地で紡がれてきた祈りの灯は、決して絶えてはいなかった。
 挑んだのは、往時の息吹を読み解く解体と再生。木材の状態を一つひとつ丁寧に見極め、歴史を重ねた「銅葺きの屋根と軒まわり」をできる限り活かしながら、改修した「社の母体」へとその命を繋いでゆく。
 先達の技を敬い、確かな手仕事によって美しくよみがえる。伝統の朱を纏い、巨岩の頂でふたたび一体となった凛とした佇まいの前を、清らかな風が吹き抜ける。
 私たちはこれからも、この地とともに生きていく。


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〔information〕未来へ紡ぐ職人の足跡


〔information〕未来へ紡ぐ職人の足跡

上:岩下に滑落し、朽ちかけていた旧社殿 真ん中:往時の意匠に、宮大工の手で新たな命を刻む 下:巨岩の頂に社殿が遷り、宮司が祝詞を奏上


 三豊市仁尾町の沖合に浮かぶ蔦島。最高峰に祀られる「天狗神社」は、長年の風雨や塩害を受け、石の基礎から岩下へと滑落し、朽ち果てていました。地域の歴史的遺産を継承すべく、弊社の大工集団による全面的な復元工事を実施しました。
 転落して傷んだ社を一つひとつ紐解くことから作業は始まりました。先達の組木技術を検証し、再利用可能な古材は残しつつ、欠損部位は良質な木材から切り出して精密に再現しました。
 重機が入れない山頂の現場には、組み上げたお宮を「銅葺きの屋根・軒まわり・社の母体」の三要素に分割。職人たちが重厚な部材を手でしっかりと携え、急勾配ながらも山頂へと続く参道を登りきるという過酷な搬送を経て、元の基礎の上へ確実な再建を果たしました。
 伝統の朱を纏い、威厳を取り戻した社殿。私たちは技術を磨くだけでなく、大切な文化財とそれを取り巻く地域の心に寄り添い、未来へと守り伝えます。

≫香川県WEBサイトでも紹介されています


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