2030SDGsカードゲーム in 詫間中学校

中学生とSDGsを“自分ごと”に
2025年7月10日、三豊市立詫間中学校の1・2年生を対象に「2030SDGsカードゲーム」を使った出前授業を実施しました。1年生の3クラスは私たち菅組が、2年生の3クラスは、長年ワークショップで連携している北四国グラビア印刷の森本さんが担当。「SDGsを体感し、自分たちにできることを考える」ことをテーマに行いました。
詫間中学校は現在、国際バカロレア(IB)中等教育プログラム(MYP)の候補校に認定されており、探究心・多様性への理解・思いやりを育む教育を重視しています。SDGsとの親和性も高く、生徒が“世界とつながる意識”を持てるような取り組みの一環として、今回の授業が位置づけられました。

ゲームの経過:盛り上がる経済、停滞する社会と環境
まだ中学に入ったばかりの1年生たち。小学生の面影を残しつつも、中学生としてのエネルギーも感じられる中、ゲームは元気いっぱいにスタート。前半ではどのクラスでも経済が急成長。マグネット(スコア)を追加しないと足りなくなるほどで、「経済だけが異常に伸びている」と、子どもたち自身がバランスの悪さに気づき始めます。
「環境や社会も上げたい」と声に出す姿もありましたが、プロジェクトを実行するためのカードが世界から減っていき、思うように行動できない場面も。後半には事務局が静かになり、チーム内外で相談や交渉を試みる様子も見られましたが、状況の改善にはなかなかつながりませんでした。
(写真:ゲーム結果「2030年の世界の状況メーター」各クラスで結果が大きく異なり、個性豊か。)

▲経済は安定の絶好調! 社会は大改善できたけれど、環境は伸び悩み…。

▲社会が前半から安定し、とても良い状況に。経済は少し後退し、環境は苦戦。

▲経済が上を這うように伸びる一方で、社会は底辺を抜け出せず。バランスの悪さに気づくも、改善は難しく。
生徒の声:気づきと本音があふれた時間
最終的にゴールを達成できたチームは、どのクラスも全体の半数以下。それでも、振り返りではたくさんの声があふれました。
「2030年(みんなが18歳の年)にどんな世界だったらいい?」という問いには、
〇 争いがなく平和な世界
〇 Happyな世界
〇 差別やいじめのない世界
〇 自然が豊かな世界
〇 美しい未来
〇 みんなが笑顔になれる世界
といった声が(写真左)。
さらに、「その世界をつくるために、自分たちにできる“プロジェクト”ってなんだろう?」という問いには、
〇 無駄な物を買わない
〇 個性を認め合い、差別しない
〇 ひとりひとりを尊重する
〇 節電・節水・ごみの分別をする
〇 募金をする
〇 エコバッグを使う
〇 海にごみを捨てない
など、具体的なアイデアもたくさん出てきました(写真右)。

ワークシートより:中学生のリアルな声
さらに振り返りワークシートからも、たくさんの素直な声が届きました。その一部を紹介します。
◆ゲームを通して、気がついたこと、学んだことを教えてください
・ゲームを通して“経済”“環境”“社会”の3つがバランスよくなっていることが一番大切なんだと思いました。
・ポテトチップスやチョコから地球温暖化が出ることなどを学びました。
・何か一つにかたよってしまうと、違う何かがくずれてしまうということがわかった。
・ゲームで社会と経済は上げやすかったけど環境は上げにくいのリアルですごかった。
・自分たちと世界はつながっているんだなぁと感じました。
・プロジェクトを達成するたびに地球の様子が一変することに気づきました。
・自分が思っている以上に、社会や人に対する配慮の取り組みを平等に考えるのは難しいと感じました。
◆「SDGs」が大切にしていることは何だと感じましたか?
・誰一人として取り残さないこと。
・地球にいるすべての人が平等にあつかわれ、平和に過ごすことができる未来を実現する。
・人間を守るためのものでもあり、人が守らなければいけない大切なもの。
・一つ一つの目標が地球にとってとても重要で、達成していくたびにいろんな課題が解決していくんだと感じました。
・戦争のない世界や、子どもが働いたり、ましをしないことが大切だと分かりました。これ、ぜったい大切です。
・すべての人々が幸せに暮らせるために、支援や物を送ったりして、1人1人が人間として生きられるようにすること。
・みんなが幸せでとても平和で、最高の笑顔で笑っているような未来。だれも、悲しく、むなしい思いをしない。大切な人と暮らせる未来。
◆その他、意見、感想等があれば自由に記入してください
・このゲームを通して、バランスをとるのがとてもむずかしい問題で、それをあと5年でこたえ出さなければいけないと知ってあせった。
・今日は、ゲームでSDGsを学ぶことができて、その大切さに改めて気づけました。
・児童労働のカカオを使っているチョコレートは買わないようにしたい。
・今日の授業で、自分からSDGsの目標を達成できるように、今からでもできることをやっていこうと思いました。
・一番は戦争や環境汚染をなくしたいと思いました。こういうの見たら悲しくなるから。
・ごみを海や山にすてない。差別をしない。ごみを分別する。
・小さなことでも、自分にできることから始めて、周りにも伝えていきたい。

ファシリテーターとしての視点から
私はこのカードゲームの公認ファシリテーターとして、これまで約1,000人にこの体験を届けてきました。2030SDGsカードゲームは、SDGsという“世界の目標”を、自分たちの身近なこととして体感し、腹落ちできる教材です。
今回も、子どもたちの中に生まれる「気づき」の瞬間や、素直な表情、チームで協力しようとする姿がたくさん見られました。その気持ちこそが、大きな一歩になるのだと思います。
SDGsと聞くと、どこか遠くの大人が決めた、大きな目標のように感じるかもしれません。でも本当は、私たちの足元からつながっていて、私たち一人ひとりが変えていけるもの。
そしてもうひとつ大事なのが、「誰一人取り残さない」こと。今回のゲームでは、半数以上のチームがゴールに届きませんでした。SDGsでは、それを「仕方がない」とはしません。「なぜできなかったのか」「自分たちに何ができたのか」。そんな問いを考えることが、未来を変える力になると信じています。<N>
<掲載してくださいました!>
詫間中学校 HP
https://mitoyo.schoolweb.ne.jp/3720007/weblog/95390856?tm=20250710184419
詫間中学校 学校通信
https://mitoyo.schoolweb.ne.jp/3720007/download/document/12742746?tm=20250711172747