自然と寄り添う暮らし

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自然と寄り添う暮らし

M邸の上棟式で餅投げの際に使用された、大工さん手作りの木札100枚と専用収納ボックス

あののぉ vol.72 2025 夏号

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HOUSE REPORT 「住まい手とつくり手の思いがちりばめられた和の家」


HOUSE  REPORT  「住まい手とつくり手の思いがちりばめられた和の家」

 野球が大好きな3人の息子たちが、のびのびと過ごせる住まいを。そんな思いで建てたのは、広い庭を持つ和の家。住みはじめて11年目となった今、大きく枝を広げた木々が涼やかな木陰をつくり、家で過ごすひとときを豊かなものにしてくれています。
春の陽気が心地よい休日の昼下がり、ここに暮らすMさんご一家を訪ねました。


HOUSE  REPORT  「住まい手とつくり手の思いがちりばめられた和の家」

外壁や塀の木材の色の違いや、高低差のある植栽が目にも楽しい


大工がつくる和の家に憧れて

 香川県西部の三豊市。県道沿いを走っていると、焼杉板の黒い外壁と青々と茂るアオダモの木が、ひときわ印象的なお宅があります。こちらが今回取材に訪れたMさんの住まい。カーポートはコンクリートの洗い出し、玄関までのアプローチには飛び石やユキノシタの植栽と、全体が和のテイストでまとめられつつも、明るい色の板塀とのコントラストがモダンな雰囲気を感じさせるお宅です。
 Mさんご一家は、高校3年生を筆頭に高校2年生、小学校6年生のいずれも男の子とご夫妻の5人暮らし。夫妻が家づくりを始めたのは、一番上の息子さんが小学校に上がる少し前というタイミングでした。奥様の実家のそばで物件を探していましたが、なかなか希望に添うものが見つからず苦労したそうです。
「2軒分の土地として売り出していたこの土地を、見つけたのは偶然から。上2人の息子たちはすでに野球に興味を持っていたので、将来のことを考えるとなるべく広い庭がある方がいいと思い、まとめて購入しました」とMさん。そこに建てる家として思い描いたのは「大工がつくる和の家」。手仕事が随所に感じられるような温かみのある住まいにしたいと、知人の大工に相談しました。


HOUSE  REPORT  「住まい手とつくり手の思いがちりばめられた和の家」

家族が集まるリビングダイニングのテーブル。5人で座っても広々


家族が集まる場所をつくる

 ご夫妻が相談した知人は、菅組の大工。社内の設計士にもつながりがあったことで、信頼して家づくりをまかせられると依頼することにしました。
「菅組の家をいくつか見て、私たちの理想に近いと感じたのも決め手でした。夫婦ともに仕事で忙しかったので、腕が確かな大工さんと素敵な提案をしてくれる設計士さんにまかせられることは、安心感も大きかったですね」
 そんなご夫妻が一番の希望として最初に伝えたのは、家族全員がゆったりと過ごせるリビングダイニングをつくり、その中心に大きなテーブルを設置することでした。学校や勤務先から帰宅して、料理をしながら子どもたちの宿題を見守れる場所になるようにというのが当初の目的でしたが、実は成長した今も、息子さんたちはここで教材を広げるのが日常になっているそうです。
「きっと居心地がいいんでしょうね。高校生の息子たちは遅くまで部活をして、帰宅したらここでごはんを食べながらその日あったことを話して、その後学校の課題をして。寝る頃になってやっと2階へ行きます」と奥様。このテーブルを囲むことが家族全員の日常であり、結束力を高める役割も担っているのかもしれません。


HOUSE  REPORT  「住まい手とつくり手の思いがちりばめられた和の家」

左:自然素材でゆるやかに外と隔てられたアプローチ 右:キッチンからリビング越しに庭を見渡せる。開け放して大人数でバーベキューをすることも


HOUSE  REPORT  「住まい手とつくり手の思いがちりばめられた和の家」

上:設計士からの提案で、右側の壁は息子さんたちの行事予定などを貼れるような仕様に。実用的で重宝しているのだそう 下:野球の練習もできる広い庭


「いい家にしたい」という共通の思い

 現在もお子さん3人は野球に打ち込んでいて、週末ごとに練習や試合で家族全員が大忙し。野球中心の生活を送っているため、家に帰って手を洗い、風呂に入って着替えてからリビングへ、という動線もかなり重宝しているのだそうです。
「細かい注文や無理かもしれないと思うようなリクエストにも、菅組のみなさんがとても熱心に対応してくれました。一丸となって『いい家にしたい』という思いを感じることができましたし、家が建った後も相談に乗ってくれるのが心強いですね」
 今、家づくりを振り返って感じるのは「人と人のつながりが想像以上の家にしてくれたということ」とMさん。思いが形となった理想の住まいで過ごすご一家の笑顔が印象的でした。


HOUSE  REPORT  「住まい手とつくり手の思いがちりばめられた和の家」

上:階段脇には小さな窓も 下:上棟式の餅投げの際に大工さんが作ってくれた100枚の木札と、それがぴったりと収まる木箱


場所:香川県三豊市高瀬町
施工:2014年11月
延床面積:126.59㎡(38.36坪)
構造:木造2階建て
設計・施工:株式会社 菅組

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現場紹介 「菅組と共に進む白井病院新棟整備計画 地域医療の未来を築く」


現場紹介 「菅組と共に進む白井病院新棟整備計画 地域医療の未来を築く」

 香川県三豊市高瀬町にある白井病院では、2027年春の完成を目指し、新たな医療拠点となる4階建ての建物を建設中です。構造はRC(鉄筋コンクリート)造で、地域の皆様に安心して親しんでいただけるよう、丈夫で安全なつくりとなっています。 工事は3期にわたり、1期目は眼科棟の新築。続いて、内科・循環器内科・外科・脳神経外科・整形外科・麻酔科・救急科を備えた、地域の二次救急医療施設を建設します。
 現在は眼科棟の建設が進行中で、今回は3階部分のコンクリート打設作業をご紹介します。現場では鉄筋と型枠を丁寧に組み上げ、生コンクリートを流し込み、振動棒で空気を抜きながら全体に行き渡るよう充填します。現場監督は進行を管理しつつ、細部にも目を配り、品質の維持に努めています。
 白井病院は、130年以上にわたり地域に眼科医療を提供してきました。私たち菅組は、その歴史を大切にしながら、新たな医療拠点づくりを通じて地域の皆さまに安心できる医療環境をお届けできるよう、真心と技術で尽力してまいります。


現場紹介 「菅組と共に進む白井病院新棟整備計画 地域医療の未来を築く」

左上:コンクリート打設前の検査(スランプ試験、空気量測定など) 右上:朝礼風景 下:ンクリート打設の最終段階における現場監督による現場確認や職人への声かけなどを実施


現場紹介 「菅組と共に進む白井病院新棟整備計画 地域医療の未来を築く」

左:左官職人によるコンクリート均し作業 右:安全確認や声かけ作業などを徹底


現場紹介 「菅組と共に進む白井病院新棟整備計画 地域医療の未来を築く」

上:型枠の組み立て途中の様子 真ん中:コンクリート打設直後の状態(屋上の左側の濃いグレー部分) 下:4階型枠組み立て作業中


現場紹介 「菅組と共に進む白井病院新棟整備計画 地域医療の未来を築く」

現場監督(左から) 服部 竜樹(所長)、藤岡 航也、篠丸 大誠、橋本 響也

【建築概要 】

工事名:白井病院新棟整備工事
場所:香川県三豊市高瀬町
構造:RC造4階
延床面積:約6,840㎡(約2,073坪)
     (眼科棟、二次救急医療施設含む)
設計・監理:髙橋設計室
施工:株式会社 菅組

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お店紹介「明治40年創業の老舗八百屋『原田商店』」


お店紹介「明治40年創業の老舗八百屋『原田商店』」

5代目ユキヒデさんが運営する原田商店に併設された「フルーツスタンド原田」。壁には香川県産のヒノキの小幅板が使われている。カウンターテーブルと吊棚は、仁尾町の古木里庫にあった一枚板から製作されたもの。美しく並ぶ椅子は、高松を拠点とする桜製作所のもので、店内には桜製作所の家具がさりげなく配置されている


 「体によくて美味しい」をコンセプトに、原田商店はこのたび店内をリニューアルし、主張しすぎないシンプルで洗練されたデザインへと生まれ変わりました。
 4代目は、素材にこだわった手作りのお惣菜や、酵素モーニング、体にやさしいランチを提供し、毎日の食卓に健康と美味しさをお届けしています。また、5代目は「フルーツスタンド原田」を運営し、厳選した旬のフルーツや自家製スイーツ、カットフルーツなど、フルーツの新しい楽しみ方を提案しています。白と木の温もりが調和する明るい店内には、伝統と新しさが共存し、世代を問わずどなたでも心地よく過ごせる空間が広がります。


お店紹介「明治40年創業の老舗八百屋『原田商店』」

左:木のぬくもりと白の清潔感が調和する、シンプルで洗練された空間 右:黒を基調に繊細な格子が映える和モダンな外観。落ち着きの中に洗練されたデザインが光る


 世代を超えて愛されるお店の魅力が、より多くの方に伝わる空間となるよう心を込めて施工しました。新しくなった原田商店で、地域の皆さまが心豊かな時間を過ごされることを、私たちも楽しみにしております。


お店紹介「明治40年創業の老舗八百屋『原田商店』」

上:ジ周りには香川県産ヒノキを使用したカウンターや、自宅で使われていた桜製作所の家具が配置されている。世界各国のオリーブオイルや塩など、厳選された逸品がずらりと並ぶ 下:エミさん(4代目)の思いが込められた空間で、新鮮な果物や酵素教室など、体にやさしい学びを提供


お店紹介「明治40年創業の老舗八百屋『原田商店』」

左:フルーツスタンド原田では、新鮮な果物をたっぷり使ったパフェが人気 真ん中:ユキヒデさん(5代目)が子どもの頃に勉強椅子として使っていた、思い出の桜製作所の椅子 右:ゆったり過ごせるイートインスペースを完備


店名:原田商店
場所:香川県観音寺市有明町4-40
電話:0875-25-3215
営業時間:7:00-18:00
定休日:日曜日 ※ 2025年9月末まで無休
駐車場:あり
※営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。
原田商店のInstagramのストーリーで最新情報を発信しています。

〈お惣菜日〉
時間:7:00~18:30
営業日:火・木曜日

〈酵素モーニング〉
時間:8:00~11:00
営業日:土曜日

〈ランチ〉
時間:11:00~14:00
営業日:水曜日

【Instagram】
原田商店
フルーツスタンド原田

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〔森里海から No.72〕前浜掩体群(まえはまえんたいぐん)


〔森里海から No.72〕前浜掩体群(まえはまえんたいぐん)

6号掩体


文・写真:菅 徹夫

 掩体(えんたい)なるものとの出合いは衝撃的でした。あるところで紹介されていたその写真は、田圃の中に忽然と現れた未確認物体のような異様な光景を醸し出していました。その正体を知りたいと思ったのと同時に、実際の風景に無性に会いたくなりました。
 掩体とは、戦時中に敵の攻撃から飛行機を守るために作られた、戦闘機の格納庫のことだそうです。全国に数カ所、遺構(いこう)として残っているようですが、高知県南国市には7基の掩体が現存しているということで見学に行ってきました。荒々しいコンクリートで作られたそれは、想像以上に大きく存在感がありました。7基が田圃の一角に点在しており、それはまるで田園風景の中にある散居村の集落のような独特の景色でした。


〔森里海から No.72〕前浜掩体群(まえはまえんたいぐん)

上:2号掩体の遠景 左下:4号掩体。幅44m、奥行23m、高さ8.5mの7基中最大の巨大な掩体 右下:1号掩体。 アメリカのグラマン戦闘機による機銃掃射の跡が残っています


 掩体は鉄筋コンクリート製の構築物で、内外ともコンクリート打ち放し仕上げです。作り方は、まず掩体と同じ大きさの土まんじゅうを作り、大勢の人々がその上に上がり踏み固めます。固められた土の上に「むしろ」や「セメント袋」などを敷き詰めます。その上にコンクリートを流し込み、塗り固めます。コンクリートが固まったら、中の土をすべて取り除きます。こうしてドーム状のコンクリート構造物が出来上がるのだそうです。田んぼの中に点在する掩体は、無言のうちに戦争の悲しさや平和の大切さを訴えているかのようでした。
 「前浜掩体群(まえはまえんたいぐん)」は平成18年2月21日に南国市史跡に指定されています。永くこの風景を残してほしいものです。


〔森里海から No.72〕前浜掩体群(まえはまえんたいぐん)

上:4号掩体の内部 左下:7号掩体 内部天井。 コンクリート面にはセメント袋の跡が残る 真ん中:7号掩体 中を道路が貫通しています 右下:5号掩体


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〔大工のはなし〕第33回『大工道具 鉞(まさかり)』


〔大工のはなし〕第33回『大工道具 鉞(まさかり)』

 鉞(まさかり)は、大工道具の中でも古くから使われてきた重要な道具です。主に丸太を伐り出したり、粗く形を整える「木取り」の作業に用いられます。鋭く重みのある刃は、木の繊維に沿って正確に入り、力強く木を割ることができます。
 山での伐採や、柱材を整える際にも欠かせない存在でした。使い込まれた鉞は手に馴染み、職人の技と心に応えるようになります。その無骨な姿には、木を敬い、家を築くという誇りが宿っています。
 鉞は今も、人と自然をつなぐ大切な道具として、静かに力強く生き続けています。

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〔information〕新しい高松営業所建設中


〔information〕新しい高松営業所建設中

 現在、菅組では香川県高松市にて、新たな高松営業所の建設を進めております。この営業所は、木造建築の温もりと現代技術を融合させた、環境と人にやさしい施設です。特徴は、桁行方向に2本の平行弦トラスを架け渡す木造トラス構造の採用により、大空間を柱なしで実現している点です。構造材には、香川県産ヒノキを中心に使用しており、地元資源の活用にも貢献しています。開放感のある室内は、木の質感と力強い架構美が調和し、訪れる人に安心と心地よさをもたらします。
 屋根の一部には草屋根を取り入れ、断熱性の向上と自然との調和を図っています。草屋根は雨水を保ち、空気を浄化するなど環境にも貢献します。また、別の屋根面にはOMクワトロソーラー(太陽光発電)を搭載し、再生可能エネルギーの活用により脱炭素社会の実現に寄与します。
 この新営業所は、地域に根ざしつつ、持続可能な未来を見据えた菅組の新たな拠点となる予定です。


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